戸田建設
近赤外線カメラデータを用いた水検知手法の機能を拡充。

sugitec

概要

戸田建設株式会社(以下、戸田建設)は、近赤外線カメラデータを用いた水検知手法※1に、滴水または滲み水により濡れている範囲(湧水範囲)を判定する機能を新たに追加というリリースニュースをお届けします。

※1 近赤外線カメラデータを用いた水検知手法を開発
近赤外線カメラデータを用いた水検知手法を開発 | 新着情報 | 戸田建設
一人ひとりのお客様に最適な技術とソリューションを提供する戸田建設の新着情報 。「近赤外線カメラデータを用いた水検知手法を開発」をご紹介。

湧水範囲判定にかかる作業の省力化

開発の背景

トンネル切羽における湧水は切羽の自立を損なう要因の1つと考えられており、工事の安全性や工期等に影響を与えることがあります。
そこで戸田建設は、水検知に優れた特徴をもつ近赤外線カメラデータを用いて湧水量を定量的に評価する手法を開発していました。既存の評価手法では明確な水流が認められた場合の流量を予測する方法でしたが、今回はこの手法に加えて、滴水または滲み水などの肉眼では判定が難しい濡れている範囲(湧水範囲)の判定機能の開発に成功しました。

室内実験による湧水範囲判定機能の開発

近赤外線カメラデータを用いて湧水範囲を判定するために、室内実験を行いました。
実験試料には、白色の花崗岩と黒色の頁岩を用いました。ある範囲について乾いた状態と濡れた状態の輝度値の中央値を比較した結果、濡れた状態は乾いた状態の10分の1程度の値になることが明らかとなりました(図-1参照)。
すなわち、ある範囲の輝度値の中央値を使用することで湧水範囲が判定できることを確認しました。

図-1 室内実験の結果

現場実証実験による湧水範囲判定機能の妥当性確認

湧水範囲判定機能の妥当性を確認するために、花崗岩を主体とする現場と頁岩を主体とする現場で実証実験を行いました(図-2参照)。まず、どちらの現場においても肉眼で滴水が認められた箇所は近赤外線カメラ画像において黒く表示されており、肉眼観察結果と近赤外線カメラ画像が整合していることを確認しました。

湧水範囲判定機能を用いて濡れている箇所(青色表示)と乾いている箇所(灰色表示)に区分する湧水範囲区分図を作成して、濡れている箇所を視覚的に把握できるようにしました。さらに、濡れている箇所の割合を表示できるようにデータ解析を付与し、切羽面の湧水範囲の割合を定量的に評価することが可能となりました。

本手法で湧水範囲の判定にかかる所要時間は、カメラの設置時間を含めて数分程度であり、現場での切羽観察における作業時間の短縮に貢献できることを確認しました。

図-2 現場実証実験の結果

今後の展望

今後、現場データの蓄積を進め、さらなる評価手法の高精度化を目指します。また、湧水量および湧水範囲判定手法のシステム化も並行して進めたいと考えており、現場での早期実用化を目指して開発を進めていきます。

資料引用:戸田建設

おわりに

今年の2月にお届けした戸田建設の「近赤外線カメラデータを用いた水検知手法を開発」からの進展リリースニュースからですが、肉眼では判定が難しい滴水または滲み水などの濡れている範囲(湧水範囲)の判定機能は急務だった思います。
ここではトンネル切羽の用途利用であるものの、さまざまな漏水調査への転用が期待されます。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□戸田建設株式会社
リリースニュース:https://www.toda.co.jp/news/2023/20230927_003252.html

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