ワールドエリアネットワークス 建機シミュレータ「メタトレ」をパートナー3社と共同開発。

sugitec

株式会社ワールドエリアネットワークス(本社:広島市、代表取締役:三谷 歩、以下、WAN)は、建設・土木業界の人材育成と安全管理をDXで支援する次世代トレーニングプラットフォーム「メタトレ」β版の開発を完了し、パートナー企業3社と製品版に向けて共同開発を開始。各現場での実証から得た知見を集約し、CSPI-EXPO 2026にて製品版を販売開始予定ですというリリースニュースをおとどけします。

こ…こいつ、動くぞ!? 「メタトレ」とは?

「メタトレ」は、最先端の3DCGと物理シミュレーション技術を活用して建設現場をリアルに再現し、建機の操作訓練や安全教育を総合的に支援するシステムです。

ユーザーはバーチャル空間の中で、実際の建機操作に限りなく近い体験をしながら練習できるため、効率よく技術を身につけると同時に、安全への意識を高めることができます。

メタトレ製品イメージ

主な機能

リアルな施工シミュレーション360°デジタルツインで再現された建設現場で、建機の操作や作業手順を安全に学習できます。
習熟度を可視化操作データを集計し、習熟度を分析。個人ごとの進捗はダッシュボードで確認できます。
安全な環境で危険な状況を体験法面走行など危険が伴う場面を繰り返し体験することで、事故を防ぐ意識を育てます。
フィールド・シナリオを自由にカスタマイズ可能天候や障害物などを自由にカスタマイズでき、臨機応変な判断力を養います。
導入しやすいシステム専用設備は不要。PCやヘッドマウントディスプレイがあればすぐに利用可能です。

開発の背景

建設業界では、熟練オペレーターの高齢化が進むなか、年間約8万人規模の人材不足が続き、現場の担い手が急速に減少しています。
しかし若手の育成には3〜5年もの時間と労力がかかり、即戦力の確保は簡単ではありません。
その一方で、労働災害による死亡事故は毎年300件を超え、全産業の約3割を占めるなど、命に関わる深刻なリスクが依然として現場に存在しています。

そこでWAN社は、長年の3DCG/XR開発実績を生かし、安全な環境で実機さながらの操作訓練ができるバーチャルシミュレーターを開発。

2024年11月のXR・メタバース総合展や2025年7月の「DXソリューションフェア」ではβ版が高く評価され、「操作の質感がリアル」「新人研修に活用できる」といった声を多数いただきました。

DXソリューションフェアにて、熟練オペレーターの皆様から反響を頂きました

建設・土木業界からのご要望を数多くいただき、以下パートナー企業とともに2026年に向けた製品版開発を進めていきます。

開発パートナー

本プロジェクトには建設・土木業界の専門3社が参画し、それぞれの専門分野でメタトレの実証と販路拡大に協力しています。

株式会社ジツタ中国(広島市)
測量機器・BIM/CIM関連商品・気象水文機器などの販売/レンタル/点検・修理・保守を一貫提供。ICT建機、3D計測器の販売、サポートを展開。その他木製造作家具の事業。1947年創業(現法人設立1999年)。
公式サイト:https://jtch.co.jp/

株式会社田上重機開発(千葉県木更津市)
土木・舗装・管等の施工に加え、UAV(ドローン)写真測量、3次元計測、ICT建機による施工、構造物点検調査、赤外線サーモ調査、360°VR撮影・3Dコンテンツ制作などを展開。1969年創業。
公式サイト:https://www.tagami-juki.com/

株式会社山口(石川県七尾市)
一般土木工事・とび土工・農林系土木等の施工、産業廃棄物の中間処理・リサイクル事業を営む。再生砕石(RC-40)の製造・販売も行い、七尾市および中能登町を中心に事業展開。1960年創業。(現法人設立1975年)
公式サイト:https://www.kabu-yamaguchi.net/

期待される効果

新人教育を効率的かつ安全に実行
建設機械の操作は、本来であればベテランの指導を受けながら時間をかけて習得する必要があり、若手の育成には大きな負担と時間がかかってきました。
メタトレは、仮想空間の中で繰り返し練習を行うことができ、ベテランが常に付き添わずとも、短期間で技術を習得できます。

現場での事故リスク軽減
建設現場では常に危険が伴い、労働災害につながるリスクを完全に排除することは困難です。
こうした危険な作業シナリオを事前にシミュレーションできるため、作業員は実際の現場に入る前にリスクを把握し、適切な行動を身につけることができます。

環境負荷の軽減
従来の実機を使った訓練では、燃料消費や騒音に加え、機材の摩耗といった課題も避けられませんでした。メタトレはこれらを大幅に抑えることができ、環境負荷を軽減すると同時に、教育にかかるコスト削減にもつながります。

ワールドエリアネットワークスが描く未来

ワールドエリアネットワークス社は「創造と挑戦で未来を形に」をミッションに掲げており、本事業では「デジタルの力で人と産業の未来を切り拓く」ことを目標としています。
建設業界をはじめとするさまざまな分野で、物理的な制約を超えて学び・働く新しい環境を提供し、誰もが安心してスキルを身につけられる社会の実現を目指します。
メタトレはその第一歩であり、今後はAIやIoTと融合し、操作評価や技能継承支援など機能拡張を進めてまいります。

資料引用:ワールドエリアネットワークス

おわりに

「メタトレ」の核となる技術、すなわち「高精度なXR/VRシミュレーション」「データに基づいた習熟度分析」「カスタマイズ可能な高リスクシナリオ」という要素は他分野へ転用することに可能性をかんじます。すこし、考えてみましょう。

たとえば、橋梁・トンネル・ダムなど特殊構造物の点検・補修作業訓練

「メタトレ」は建機操作の訓練だけでなく、「高所や狭所といった危険な環境下での作業手順」の習熟に転用できます。

□訓練内容
橋梁の桁下や塔体(タワー)での点検: 高所作業車の操作手順、命綱の取り扱い、点検用ハンマーの叩き方、ドローンによる映像解析など。
トンネル内部での補修作業: 換気、照明、足場の組み立て、防水・吹き付けなどの複雑な手順。

「メタトレ」の活用
安全な環境で危険な状況を体験: 実際の高所での緊張感や、狭所での不測の事態(落石、器具の落下など)を再現し、心理的耐性と緊急時の判断力を養います。
リアルな物理シミュレーション: 点検時にハンマーで構造物を叩いた際の音や振動のフィードバックを再現し、ベテランのノウハウである「音と感触による異常検知」を若手が習得する訓練に役立てます。
習熟度を可視化: 点検漏れがないか、決められた時間内に作業を完了できたかといった手順の正確性をデータ化し、客観的な評価を行います。

次に、特殊・大規模工法における手順習熟とチーム連携訓練

「メタトレ」の高精度なシミュレーションとカスタマイズ機能は、特に難易度が高い、あるいは頻度が低い特殊工法の教育に最適です。

□訓練内容
シールド工法: シールドマシンの発進・到達時の手順、掘削土の搬出、セグメント組み立ての精密な作業連携。
大口径の杭打ち工法: 杭の設置位置の微調整、クレーンと連携した玉掛け作業、地盤の変動に対応する操作。
高層建築物の鉄骨建て方: クレーンオペレーター、玉掛け作業員、デリックマン(誘導員)の三者間の無線連携とタイミング。

□「メタトレ」の活用
フィールド・シナリオの自由なカスタマイズ: 難しい地盤状況や、予期せぬ部材のゆがみなど、実機では試せない失敗パターンを意図的に発生させ、対応力を鍛えます。
チーム連携訓練: 複数のユーザーがVR空間にアバターとして参加し、リアルタイムで連携しながら高精度なシミュレーションを実行できます。これにより、指示出しの明確さや危険予知の共有といった、チームとしての安全能力を向上させます。

最後に、BIM/CIMモデルを活用した施工計画の事前安全検証(VRセーフティレビュー)

「メタトレ」のデジタルツイン技術を、建機操作から一歩進め、計画段階の安全管理に転用します。

□訓練内容
施工計画のレビュー: 計画段階の3Dモデル(BIM/CIMデータ)をそのままVR空間に取り込み、作業員目線で現場を歩き、危険箇所を事前に特定します。
危険予知トレーニング(KYT): 計画された重機の配置、資材の仮置き場所、動線などを確認し、「ここで作業すると、何が起こりうるか」を作業員全員でシミュレーションします。

□「メタトレ」の活用
リアルな施工シミュレーション: 計画上の現場にVRで立ち入ることで、図面だけでは気づかない「死角」や「通り道の狭さ」といったヒューマンエラーにつながりやすい設計上の問題を、実際の作業に入る前に発見・修正できます。
導入しやすいシステム: 計画段階のデータ(BIM/CIM)を活用するため、トレーニング専用の新たなデータ作成が不要であり、DX推進の一環としてスムーズに導入できます。

「たとえば案」をあげてみましたが、このようにデジタルの力で「危険」と「時間」の制約を取り払い、建設現場の安全と生産性を同時に高める「メタトレ」。今後の展開、そしてさらなる応用分野の拡大に期待が高まります。


【お問い合わせ先】

□株式会社ワールドエリアネットワークス
リリースニュース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000161005.html
お問い合わせ:https://wan-hiroshima.jp/contact/

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