こんにちは。昨今の建設業界等でデジタルツインという言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。このデジタルツインは文字通りデジタルの双子ということで、例えば物理的に実在しているビルなどの建築物をデジタル空間上にそっくりそのまま構築する技術です。
全く同じ数値データを保持していますので、現実同様のリアルなシミュレーションが可能となります。これはIoTの普及などで、あらゆるデータが取得できるようになったというのが大きな背景としてあります。
これまで建物のプロジェクトの一部で活用されることが多かったこのデジタルツインですが、「鹿島建設」が全てのフェーズにおいて連携を可能にするBIMによるデジタルツインを実現したという話題。
建物情報のデジタル化により資産価値のさらなる向上へ寄与
同社では建物の企画から施工、竣工後の維持管理・運営までの各情報を全てデジタル化し、それらを仮想空間上にリアルタイムに再現するデジタルツインを推進中。
この度、同社のBIM推進モデルプロジェクトである「オービック御堂筋ビル新築工事」において、各フェーズにおける建物データの連携を可能にするBIMによるデジタルツインを実現したそうです。
出典:鹿島建設
同社では今後もBIMデータの利活用範囲を拡大し、建築プロジェクトにおける様々な業務の効率化を図っていくとともに、建物オーナーや利用者の利便性・快適性と建物資産価値の向上に寄与していくとのこと。
背景
国内では「Society5.0」の実現に向け様々な取り組みが進められており、デジタルツインへの関心が高まっています。
同社では高品質な建物を提供する他、企画・設計から竣工後の維持管理・運営までの一貫したてもの情報をデジタル化し、ユーザーに提供することが建物資産価値のさらなる向上に資すると捉え、BIMの活用を積極的に推進しているそうです。
また、同社推進中の「鹿島スマート生産」においても「全てのプロセスをデジタルに」をコアコンセプトの一つに掲げ、BIMを基軸とした新たな生産システムの構築に取り組んでいるとのこと。
BIMによるデジタルツイン
オービック御堂筋ビル新築工事での主な実施項目は以下
企画・設計フェーズ
・ビル風シミュレーションによる周辺環境への影響評価
・各種設備構成のモジュール化の検討と設計(モジュールプランニング)
・気流シミュレーションによる規格化したモジュールの評価・改善
出典:鹿島建設
施工フェーズ
・設計段階で決定した各モジュールをプレファブ・ユニット化(モジュールコンストラクション)
・工事プロセスのデジタル化ならびに進捗管理
・仮想空間と現実空間を複合させるMR技術を活用した、モジュールモデルと実際の施工状況の確認
出典:鹿島建設
維持管理・運営フェーズ
・同社のグループ会社である「鹿島建物総合管理株式会社」が運営するファシリティマネジメントプラットフォームとBIMデータの連携
・日常点検から得られた情報や中央監視設備からの各種情報をFMプラットフォームへ集積のうえビッグデータ化し、得られた知見を企画・開発へフィードバック
出典:鹿島建設
まとめ
同社では今後の展開として、BIMによるデジタルツインを全国の建築プロジェクトに展開することで、各フェーズにおける業務の効率化を図るとともに、高品質かつ高価値な建物を提供していくとのこと。
また、竣工後の維持管理・運営においては、即開発の「鹿島スマートBM」と連携のうえ、設備の最適調整による省エネ化、機器の長寿命化及び故障予測の組み合わせにより、建物のライフサイクルコスト低減に向けたトータルソリューションへ繋げていくそうです。