清水建設、構造物の長寿命化機能を付与する樹脂吹付け工法の新Ver開発

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記事のポイント

・清水建設株式会社(以下、清水建設)は、三井化学産資株式会社(以下、三井化学産資)と共同開発したコンクリート構造物の表面にポリウレア樹脂を吹き付けることで剥落防止・貯水・耐久性・耐衝撃等の性能向上を付加できる「タフネスコート工法」の新バージョンを開発したと発表した。

・この新バージョンは、構造物に被覆するポリウレア樹脂を透明化することで、施工後の視認性を確保。下地コンクリートの状態確認を可能とした「タフネスコート工法クリア」と名付けられている。

被覆材を透明化することで、施工後の下地コンクリートの視認性確保

清水建設は、三井化学産資と共同開発したコンクリート構造物の機能保持・向上技術の「タフネスコート工法」について、構造物に被覆するポリウレア樹脂を透明化することで、施工後の下地コンクリートの状態確認を可能にした「タフネスコート工法クリア」を開発した。

タフネスコート工法とは、コンクリート構造物の表面にポリウレア樹脂を薄く吹き付けるだけで、剥落防止性能、貯水性能、耐久性能、耐衝撃性能などを向上させる、構造物の長寿命化に資する諸機能を付加できる工法となっている。

このタフネスコート工法に用いられるポリウレア樹脂は、引張強度24N/mm2、伸び性能200%というバランスの良い材料特性を備えているため、引張力が作用してもなかなか破断せず、コンクリートの弱点とされている引張りに弱いという部分を補うことができる。経年劣化の進んでいるインフラ構造物の維持管理の効率化が社会的課題となっている中、タフネスコート工法はその課題に対応できる技術として、採用件数は増加しているという。

一方でその普及に伴って、表面の被覆後も下地コンクリートの状態を確認したい、という新たなニーズが顕在化してきたそうだ。従来のタフネスコートの樹脂材料は、吹き付け時に混入する微小な独立気泡に光が乱反射し白濁化し、また紫外線によって樹脂成分が黄変する性質を有していることから、顔料を添加して着色しているという。そのため、施工後に下地コンクリートの状態を確認することは困難であった。

そこで新たに開発された「タフネスコート工法クリア」では、ポリウレア樹脂の成分配合を工夫することで、樹脂成分の黄変進行を遅らせ、被覆材の変色を防止する。また、成分配合と塗装条件の最適化によって白濁の原因になる独立気泡の混入を極力抑えることで、従来よりも硬化開始時間を遅らせることで気泡を被覆材から除去する時間を確保。


出典:清水建設

これらによって、透明状態で変色度合いの少ない被覆を実現。透明なタフネスコートは吹付け後、約3分で硬化し早期に所定強度を実現し、引張強度は15N/mm2、伸び性能は450%で、従来のタフネスコートよりも強度が若干低く伸びが大きいという特性を有している。

タフネスコートは21年6月には土木学会の技術評価を取得するなど、実用性に対する社会的認知が高まってきている。また、今回のタフネスコート工法クリアが新たにラインナップに加わったことで、技術のさらなる普及が見込まれている。


□清水建設株式会社
コンクリート構造物の機能保持技術「タフネスコート」に新バージョン
リリース記事:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2021/2021037.html

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