建設現場の生産性向上。ICT土工管理の新しい取り組み

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記事のポイント

・株式会社奥村組(以下、奥村組)と戸田建設株式会社(以下、戸田建設)、西松建設株式会社(以下、西松建設)の3社が共同で、データ利活用型ICT土工管理システムを構築した。

・システムはデータ共有できるプラットフォーム上でICT土工のデータを一元的に集約・管理でき、膨大となるデータを横断的に連携し利活用できる他、関係者間でのデータ共有が容易となる。

データ集約と連携、利活用による建設現場の生産性向上

奥村組と戸田建設、西松建設の3社が共同で「データ利活用型ICT土工管理システム」を構築したと発表した。このシステムによって、ICT土木データをプラットフォーム上で一元的に集約・管理することができ、多様で膨大なデータを横断的に連携し利活用が図れるとともに、関係者間でのデータ共有が容易となり大幅な管理作業の省力化と効率化が図れるという。


出典:奥村組

近年、国交省の「i-Construction」の推進によって現場でのICT活用が進んでおり、施工や施工管理における省力化・効率化に一定の導入効果が得られているが、その一方で、取り扱っているデータに関してはその種類も多く、データ量は膨大なものとなっている。データの活用には専門技術が必要な他、データ処理にかかる時間も大きな負担となっているのが現状だ。

また、土工事における転圧管理、出来形管理、土量管理、材料管理などのデータ管理が別々に行われているために、データを一元的に集約・管理できるプラットフォームを利用したデータ連携・活用・推進が求められている。

この度開発されたシステムは、取得データをクラウドに自動的にアップロードし、データ処理・活用時の省力化が図れる「データ共有プラットフォーム」、ICT施工の履歴データから土量計算し、測量せず短時間で盛土の進捗を把握できる「転圧施工履歴データによる土量算出」、盛土材の土取り位置と荷下し位置や施工位置情報を自動的に管理し、盛土材のトレーサビリティ強化と品質向上が行える「土砂トレーサビリティ管理システム」の以上3つで構成されている。

データ共有プラットフォーム

データ連携の場として汎用性のある、福井コンピュータ社のクラウドサービス「CIMPHONY Plus(シンフォニープラス)」を利用したデータ共有プラットフォームを構築。現場のPCのからクラウドへ自動的にアップロード、データ登録できる。

現場と本支社の関係者は誰でもどこからでも3次元時系列の測量・設計データ、施工履歴データから現地状況や進捗状況を確認できる。これにより、アップロード作業が90%以上削減されるとともに、現場での省力化が図れるという。


出典:奥村組

転圧施工履歴データによる土量算出

転圧施工履歴データを点群データとして扱うことで、容易に土量算出する方法を確立。現場で適用検証を行った結果、施工履歴データを活用した方法は地上型レーザースキャナ測量と比較し、高さ精度誤差は10cm以内、算出土量の誤差は盛土量4,500㎥に対し約10%以内で、盛土の進捗管理に実用できることが確認されている。土量算出の作業時間は地上型レーザースキャナ測量と比較して90%以上短縮ができ、大幅な省力化・効率化が図れるという。


出典:奥村組

土砂トレーサビリティ管理システム

ダンプトラックに搭載したセンサーで、「どこの土をどの場所に盛土したのか」を記録できるシステム。センサーデータとICT土工の転圧管理システムのデータを関連付けることで3次元土工管理図を自動作成でき、盛土のトレーサビリティ管理の省力化が図れる。

これによって、従来は手作業で行っていた管理の必要がなくなることで、1人/日の削減効果が期待できるそうだ。作成される3次元土工管理図には、施行日や土質情報などの属性情報が自動付与されるため、将来の施工履歴の確認などにも活用できるという。


出典:奥村組

3社では今後、システムの現場適用を進めていくとともに、さらなる汎用性と機能性のブラッシュアップを図っていく。また昨今ではデジタルデータを活用した業務プロセスの変革が求められており、これに関しても3社は引き続き課題解決に向けた研究開発を進めていく考えだ。


□株式会社奥村組
データ集約・連携・利活用による建設現場の生産性向上
-ICT 土工管理の新しい取り組み-
リリース記事:(PDF)http://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/data/210331.pdf

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