奥村組✕西松建設✕戸田建設「土木工事プラットフォーム」で稼働する「進捗Pro™」「濁水ウォッチャー™」を開発。

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株式会社奥村組(以下、奥村組)、西松建設株式会社(以下、西松建設)、戸田建設株式会社(以下、戸田建設)の3社が、株式会社ネクストフィールド(本社:東京都渋谷区、社長:中川 勲治)の協力のもと、計画工程に対する進捗度をスマートフォンで管理できる「進捗Pro™」と濁水処理施設の数値・データを遠隔管理する「濁水ウォッチャー™」を開発し、実際の工事現場での利用開始というリリースニュースをおとどけします。

実現場に適用し、生産性向上・労働時間短縮を実現

システム全体のイメージ図

土木工事プラットフォームについて

土木工事における情報を一元化し、リアルタイムでの見える化、施工リスクの早期発見を図ることを目的に、奥村組・西松建設・戸田建設の3社は2023年7月に共同研究開発に関する契約を締結し、2024年3月に「土木工事プラットフォーム」を構築しました。

当プラットフォームでは、これまでに「シールド掘進にともなう振動計測」、「地盤掘削等にともなう山留壁の変状計測」の2つのアプリケーションを開発し、上記3社によるJVで施工中のシールドトンネル工事をモデル現場として検証しました。
振動計測については、シールドマシンに設置した振動加速度から換算した地上の振動レベルの予測値を、山留壁の変状計測については、山留壁に設置した傾斜計とアンカー軸力計の数値を、それぞれe-Stand※1に表示するとともに、危険度レベルに応じたアラートの発報システムを搭載しています。

今回開発した2つのアプリケーション

3社がこれまで蓄積してきた施工に関する知見を活かし、本システムで現場管理の効率化をサポートするため、建設現場で汎用的に利用できる2つのアプリケーションを新たに開発しました。

3社が施工する道路リニューアル工事、鉄道工事、シールド工事等をモデル現場とし、2つのアプリケーション(進捗Pro™、濁水ウォッチャー™)の有効性について検証しました。

進捗Pro™

時間制約が厳しい道路占用工事や営業線内鉄道工事などで、計画工程に対する進捗度をスマートフォン等による操作で可視化し、作業箇所と遠隔地(施工者や発注者の事務所)双方において、進捗状況をリアルタイムで共有を可能とするアプリケーション。
工事に関わる複数人が進捗状況を容易に打刻、閲覧することができ、適切な工事継続の可否判断を行うことが可能となります。

進捗Pro™イメージ図

濁水ウォッチャー™

濁水処理施設の排出値や薬剤の残量は通常、アナログメータ等で管理され、担当職員による現認が必要でした。当アプリはアナログメータ等をOCRカメラ※2で読み取り、数値化することで、データの自動共有と遠隔可視化、設定した値によりアラートの発報を行い、工事担当者に知らせます。
これにより、遠隔監視が可能となり、現地での確認作業の省力化、アラート機能による早期のリスク検知を実現します。

濁水ウォッチャー™イメージ図

他社提供の開始

建設業界全体の生産性向上、現場管理の効率化を進めていくため、他の建設会社に土木工事プラットフォームのサービス提供を開始しました。現在、中堅ゼネコンの道路占用工事や、地方ゼネコンの舗装工事では進捗Pro™の利用が始まっています。

今後の展望

奥村組・西松建設・戸田建設の3社はネクストフィールドと共同で、今後も各社で蓄積してきた施工ノウハウと情報基盤を活かすとともに、熟練の現場監督がもつ現場管理の知識や感覚などのナレッジと現場情報を一元化し、技術開発への応用を進め、土木工事プラットフォーム内のアプリケーションを拡充してまいります。

さらに、当プラットフォームでの他社利用を積極的に展開することで、建設業界全体の現場管理の効率化を下支えし、持続的な発展・活性化に貢献してまいります。

※1 e-Stand ネクストフィールドが提供する建設現場向けダッシュボードサービスで、必要な情報をリアルタイムに一覧表示・操作することができます。

※2 OCRカメラ OCR(Optical Character Recognition/Reader)とは、写真や画像から文字を読み取り、テキストとしてデジタルデータ化する(光学文字認識)技術です。
OCR機能のあるアプリでは、画像やカメラで撮影した写真から文字を認識して読み取り、テキストデータを抽出できます。

資料引用:奥村組/西松建設/戸田建設

おわりに

独自プラットフォームを他社普及を積極的に展開するには、いくらか障壁があることを留意しなければなりません。

□技術的障壁
異なるシステム間の互換性:
各企業がすでに使用している既存の業務システムやソフトウェアとの連携がスムーズに行えない場合、データの移行や同期に大きな手間とコストが発生します。

セキュリティとデータ管理:
複数の企業が参加するため、データの共有範囲やアクセス権限を厳密に設定し、情報漏洩を防ぐための強固なセキュリティ対策が必須となります。

□組織的障壁
参加企業へのインセンティブ:
プラットフォームの利用が、参加企業にとって明確なメリット(コスト削減、生産性向上など)を伴わない場合、積極的な導入や利用が進みにくい可能性があります。

業務フローの変更:
新しいプラットフォームの導入は、従来の業務フローを大きく変えることになります。この変化に対する従業員の抵抗や、プラットフォームを使いこなすための教育・トレーニングコストも障壁となり得ます。

□経済的・法的障壁
コストの負担:
プラットフォームの構築、維持、運用にかかるコストを、提携企業間でどのように公平に分担するかという問題が生じます。特に中小企業にとっては、その負担が参入のハードルとなる可能性があります。

責任と契約の明確化:
プラットフォーム上で発生した問題(データ破損、遅延など)に対する各企業の責任範囲や、機密情報の取り扱いについて、事前に詳細な契約を締結し、明確にしておく必要があります。


【本件に関するお問い合わせ先】
□株式会社奥村組
技術本部 技術研究所
廣中 哲也(ひろなか てつや)
TEL:029-865-1744
FAX:029-865-1522
E-mail:tetsuya.hironaka@okumuragumi.jp
リリースニュース:
https://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2025/3-pro.html

□西松建設株式会社
リリースニュース:
https://www.nishimatsu.co.jp/news/2025/3.html

□戸田建設株式会社
リリースニュース:
https://www.toda.co.jp/news/2025/20250819_006095.html

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