SPACECOOL株式会社(以下、SPACECOOL)とロンシール工業株式会社(以下、ロンシール工業)が製造・販売する、放射冷却素材「SPACECOOL」一体型の防水シート「イノベーションプルーフRR」が、一般社団法人日本建築材料協会(以下、JBMA)が主催する「優良製品・技術表彰2025」で優秀賞を受賞というリリースニュースをおとどけします。
イノベーションプルーフRR

イノベーションプルーフRRを施工した建物屋根。周辺道路と比較し約20℃の温度低減を確認。
優良製品・技術表彰2025は、優れた建築材料や住宅設備の製品・技術を社会に発信し、品質並びに施工技術の向上を図り、建築業界全体の更なる発展と向上に寄与することを目的にJBMAが毎年主催しており、日本で唯一、経済産業省および国土交通省が認めた、建築材料、住宅設備に関する表彰制度です。
本表彰では、安心安全で質の高い建物環境の実現に資する建築材料や住宅設備について、新規性、市場性、機能性などの観点から評価が行われます。
参考URL:https://www.kenzai.or.jp/page/award/3887/
近年の地球温暖化がもたらす猛暑により、屋内を冷却するための空調エネルギー消費の増加、労働環境の悪化による熱中症リスクの上昇など、建物に対する暑熱の影響が深刻化しています。
これらの課題に対し、建設業界や建物を所有する事業者は早急の対策に取り組んでいます。
こうした背景のもと、ロンシール工業は、SPACECOOL社が開発・販売する放射冷却素材「SPACECOOL」を一体化させた新たな防水シート「イノベーションプルーフRR」を発売。
建物内の温度上昇を抑制し、空調エネルギーやCO2排出量の削減、さらに労働環境の改善を実現可能にしました。
この度の受賞は、イノベーションプルーフRRのカーボンニュートラル性や労働環境へのポジティブな影響など、技術の新規性や時代性が評価された結果と受け止めております。
今後もSPACECOOL社は、建物や社会インフラへのSPACECOOLの導入を拡大させ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
イノベーションプルーフRRについてのお問い合わせ先
ロンシール工業株式会社お問い合わせフォーム:https://www.lonseal.co.jp/inquiry/
※本製品は防水保証が必要な観点から、販売店様経由では販売しておりません。予めご了承ください。※「SPACECOOL」は登録商標です。
おわりに
「イノベーションプルーフRR」のJBMA「優良製品・技術表彰2025」優秀賞、おめでとうございます!
ところで、大阪・関西万博で販売されている「放射冷却素材『SPACECOOL』の日傘」は、皆さん、ご存知ですか。
ライターも5月に現地で購入したのですが、通常のネット価格よりお買い得価格でSPACECOOL日傘が入手できるので、脇差のごとく自宅に持ち帰りました。
この日傘の最大の特長は、一般的な日傘の「遮熱・遮光」という従来の機能を超え、「放射冷却」という全く新しい原理を取り入れている点が実に興味深いです。
放射冷却の原理:
通常、物体は熱を吸収しますが、SPACECOOLは、大阪ガスが開発した独自の光学制御技術により、太陽光からの熱の吸収を抑えつつ、物体が持つ熱を「大気の窓」と呼ばれる特定の波長域の赤外線として宇宙空間に放出します。これにより、周囲の気温よりも低い温度を実現できるという画期的な素材です。冬の夜に地面が冷える現象と同じ原理を日中に応用している点が注目されます。
ゼロエネルギー冷却:
この放射冷却は、電力などの外部エネルギーを一切必要としないため、環境負荷が極めて低い「ゼロエネルギー冷却」として注目されています。カーボンニュートラル社会の実現に貢献する技術として、その可能性は非常に大きいです。
「木陰のような涼しさ」の実現:
実際にSPACECOOLの日傘を使用すると、外気温よりも数℃低い体感温度が得られると報告されており、「まるで木陰にいるかのような涼しさ」が謳われています。これは、単に日差しを遮るだけでなく、傘自体が能動的に熱を放熱することで、より快適な空間を作り出すことに成功していると言えます。
ただ…実際のところ、毎年の京都の夏は「お湯」の中を移動しているようなので、体感的に「木陰のような涼しさ」を常に感じないのはライターだけでしょうか…
そして、万博という国際的なイベントでの販売は、この革新的な素材と製品の認知度向上と、その技術が持つ社会貢献性を示す上で非常に大きな意味を持ちます。
技術アピールの場:
万博は最新技術のショーケースであり、SPACECOOLのような最先端の環境技術を一般の人々に直接体験してもらう絶好の機会です。ガスパビリオンの膜屋根にも採用されていることで、その信頼性と実用性をアピールできます。
暑さ対策への貢献:
近年、地球温暖化の影響で夏の猛暑は深刻化しており、熱中症対策は喫緊の課題です。万博会場も例外ではなく、来場者や運営スタッフの暑熱対策として、SPACECOOLの日傘は実用的なソリューションを提供します。
ブランディングとイメージ向上:
環境問題への意識が高まる中、ゼロエネルギーで冷却効果を発揮するSPACECOOLは、企業の環境への取り組みやサステナビリティをアピールする強力なツールとなります。大阪ガスグループの先進技術力を世界に発信する良い機会でしょう。
高付加価値商品の訴求:
一般的な日傘よりも高価な価格帯(2万円前後)であるにもかかわらず、万博という特別な場での販売(1万5千円)は、その付加価値と希少性を高め、購入意欲を刺激する効果もあるかとおもいます。
この「SPACECOOL日傘」は、非常に有望な製品であると同時に、今後の展開においていくつか考えられないでしょうか。
一般市場への浸透と価格:
現在は万博での販売やオンラインショップでの数量限定販売が主ですが、今後、一般市場に広く浸透させるためには、価格面での課題があるかもしれません。
量産化によるコストダウンや、より多様な製品ラインナップの展開が求められます。
用途拡大の可能性:
SPACECOOLの技術は、日傘だけでなく、建築物の屋根や外壁(今回のリリースニュース事例)、屋外機器、アパレル製品など、幅広い分野での応用が期待されます。
既にガスパビリオンの膜屋根への採用や、本田技研工業のタイ拠点でのルーフシェード導入といった事例があり、今後のさらなる用途拡大が注目されます。
消費者への理解促進:
「放射冷却」という新しい概念は、まだ一般消費者には馴染みが薄いかもしれません。
その原理と効果を分かりやすく伝え、従来の遮熱・断熱素材との違いを明確にすることで、製品の魅力をより引き出すことができるでしょう。
グローバル展開:
万博を足がかりに、高温多湿な地域を中心に世界市場への展開も期待されます。
気候変動への適応策として、SPACECOOLのようなゼロエネルギー冷却技術は、今後ますます需要が高まる可能性があります。
まとめ
「放射冷却素材『SPACECOOL』の日傘」は、単なる便利な日傘ではなく、地球温暖化というグローバルな課題に対し、日本の技術が提供できる革新的なソリューションの一つと言えます。
万博での展開は、その技術の先進性と社会貢献性を広く世界に発信する上で非常に重要な役割を担っていると考察します。
今後の技術の進化と市場への浸透に大いに期待が持てる「ひとふり」ではないでしょうか。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□SPACECOOL株式会社
リリースニュース
https://spacecool.jp/news/20250717/
□ロンシール工業株式会社
https://www.lonseal.co.jp/
リリースニュース
https://www.lonseal.co.jp/news/news-200842/