港湾のクレーン点検にもドローンを活用する動き

sugitec

こんにちは。最近のニュースで、自律飛行ドローンテクノロジーのハードとソフトを開発している米国の「skydio,Inc」が商業マーケットに参入するとの発表があり、まずはskydioドローンを使った住宅の屋根点検を行うサービスを展開していくとのこと。

skydioはAIを使った自律飛行ドローンを開発しており、世界の名立たるベンチャーキャピタルより出資を受けている注目の企業です。日本ではNTTドコモ・ベンチャーズが出資を行い話題になりました。まずは屋根点検とのことですが、どういうシステムで行うのか興味深いですし、今後のサービス展開にも注目したい企業ですね。

さて、本日は「株式会社三井E&Sマシナリー」「株式会社ゼンリンデータコム」の2社が、港湾のクレーン点検にドローンを活用するという実証実験を行ったとのことで、そちらをご紹介。

安全面やコスト面、精度のばらつき等、直面する課題を解決

両社によるこの実証実験ですが、三井E&Sマシナリーが現状点検作業を請け負っているという鹿児島県の志布志港にて、2020年の7月21日・22日の2日間で既に実施済みとのこと。

実施の目的

港湾クレーン点検は作業員の高所作業や、専用の点検作業車を利用する必要があり、安全面とコスト面での問題に加え、昨今の技術者不足の深刻化や、作業員により検査制度にばらつきがでるという課題に直面しているとのこと。


出典:ゼンリンデータコム

行われたこの実証実験では、点検作業の効率化や省人化による「安全面」「コスト面」「技術者不足の克服」「検査精度の向上」を目的としています。近年では、橋梁点検等でドローン活用が進んでいることから、港湾クレーン点検の一部でもドローンを活用し、点検結果をシステム管理することを視野に入れた実証実験を行ったそうです。

この実証実験では、これまで点検員が目視点検していた港湾クレーンの構造物点検の一部を、ドローン飛行による画像撮影、および画像のAI解析で代替可能かどうかの実証を実施。また、撮影画像のAI解析により、自動で発錆の有無を検知できるという点も検証項目へ含めているとのこと。


出典:Automagi

ちなみに画像のAI解析には、「Automagi株式会社」「AMY InfraChecker」を利用しているそうです。(Automagi社といえば橋梁や鉄塔の錆を検出するサビ検知AIが度々話題となっています)

三井E&Sマシナリーの既存システムには、「港湾クレーンの各種データをクラウドに転送し、webブラウザを用いてどこでもクレーンの状態を確認できる」「クレーン稼働データと電気品や機械品に設置したセンサからのデータをAIによる解析を適用し、港湾クレーンの予防保全を行う機能が実装済」であり、システムはクラウド上で構築されています。今後、ドローン利用による点検結果はこのシステムと連携させていくそうです。


出典:ゼンリンデータコム

ゼンリンデータコムは、ドローン飛行やドローン利用に関する技術的サポート及びドローンを飛行させ撮影した画像をAIにより解析を行う担当しているとのこと。両社は今後も共同開発を進めていく予定とのことで、港湾クレーンの点検におけるドローン利活用の可能性を検討していきます。

今後の展開

将来的にはドローン飛行で撮影した画像にAI解析を適用することで、発錆や塗膜剥離の有無を検知し、発錆箇所等の定量的な評価までを自動判定し、対象のクレーンの3Dモデルと連携。

クレーン全体での傾向をつかめるシステムの構築と港湾クレーンの構造物点検へのドローン標準利用を目指し、保全サービス・顧客サービスの向上を目指すとのこと。

まとめ

これは単純に、橋梁や鉄塔、風力発電のブレード等の点検で活用されてきたドローン点検が、クレーンにも適用されたという話。ですが、対象の構造物もマンパワーを使って点検を行う分にはそんなに違いはないのかもしれませんが、ドローンとシステムを使うとなると、当然それぞれで違ったシステムになってきます。

今回の実証で得られた知見で、今後のクレーン点検はドローンによって益々効率化されていくでしょう。このような高さのある構造物で現在も人が点検を行っているものは他にもありそうですね。技術者不足や作業の属人化が課題となっている昨今、ドローンやAI技術はまさに救世主と言えるでしょう。

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