記事のポイント
・住友重機械建機クレーン株式会社（以下、住友重機械建機クレーン）は、移動式クレーンのブームアタッチメントを稼働姿勢の状態で、ドローンが自動飛行で撮影も自動で行える独自アプリ「C-SAI」を開発した。
・一般的な自動飛行アプリは円柱などの簡単な形状で位置や形状が変わらないものへの適用となるが、この「C-SAI」は、複雑な形状を持った移動式クレーンの稼働姿勢にある状態で、その周囲を一定距離を保ちながら自動飛行できるアプリである。
独自アプリで移動式クレーン稼働姿勢での画像点検を実現
住友重機械建機クレーンは、移動式クレーンのブームアタッチメントを稼働姿勢の状態でドローンが自動飛行し、自動的に画像撮影できる独自アプリの「C-SAI」を開発した。
C-SAIは、複雑な形状を持つ移動式クレーンの稼働姿勢が各現場で違う状態において、その周囲を一定距離を保った自動飛行ができる。このC-SAIで撮影された画像で、事前準備を含むクレーン点検の所要時間削減と共に、ブームアタッチメント全体の経年変化データ管理が可能となる。
出典：住友重機械建機クレーン（対象部材から約2mの位置で飛行）
移動式クレーンの定期自主検査項目であるブームアタッチメント点検を行う際には、ブームアタッチメントを地上に預ける場所の確保や、ブームアタッチメントの起伏作業に伴う作業員の追加手配が必要となる。
このため準備から点検完了まで長い時間と費用を要しており、その間の移動式クレーンは作業ができない状態となり工事が中断する。また広範囲な箇所の点検を行う技術者の高齢化や人手不足、高所作業の危険性、検査レベルの平準化と結果の可視化管理などが課題となっていたそうだ。
C-SAI特徴
①常に場所移動し稼働姿勢が変化する、また一機ずつ仕様が異なる移動式クレーンに対し、ドローンの自動飛行ルートを簡単な入力作業のみで設定でき、アプリ内の地図に表示できる。
②対象機の位置登録確認や飛行ルートを即座にアプリ内の地図上に表示することで、飛行前に入力ミスや敷地外飛行を防止できる。また飛行中に飛行階層、撮影ポイント、撮影画像を同時に確認できる飛行表示画面によって、制御異常が即座に把握できる。
③自動撮影は静止画、動画を選択可能。途中から手動操作への切り替えも可能。
④自動飛行によって対象機の部材から距離約2ｍの近接撮影を可能とし、点検可能な詳細画像を取得できる。
⑤建設現場に多い敷鉄板の上という磁場の強い環境でも、安定的かつ正確なルートで自動飛行が可能。
⑥ドローン飛行中のバッテリー減少量を自動的に確認し、交換が必要になったら離着陸ポイントへ自動的に戻る。作業者はバッテリーを交換した後に再スタートを押すだけでドローンが元の撮影ポイントに自動飛行で戻り、自動撮影を再開できる。
出典：住友重機械建機クレーン
基本的なドローン操縦が出来れば、正確かつ安全な移動式クレーンブームアタッチメントの画像による点検確認が可能となり、また、点検に要する時間も大幅に削減できるという。
住友重機械建機クレーンでは、ユーザーからの要望も踏まえた機能として、ピンポイント多視点撮影、3Dオルソ作成、専用飛行ルート等の機能を順次用意していくとのことだ。
□住友重機械建機クレーン株式会社
ドローン自動飛行の独自アプリ開発により、移動式クレーン稼働姿勢での画像による点検を実現
リリース記事：http://www.hsc-cranes.com/j/_common/pdf/topics210615.pdf
