HRテクノロジーを活用した社員のストレス分析システム

sugitec

こんにちは。2019年4月から適用開始された働き方改革による法改正はご存知の方がほとんどと思われますが、それにより改正されているのが昭和47年から施行されている労働安全衛生法。

この労働安全衛生法は適宜変更が加えられており、変化する時代とともに労働者の健康と安全を確保し快適な環境を形成するという目的で定められた法律です。

その中で2015年12月から義務付けられた「ストレスチェック制度」というものがあり、労働者が50人以上いる企業では労働者に対しITシステムや医師の面接指導などを行い、ストレスの状況を調査する必要があります。

このストレスチェックを、HRテクノロジーを活用した管理システムで早期に把握できるようにするシステムが「KDDI」より提供されるとのことで、本日はそちらをご紹介します。

日々の変化を把握し早期フォロー。健康で幸せに働き続けられる社員を増やす

同社では日常的に社員の心身の変化を把握し、心身の不調に繋がる予兆を早期に察知・フォローするために、HRテクノロジーを活用したストレス分析「AI社員健康管理」を全社員にむけ提供開始するとのこと。

HRテクノロジーとは
高度なテクノロジーと人事関連業務を融合させたもの。AIやクラウド、データ解析などを始めとする昨今のテクノロジーを使い、採用や育成、評価、配置など人事関連業務を行うものです。


出典:KDDI

同社では心身不調のある社員を本人からの深刻のない段階でも発見し、医療職や所属長と連携しフォローしていくために、全社員を対象としたストレスチェックを年に1度。他にそのデータを用いた「AIによる不調予兆者検知」や「社内カウンセラー面談」を年に2度実施しているそうです。

この取り組みでは心身不調の予兆がある社員の早期発見が重要とされますが、年に2回の状況把握ではリアルタイム性が低いため、予兆を見逃してしまうという課題を抱えていたとのこと。

AI社員健康管理の導入

その課題から「AI社員健康管理」が導入されます。「AI社員健康管理」は、社員が業務用スマートフォンで「最近よく眠れていますか?」等の健康に関わる様々な質問に1日1問回答。

この回答が日々蓄積されることで、心身の変化を可視化することを可能にしています。またAIを用いて蓄積された回答データを分析し、各設問と心身不調の予兆との相関性やストレス度合いを明らかにし、不調予兆者を検知。これによって社員の心身不調の予兆をより早期発見し、迅速なフォローが可能となります。

背景と課題

1.同社では、緊急事態宣言下において社員9割がテレワークを活用したそうですが、一方でテレワークの長期化によってコミュニケーション面などの課題も見えており、テレワーク時におけるリアルタイムでの体調管理の重要性が高まっています。

2.同社は、社員一人ひとりが時間や場所にとらわれず成果を出す働き方を実現することを軸とする「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入し「KDDI新働き方宣言」を策定。新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけとしたニューノーマル時代において、健康経営の推進により社員エンゲージメントと企業競争力の向上を目指すとのこと。

AIによる不調予兆者検知の概要

1.「AIによる不調予兆者検知」はKDDI総合研究所の研究成果となっており、年休取得日数やストレスチェック、急激な残業増などの多岐にわたるデータからAIにより社員のストレス度合いを分析および心身不調の予兆がある社員を検知し、早期フォローへ繋げているとのこと。

2.昨年実施されたトライアルでは、不調予兆者の発見時間を最大で1/6に短縮、心身不調予兆がある社員と検知した100名中の42%が実際にサポートを必要と判断されるなどの実績を積み重ねてきたそうです。

3.この技術は心身不調者の早期サポートに大きく貢献するものであり、社員の心身の健康状態の把握や職場の課題解決を実践する革新的な取り組みであると評価されています。評価は経済産業省ほか後援の「第5回HRテクノロジー大賞」で、「人事マネジメント部門優秀賞」を受賞しています。


出典:KDDI

AI社員健康管理の概要

1.社員が業務用スマートフォンで1日1問質問に答えると、健康状態が可視化されるシステム。産業医が監修した心身の健康状態を把握する設問を1日1問「+メッセージ (プラスメッセージ)」で業務用スマートフォンへ配信し、社員は5段階で表示された顔文字で状態を回答。この繰り返しで、心身の変化を会社が把握し早期フォローを実施。

2.ダッシュボード機能で、過去の回答内容、全社平均値との比較など、社員自身での状況把握が可能です。

3.社内カウンセラーの意見を元に、KDDIとKDDIテクノロジー、KDDI総合研究所の3社で開発。


出典:KDDI

まとめ

活力のある企業であり続けるために社員の健康が重要な経営課題と捉えているKDDIでは、社員一人ひとりの健康を組織で支える健康経営を推進しているとのこと。

身体の健康はもちろんですが、ストレスなど精神面での健康状態というものは、中々目には見えない部分でもあり把握するのが難しいところですが、毎日1問回答していくことで心の変化を可視化し、ストレスの度合いをAIで分析できるというのは中々面白い試みですね。

ストレスチェックはよくある物だと思いますが、難しい問題としては本人が結果を受け入れない場合があるという所でしょうか?身体の不調などは分かりやすいですが、精神面となると本人としては「そんなことはない。平気だ」と思うことは多くあると思います。しかし、自覚症状無く身体の見えない部分が悪くなっているのと同じ感覚を持って受け入れるのが大事ですね。

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