全国初のメタバース空間を活用した川づくり

sugitec

こんにちは。2022年のトレンドワードのひとつとして大きく注目されている「メタバース」。Facebook社のMetaへの社名変更のニュースでこのワードを耳にした方も多いのではないでしょうか。メタバースとは、meta:超越とuniverse:宇宙 を合わせた造語で、簡単に言うとネット上にある仮想空間のこと。

一言にメタバースと言っても色々な文脈はありますが、人がその空間上で交流したり買い物をしたり、仕事まで行っている場合もあり、もうひとつの現実世界として存在するサードプレイスのようなものでもあります。

昨年は感度の高い企業を中心に、このメタバース空間でプロモーションを行ったり、接客・商品の販売を行っていたりしますが、まだまだ先行者であるアーリーアダプターが楽しんでいる段階というようなイメージ。しかし条件が揃えば間違いなく市民権を得ることは間違いないと思われます。

そんな仮想空間のメタバースで国土交通省九州地方整備局が、多自然川づくりを実施・体験できるという取り組みを進めています。

最新DX技術で変わる新しい対話の形を提案

多自然川づくりとは、川の自然の営みを基調に地域の暮らしや歴史・文化に配慮した川づくりをしようというもので、例えば水害の多い川である場合、水害を無くすための対策を施しますが、ただ単にそれだけではなくそこに住んでいる生き物や自然の恵みのこと、全体のバランスを考えて(逆もしかり)川の管理をするということです。

この川づくりの際には、地元民への説明会が行われますが、その際に従来ではパースや模型を用いて説明をするというのが一般的でした。測量や設計をデジタルで行っても、説明会での合意形成がアナログであるパースや模型になってしまうため、デジタル→アナログ→デジタルという流れになり非効率であったとのこと。


出典資料:九州地方整備局 記者発表資料より

しかし、ゲームエンジン※を活用することで、きわめてリアルで高品質な3Dモデルを低コストで効率的に使うことができ、またVRを使うことでメタバース空間にて整備後の河川を体験できるようになったそうです。

[aside type=”boader”] ※ゲームエンジンとは、その名の通り元々は3Dのゲームを高品質に低コストに短工期で制作するために作られたシステムですが、現在では自動車やスマートフォン、映画、アニメーション、宇宙開発等まで幅広い産業に活用されています。[/aside]

実際に使用している様子が、国交省九州技術事務所の以下の動画より確認できます。直感的操作で空間を構築できており、映像も写実的で非常にリアルです。

この空間がいわゆるメタバースで、複数の人が同じ空間内で気になる所をチェックして伝え合ったりといった、確認・意見交換できる場として活用できます。模型よりもリアルで臨場感もあり、合意形成に大いに活用できそうですね。


出典資料:九州地方整備局 記者発表資料より

情報ではこちらの操作マニュアルやゲームエンジンで使用するプラグイン、テンプレートなどは公開される予定とのことで、どういうものかを体験したい方は是非、九州地方整備局をチェックしてみてはいかがでしょうか。

余談ですが、建築関連のメタバースに関しては、個人的に主に建築デザイナーの方などと相性が良いように思います。現実では実現できない建物でもメタバース空間であれば、周辺環境含め自らのあらゆる創造性が実現できます。しかも実際に建てるより遥かに短納期低コストで危険も一切ありません。

建築デザイナーや建築デザイン企業のプロモーションにも使えそうですし、企業や個人含めメタバースの中で使う専用の建物をデザインして欲しいという需要も当然出てくるでしょう。もうひとつの現実世界でもあり、現実世界にある物理制約がないメタバースの可能性は色々広がりそうですね。


□国土交通省 九州地方整備局
全国初!メタバース(仮想世界)を用いた川づくり~最新のDX技術で変わる新しい対話の形を提案~
リリース記事:http://www.qsr.mlit.go.jp/press_release/r3/22011902.html

九州地方整備局 発表資料:http://www.qsr.mlit.go.jp/site_files/file/n-kisyahappyou/r3/22011902.pdf

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