水中作業を可能にするICT技術、水中ガイダンスシステム

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記事のポイント

・株式会社熊谷組(以下、熊谷組)は、極東建設株式会社(以下、極東建設)との共同で、小型水中バックホウを開発した。

・このバックホウには、内閣府沖縄総合事務局と国立研究開発法人 港湾空港技術研究所が開発している「水中遠隔操作支援システム」の成果を応用した水中作業用建設機械の傾き等の機械情報や周辺情報を合成し提供する「水中バックホウガイダンスシステム」が搭載され、実施工に導入されたという。

小型水中バックホウの開発と水中ガイダンスシステムの導入

熊谷組と極東建設が共同で開発した小型水中バックホウに、水中バックホウガイダンスシステムを搭載することで、目標の目視が困難である水中での建設機械の操作が誘導潜水士無しで施工できることが確認されたとのこと。このシステムを導入することによって、施工の生産性は約3倍になることが確認され、安全性と作業効率の向上を図ることができたという。

この技術の開発の背景には、異常気象での豪雨で玉石や流木を含む数百㎥の土砂が堆積したダム式発電所の放水口においては、渇水期に短期間で効率よく堆積物を撤去する必要性が生じていた事に起因する。

この堆積物を事前に水中測量した結果、約600㎥もの物量を撤去しなければならないことが判明。しかし放水口はトンネル状の暗渠となっており、グラブバケット浚渫などの作業船舶の利用ができないことから、試験的に潜水士による人力施工を行ったそうだが、目視確認すら困難な水の濁りと、その作業環境は水深14m、水温10℃以下という状況で、潜水士にも肉体的負担が大きいことから、期待できる撤去量には至らなかったという。

そのような現状から機械化施工が必要だと判断され、小型水中バックホウの新規開発に至っている。さらにi-Constructionのマシンガイダンス技術を水中現場に応用し、ソナーで計測した作業状況を運転席に表示することで、目視確認が効かない濁水環境下でも安全で効率的な作業を実現させた。


出典:熊谷組

施工方法と装置選定

堆積物量が数百㎥あるため、潜水士の人力堀削やエアリフト浚渫、水中ネットコンベアなどによる連続揚収が効果的ではあるが、透明度が極端に低い水中での回転機械の使用は、潜水ホースの絡まりなどの重大事故に繋がる可能性がある。

そこで水中バックホウによって堆積物を暗渠外へ搬出後、穴あきベッセルによって陸上揚収するという施工手順を適用することとなる。また、上空制限のある現場条件のために使用可能なクレーンは25tラフテレーンクレーンとなるため、定格荷重3t以下の機械装置の開発が必要となったそうだ。


出典:熊谷組

水中マシンガイダンス

水中の透明度は約30cm程度と極めて低い状況であり、運転席から周囲状況を目視で確認するのは不可能な環境。また作業現場となる放水路は暗渠狭隘部のうえ傾斜しているため、安全性の確保にはコンクリート壁面やアーム角度などの機体姿勢をグラフィカルに表示する「水中マシンガイダンス」が有効であると判断された。

水中マシンガイダンスの特徴としては、外界状況を計測するためのソナーが追加されており、機体周辺の堆積物の形状や機体と水路壁面までの距離を表示可能となっている。また水路壁面などの構造物の形状を3D表示することで、狭隘部での位置関係を直感的に認識することができ、放水路壁面や天井との接触事故を防ぐ事が可能だ。


出典:熊谷組

効率化の比較

水中を模擬した陸上でのテストにおいて、潜水士誘導による運転とマシンガイダンスと同等の有視界による運転の効率比較を行い、約3倍の操作効率向上が認められ、水中でも同等の効率であることが確認されている。


出典:熊谷組

また誘導の場合、潜水士の音声指示のみで地面状況を認識するが、水中マシンガイダンスはソナー計測によって地形表示していることから、水中透明度は約30cm程度という全く視認できない状況下でも、マシンガイダンスによって周辺認識率は高くなり安全性の向上や作業効率化に有効となる。

導入の結果

システムは電源開発株式会社の水力発電所放水口土砂排除工事に適用された。3tの水中バックホウを現場に投入後、暗渠壁面位置や暗渠底面の状況をソナーで確認し、潜水士の搭乗操作によって放水口暗渠内に侵入し堆積土砂を撤去。3tバックホウのバケット容量は0.08㎥ということから24~25回の移動・堀削・運搬を繰り返した。


出典:熊谷組

今回の施工現場への導入は2020年11月25日~2021年2月19日までの期間で約530㎥の堆積物を撤去したという。水中作業はこれまで潜水士の肉体労働に依存してきていたそうだが、これには濁水で周辺が見えないという要因が大きく関係しており、この課題に対し、機体姿勢のコンピュータグラフィックス表示やソナー映像による周辺地形を運転席に設置した水中モニターに表示することで解決している。


□株式会社熊谷組
水中作業のICT 技術 小型水中バックホウの開発 -水中ガイダンスシステムの導入-
リリース記事:https://www.kumagaigumi.co.jp/news/2021/pr_20210520_1.html

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