去る11月21日(金)、一般社団法人機能性外壁改修工業会(KGK)の第13回総会が開催されました。

建設業界において「スクラップ・アンド・ビルド」から「ストック活用(既存建物の長寿命化)」へと大きな潮流が変わる中、今年の総会では、まさにこれからの業界の指針となる重要な発表が行われました。
今回は、総会のハイライトである「デジタルサーベイ委員会」による発表内容を中心に、KGKが目指す新たな外壁保全の形についてレポートします。
デジタルサーベイ委員会が提唱する「外壁保全の長期維持管理システム」
今回、KGKデジタルサーベイ委員会・委員長である当社代表の杉山 達哉氏(スギテック代表)による発表がありました。
テーマは「外壁保全の長期維持管理システム」です。

これまで、外壁改修といえば「悪くなった箇所を直す」という対症療法的な側面が強いこともありましたが、今回発表された内容は、その概念を覆すものです。
1.KGKの新たな役割と責務
杉山委員長は、これからのKGKが担うべき役割として、単に工事を行うだけでなく「建築物の長寿命化をおこなっていくことが責務である」と宣言。
建物を長く使い続けるためには、劣化してから動くのではなく、長期的な視点に立った「予防保全」と「計画的な管理」が不可欠です。これを業界全体で推進していく姿勢が示されました。

2.システム化された保全フロー
発表の中で特に注目を集めたのが、「外壁保全の長期維持管理システムのフロー」の説明です。


これは、調査・診断から施工、そしてその後の維持管理までをデジタル技術(デジタルサーベイ)を活用して一元的に、かつシステマチックに管理する仕組みです。
エンジニアリングの視点から見ても、これまでのアナログで属人的な管理手法から脱却し、データを基にした「予知保全」へとシフトするこのフローは、資産価値の維持に直結する画期的なアプローチと言えます。
業界の未来を変える「デジタル×職人技」の融合
私たち建設業界は今、人手不足や技術継承といった課題に直面しています。しかし、今回発表されたようなシステムが構築されれば、以下のようなメリットが生まれます。
- 透明性の向上: 建物の状態がデータで可視化され、オーナー様も安心できる。
- 効率化: 無駄な調査や工事を省き、最適なタイミングで最適な処置ができる。
- 資産価値の向上: 適切な履歴管理により、建物の価値が長く保たれる。
KGKが推進するこのシステムは、まさにデジタルの力で職人の技術を最大限に活かすためのプラットフォームと言えます。
おわりに
建築物を“持続的に守る”という視点は、外注に丸投げする管理では成り立たず、調査・診断・改修のすべてがつながる仕組み作り に業界が取り組む必要があります。
KGKが示した今回のシステムは、その第一歩となるものであり、会員企業にとっても、今後の業務の核となる指針となるはずです。
KGKの活動や詳細については、ぜひ公式サイトもご覧ください。
■ 一般社団法人機能性外壁改修工業会(KGK) https://www.kgk-wall.jp/about/