3次元点群データとAIで発破の良否判定。戸田建設の「Blast AI」

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記事のポイント

・戸田建設株式会社(以下、戸田建設)と株式会社Rist(以下、Rist)、株式会社演算工房(以下、演算工房)の3社コンソーシアムが開発した、山岳トンネルの発破堀削工法において、発破後の飛石形状の3次元点群データから発破の良否をAI判定するシステム「Blast AI」が国交省PRISMに採択された。

・国土交通省のPRISM「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択された「Blast AI」は、戸田建設の施工する「設楽ダム設楽根羽線1号トンネル工事作業所」にて試行中である。

AIによる発破良否判定システム「Blast AI」が国交省PRISMで施行中

戸田建設、Rist、演算工房の3社コンソーシアムが開発したトンネル発破堀削工法における発破の良否判定を、AIで判定する「発破良否判定システム:Blast AI」が国交省のPRISMに採択され、戸田建設施工のトンネル工事の現場において施行中だ。

[aside type=”boader”] 国交省のPRISMとは、公共土木工事において様々な分野の知見を結集、デジタルデータをリアルタイムに取得し、これを活用したIoT、AIをはじめとする新技術を試行することにより、建設現場の生産性を向上するための研究開発を促進する「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」である。[/aside]

「Blast AI」は、発破時の爆発エネルギーにより飛び散った切羽の岩塊の形状の3次元点群データをAIで解析し発破の良否を判定するもので、従来では熟練トンネル技能者が行っていた良否判定を自動化するシステムとなる。


出典:戸田建設

また、「Blast AI」システム自体は2019年1月の時点で開発されており、「Blast AI」の他にもSLAM技術を活用したドローンによる自律飛行でトンネル内を自動撮影する「Blast Eye」というシステムも「Blast AI」と合わせて活用できるように開発されている。


出典:戸田建設

今回の試行では、現場の発破後にずり(堀削物)の搬出開始までの短時間でAIの教師データである飛石形状データを取得するために、実際に現場実績のある演算工房の「ジープスキャンシステム」を採用している。このジープスキャンシステムは、3Dレーザースキャナと高性能処理ができるPCを車両に搭載し、迅速な計測と退避を可能としている技術だ。


出典:戸田建設

コロナ禍を反映した取り組み

コロナ禍での移動自粛や3密回避が求められる現在、現場で発生する種々の課題に迅速に対応するため、3次元点群データなどは関係者用のクラウドデータサーバーで共有する他、現場に設置しているAI用のPCには、戸田建設本社の担当者PCとRistのAIサポート担当者PCからいつでもリモート操作が可能なサポート体制を構築しているという。これによりテレワークでの対応も可能としている。


出典:戸田建設

戸田建設では、年度末までの業務期間で「発破後の3次元飛石形状」と「熟練工による良否判定結果」の対のデータを教師データとして蓄積し、AIに学習させる。過去2018年度に開発時の実験室内模擬トンネルでの結果では判定正答率が約85%であったという。今回の施工中トンネルでの試行ではその判定正答率の目標を70%とし、得られる成果・課題を今後の開発にフィードバックしていくとのことだ。


出典:戸田建設


□戸田建設株式会社
AIによる発破良否判定システム「Blast AI」を国交省PRISMで試行中
リリース記事:https://www.toda.co.jp/news/2021/20210309_002908.html

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