奥村組✕北陸鋼産 覆工コンクリート施工における生産性向上技術の現場適用。

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株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区 以下、奥村組)と北陸鋼産株式会社(本社:富山県滑川市 以下、北陸鋼産)は、共同開発した覆工コンクリートの「自動打設システム」および「養生温度制御システム」を奥村組が施工する山岳トンネルの建設現場に適用というリリースニュースをおとどけします。

「自動打設システム」を用いて覆工コンクリート打設作業の省力化および省人化を図るとともに、「養生温度制御システム」を用いて脱型前の養生を効率化することで、生産性が向上しました。

自動打設システム ✕ 養生温度制御システム

自動打設システム概要

【自動打設システム※1の概要】
本システムは、奥村組が開発した「高速打設システム」と「圧力計による打設高さ検知システム」を組み合わせ、これに圧送ポンプ機のリモコンとバイブレータの制御盤を連動させたものです。

※1:2024年10月7日ニュースリリース https://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2024/post-56.html

予め設定した打上がり高さに応じて、ポンプの圧送速度、ポンプとバイブレータの稼働・停止を自動制御することにより、覆工コンクリートの打設を、打設口の切り替え作業を除いて自動で行うことができ、技能労働者の省力化・省人化が図れます。
また、定量的なデータに基づき打設作業(ポンプ圧送、締固めなど)が行われるので、技能労働者の熟練度に依存することなく、安定した品質を確保できます。現場適用前に奥村組の技術研究所において実大規模の施工実験を行い、本システムの有効性を確認しました。

【養生温度制御システムの概要】
本システムは、若材齢コンクリート(材齢1日程度)の温度と強度発現の相関関係に基づきコンクリート温度を測定することで、養生からセントルを脱型するまでの圧縮強度をリアルタイムに算出するものです。
さらに、所定の時刻までに脱型に必要な強度を確保できるよう、測定したコンクリート温度に基づいて面状発熱体※2への電力供給を自動制御します。
これにより、覆工コンクリートを適切な温度で養生し、セントルの存置時間を効率的に管理できます。※2:セントルを加温するもの。コンクリートの強度不足やひび割れを防ぐ。

「養生温度制御システム」の管理モニタ例

【現場適用】
中日本高速道路株式会社名古屋支社の発注で奥村組が施工する「東海環状自動車道養老トンネル北工事」において、覆工コンクリートの「自動打設システム」と「養生温度制御システム」を適用しました。

覆工コンクリートの施工の全景

「自動打設システム」の管理モニタ確認状況

「自動打設システム」管理モニタ例

覆工コンクリート施工のサイクルタイム(型枠脱型からセントルの移動・据付、コンクリートの打設、養生完了までの1サイクルにかかる時間)は、2日であることが一般的ですが、両システムの適用により1日に短縮することが可能となります。

今回の施工では、セントルの脱型、移動、据付が約3時間、休憩が約2時間、コンクリートの打設作業が約5時間、翌日の脱型までのコンクリートの養生が約14時間で、合計1日(24時間)で実施しました。
この覆工コンクリートは、脱型時に必要な強度を十分に確保できており、表面剥離やひび割れ等の不具合は生じませんでした。

型枠脱型からコンクリートの打設完了までを同日に行う「セットコン」を週1回実施することで、覆工コンクリートの施工が月当たり150m(1スパン12.5m×12回)の進捗が可能になり、生産性が大きく向上しました。
なお、セットコンは週休2日を確保したうえで、標準的な作業時間の範囲で施工しました。

「自動打設システム」と「養生温度制御システム」を用いた覆工コンクリート施工のサイクルタイム

1週間の施工状況

【今後の展開】
今回の取り組みを他現場にも適用し、施工結果をフィードバックすることでさらなる効率化を図ります。また、覆工コンクリートだけでなく、山岳トンネルの施工全体における生産性の向上を目指した開発を進めてまいります。

資料引用:奥村組

おわりに

覆工コンクリート施工のサイクルタイムに要する中で、主に占めているパートが「コンクリート養生」。

コンクリート養生を短縮する現在の建設現場では、工期短縮、人手不足の解消、そして環境問題への対応が喫緊の課題となっています。
これらの課題を解決するために、各社で技術開発は急速に進んでいます。
中でも資材自体の改良として高性能な混和剤や、水分の蒸発を防ぐ省人化された膜養生材による作業効率の向上。
そして、コンクリート内部の温度をリアルタイムで監視するIoT技術を活用した正確な温度管理(マチュリティ法)による型枠解体時期の最適化です。
今回の奥村組のリリースニュースはまさに温度管理の可視化でした。
さらに、最も注目されているのが、促進炭酸化養生(ACC)のような脱炭素と早期強度発現を両立させる環境配慮型の技術です。これは、CO2を固定化しながら、コンクリートを強くするという一石二鳥の革新的なアプローチです。

コンクリート技術は、単なる材料工学ではなく、デジタル技術や環境技術と融合し、「速く」「強く」「環境に優しい」構造物の完成へ導きます。


【お問い合わせ先】
 □株式会社 奥村組
 技術本部 技術研究所 企画管理グループ
 リリースニュース:https://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2025/post-66.html
TEL:029-865-1521
 FAX:029-865-1522
 E-mail:giken@okumuragumi.jp
【開発担当】
 技術本部 技術研究所 土木研究グループ 松本

□北陸鋼産株式会社
https://kenko-group.jp/kosan

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