コンクリート構造物を現場で直接プリントする技術

sugitec

こんにちは。AIやドローン、AR/VR、IoTにICTなど今やそれらのテクノロジーの進化は日進月歩。少し前に3Dプリントの技術が熱狂的とも言える程、常に話題をさらっていた時期がありました。

しかし現在はその他のテクノロジーの影に隠れてしまった感があります。しかし、着実にその技術は進化してきており、それを実感できるような技術が開発されたのが今回ご紹介する、コンクリートを現場でプリント造形できるという技術です。

コンクリート構造物を「現場で直接プリント造形」On-Site Shot Printer

この技術は、岐阜大学と施工技術総合研究所、住友大阪セメント、清水建設、NIPPO、丸栄コンクリート工業、エフティーエスなどをメンバーとする研究開発グループが開発。

建設分野で既に技術として構築されている「乾式吹付け」と「湿式吹付け」の両方のメリットを兼ね備えているという、ハイブリッド吹付けシステムを開発するとともに、降水や粉塵に強く実績の豊富な建設機械の中で近年活躍しているICT建機と、3Dプリンティング技術を融合。

現場にて構造物を直接プリント造形できるという技術を開発。その名も「On-Site Shot Printer」です。


出典:施工技術総合研究所

背景

コンクリートの分野では、国土交通省が取り組むi-Constructionの3本柱のひとつとして、工場製品によるプレキャスト化が推進されています。

しかし、他分野での生産性向上と比べても研究開発の余地が多く残されており、そこで同研究開発グループでは「社会が求めているインフラにおける生産性向上技術とは、現場打設から工場製品に移行するだけでなく、全く新しい発想によるコンクリート構造物の製造技術の開発である」と考え、3Dプリンティング技術に着目。

その研究開発を進めているとのこと。ちなみにこの研究開発は「令和元年度建設技術開発助成制度」の支援を受けています。

On-Site Shot Printer概要

1. ハイブリッド吹付けシステムにより長距離圧送、最適圧力積層の実現

現場で直接プリント造形するには、造形するための材料を長距離搬送する必要があります。また、構造物としての造形物の強度確保が重要となります。


出典:施工技術総合研究所

そこで、前者に対しては材料を個別搬送し、先端のノズルで混合吹付けを行う「乾式吹付け技術」。後者に対しては、あらかじめ混合した材料を先端ノズルから吹付けする「湿式吹付け技術」が有効とされており、ここでは両技術のメリットを兼ね備えたハイブリッド吹付けシステムを開発。

2. ICT建機活用により現場で直接プリント造形

ICT建機のバケットに吹き付けノズルを取り付け、無限の平面設計データを作成し入力し、水平軸を制御。また、高さについてはオフセット機能により調整。


出典:施工技術総合研究所

これらのICT建機技術を活用し、壁や埋設型枠を想定したコンクリート構造物を直接プリント造形することに成功したそうです(施工総研構内での実施)。

3. 目標とする活用場面

フェーズ1【現段階】:埋設型枠としての利用(例:コンクリート構造物の型枠等)
特に材料の運搬など困難な場所に施工する

フェーズ2:構造部材としての利用(例:橋台、橋脚、ケーソン等)
施工精度や施工管理システムを構築した後、下部工などの大型部材に適用


出典:施工技術総合研究所

フェース3:構造部材としての利用(例:床版、壁高欄等)
繊細な制御が可能になった後、橋梁上部工や浮体構造物などに適用


出典:施工技術総合研究所

まとめ

これまでには大林組が型枠無しでモルタルブロックを製造できる3Dプリンタを公開していましたが、この技術の特徴としては、3DプリンターにICTショベルを活用しているところ。

ICTショベルを使うことで現場でそのまま生成でき長距離搬送の手間がなくなります。今後は造形できる大きさもどんどんと大きくなってくると思われます。

現状で3Dプリンターで造形された大きい構造物といえば、ドバイで建てられたオフィスです。巨大な3Dプリンターを使用し、ボックスカルバートを複数作成。それを組み合わせて広さ250㎡のオフィスを完成させたそうです。

工期はわずか17日で通常の50〜70%の短縮に成功し、人件費に至っては50〜80%も削減されたそうです。巨大な3Dプリンターという所がなんともドバイらしいですが、3Dプリンターの技術は今後さらに進化することで業界の一つのスタンダードな選択肢になる可能性は高そうですね。

新技術紹介
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました