AIを活用した次世代型のトンネル構築システム

sugitec

こんにちは。今年のはじめに国交省がインフラ点検などで、技術者を支援するAIの開発を始めると発表しています。

建設業界にも様々な現場でのAI技術が活用されはじめていますが、まだまだ全体に広まってくるのは3年、5年、10年?後というところでしょうか。

AI技術が割と使われている現場の1つとしてトンネルの削孔工事などがあります。これまでにも「トンネル切羽のAIによる自動評価システム」や「AIがトンネル地質を自動判定」、などの記事をご紹介してきました。

そして本日はまた、トンネル工事に使われるAIシステムをご紹介。

AIで最適解を導く掘進シールド掘進支援システム

AIが掘進の最適解を導き出すシステムということで、こちらは最新技術を活用した次世代型トンネル構築システムの一環として、清水建設と名古屋工業大学の共同開発によるものです。

どういうものかと言うと、AIに施行錯誤をしながら自己学習をさせることで掘進の最適解を導く、というものです。シミュレーションを繰り返し、データを多く集めることで精度の高いものにしていけるのがAIの良いところ。

システム概要

シールド工事の施工に先立っては、事前シミュレーションをおこない、計画値というものを設定します。従来では、計画値の算出は三角関数を用いた理論計算で算出をしていました。

今回のAIを利用したシステムでは、AI自身が自己シミュレーションを繰り返しながら、自らが設定した計画値を改善していくようです。

この自己シミュレーションは、清水建設のシールド工事のノウハウと、名古屋工業大学大学院工学研究科・加藤昇平教授のAIプログラミングのノウハウを融合し、シールド掘進をゲームに見立ててプログラムが設計されています。

ゲームに見立てた掘進ゲームとは?

これは与えられた計画線形に対して、AIが自ら設定した曲線部でのシールド機の運転制御方法、セグメントの割り付けといった試行条件に基づいて模擬掘進を行います。


出典:清水建設

その結果が評価指標として得点化される形になります。もし、試行中に掘進誤差の許容値を上回った場合や、シールド機とセグメントが干渉する可能性が出た場合は、その時点で終了。

試行条件を再設定して新たにシミュレーションが実行されます。

そんな流れでAIは何度も膨大な回数の試行を重ね、高得点を獲得するために自己学習をしていきます。そしてもうこれ以上がない高得点にたどり着いたら、その条件を最適解とし掘進計画に活用。

今までの理論計算での算出の必要がなくなり、計画シミュレーションも最適な物を自動的に導き出せることから、現場労働者の労働時間削減につながりそうです。

まとめ

シミュレーションをゲームに見立てているのは面白いですね。導き出した最高得点が最適解。AIはより良い結果になるように、ひたすらに自分で計算・シミュレーションを繰り返しますので、まさに疲れ知らず。

ちなみにこちらの技術、熟練オペレーターのシールド機操作行動を再現するAIモデルの開発もされているそうで、実際の現場へ導入し安全性と精度の検証を行っていくそうです。

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