株式会社Malme(以下「Malme」)は、中央コンサルタンツ株式会社(以下「中央コンサルタンツ」)と、設計分野における生産性向上を目指し、生成AIを活用した「橋梁上部工BIM/CIMモデル自動生成」の共同研究を2025年9月より開始というリリースニュースをおとどけします。
橋梁上部工BIM/CIMモデル自動生成


橋梁上部工BIM/CIMモデル自動生成ツールのイメージ図
※画面は開発中のものであり実際とは異なります
研究内容
Malmeは、土木業界の設計から施工までを効率化する建設DXサービスを提供しており、その研究開発の重点領域のひとつが、LLMを用いて自然言語から直接3次元モデルを生成する「Text to BIM」技術です。
本共同研究では、この「Text to BIM」技術を活用し、中央コンサルタンツと協力して生成AIを用いてテキストベースの設計データから直接3次元モデルを生成できる仕組みを構築するべく、概念実証(PoC)を実施していきます。
これにより、設計の検討工程における3次元データの活用に向けた省力化・効率化を図り、BIM/CIMモデルを活用した3次元設計の標準化を目指していきます。
今後の展望
初期段階では橋梁予備設計のデータを対象としていますが、技術者の持つイメージをそのままモデル化する(Vision to Model)ことを念頭に、汎用的な3次元モデル生成をサポートする技術として開発を進めていきたいと考えています。
将来的には既存の図面資料や現地計測結果などを活用したモデル生成についても研究開発を進めていきます。
これにより、設計のみならず維持管理段階での3次元データ作成の省力化・効率化を実現し、建設業界全体におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に貢献していきます。
私たちは、これらの研究開発を通じて、より持続可能で効率的な建設プロセスの実現に挑戦して参ります。
資料引用:Malme
おわりに
ここで、ふと思うのですが、LLMを用いて自然言語からBIMモデルを生成できるのであれば、平面図面(展開図)からBIMモデルを生成した方がより実現性が高いと思うのですが、なぜ、「Text to BIM」技術を選択したのでしょうか
① 情報の構造化と精度の高さ
自然言語(チャット)は、非常に自由度が高く、あいまいな表現も含まれることがあります。例えば、「リビングを広めにして」といった指示は、具体的な寸法や形状を確定するために、多くの推論や追加の対話が必要になります。一方、平面図面や展開図は、寸法、壁の位置、開口部のサイズなど、BIMモデルを構築するための具体的かつ正確な情報がすでに構造化された形で含まれています。
② 既存技術との親和性
CADデータやPDF化された図面を読み取り、それを元に3Dモデルを生成する技術はすでに存在します。LLMと組み合わせることで、単なる形状の読み取りだけでなく、図面に記載された文字情報(例えば「LDK」「柱」などの記号や注釈)の意味を理解し、属性情報(材質、仕上げ、部材名など)を自動的に付与することが可能になると推測できます。これにより、従来の技術よりも高度で、より完全なBIMモデルの生成が可能になります。
③ 技術的難易度の違い
自然言語から3Dモデルを生成する「Text to BIM」は、LLMが設計者の意図を理解し、それを建築的なルールや常識に照らして具体的な形状に変換するという、高度な推論能力を必要とします。これに対し、平面図からBIMモデルを生成するアプローチは、LLMの推論能力に加え、図面という明確なデータソースを利用できるため、より効率的で精度の高いプロセスを構築できる可能性が高いと言えます。
結論として、「Text to BIM」技術の実現は、平面図面や展開図といった、より構造化された設計データからBIMモデルを自動生成する技術の、大きな可能性を示唆していると考えられます。これは、建設・建築業界におけるBIMの導入をさらに加速させるブレークスルーになるかもしれません。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□株式会社Malme
リリースニュース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000076112.html
ウェブサイト:https://malme.net/
□中央コンサルタンツ株式会社
リリースニュース:https://www.chuoh-c.co.jp/news/news250902.html
ウェブサイト:https://www.chuoh-c.co.jp/