2025年JAF全日本ラリー選手権第6戦
動画引用:TOYOTA GAZOO Racing
9月5日〜7日に開催された2025年の全日本ラリー選手権、シーズン最後のグラベル(未舗装路)ラリーとなるのは第6戦「RALLY HOKKAIDO」。
北海道の東に位置する帯広市を拠点に、十勝地方の林道やオフロードサーキットを舞台として競われる。かつては国内初のWRCも開催された、20年以上の歴史を持つ大会であり、MCCのみならず各クラスでチャンピオンを狙う選手にとってのまさに天王山となる一戦です。
#81 ロッソモデロ 大東建託 GR ヤリスDATの兼松✕山下
#92 ロッソレーシング 大東建託 WinmaX DUNLOP スイフトの藤原✕宮本
この2台の北の大地を削った轍の記録をおとどけです。
■競技種目
スペシャルステージラリー
■開催日程
2025 年 9 月 5 日( 金)~7 日( 日) の 3 日間
■場所
北海道十勝地方
ラリースタート/フィニッシュ : 北愛国サービスパーク (北愛国交流広場)
■ コース概要
スペシャルステージの路面 :グラベル(95%) 一部ターマック(5%)
総走行距離 :632.32 ㎞
スペシャルステージの総距離 : 102.60km
スペシャルステージの数 :12本
レグ・セクションの数 :2レグ・4セクション
■コースコンディション
土曜:晴れ ドライ
日曜:雨のち曇り ウェット~ハーフウェット
■エントリー車両

JN2 Class / MORIZO Challange Cup
#81 ロッソモデロ 大東建託 GR ヤリスDAT
トヨタ GR ヤリス DAT RJ 車両
Dr 兼松由奈
Co.Dr 山下秀

JN4 Class
#92 ロッソレーシング 大東建託 WinmaX DUNLOP スイフト
スズキ スイフトスポーツ RJ 車両
Dr 藤原友貴
Co.Dr 宮本大輝
■サービス/ メンテナンス
TEAM KANEMATSU
岐阜トヨペット




今大会は、北海道帯広市を中心に開催され、かつて世界ラリー選手権でも使用されたステージを含む全日本ラリーで最も大規模なラリーです。
セレモニアルスタートとラリーショーは例年通り帯広駅前で行われ、多くの観客が集まり大きな盛り上がりを見せました。
ステージは、全日本ラリー最長の23km のスペシャルステージを含み、ツイスティな林道から海外ラリーを思わせるようなハイスピードステージまで多彩な構成で、非常にチャレンジングなラリーとなりました。土曜に23km のステージ「ヤムワッカ」を含む8SS/ 約90km を走行し、日曜は4SS/ 約13k の設定のため、土曜日が大きなカギとなります。
TEAM KANEMATSU としては初めてのラリー北海道への挑戦で、2 台体制でのグラベルラリー参戦も初となりました。兼松/ 山下組にとっては初のグラベルラウンドとなり、藤原/ 宮本組は前戦で見せた速さを武器に優勝を狙いました。
LEG1 (1日目)




大会初日は「パウセカムイ」「陸別」「ヤムワッカ」をループする8SS が設定されました。
午前中に5 本のステージを走る長丁場で、サービスパークも北愛国サービスパークから陸別サーキットへ移動して設営するリモートサービスの形式。
兼松/ 山下組は完走を目標に、少しずつステージタイムを上げながら順調に走行。
SS3 では前走車のトラブルにより低速での走行となり、救済タイムが適用。
午後のSS6「ヤムワッカ」ではパンクに見舞われ、ステージ内でタイヤ交換を行い無事にフィニッシュ。
藤原/ 宮本組は序盤から積極的にプッシュするもののスポット参戦の小舘/ 伴組や鮫島/ 船木組に遅れを取る3 番手で昼サービスへ。
午後は安定した走行で順位をキープし、2 位と約40 秒差の3 位でLEG1 を終えました。




LEG2(2日目)



2 日目は4SS 構成。うち2 本はショートのギャラリーステージであり、勝負の鍵を握るのは林道の「オトフケ」ステージ。
轍が深く、大きな穴が連続するステージで、マシンをいたわりながらの走行が重要となりました。
兼松/ 山下組は、トラブルなく全SS を走破。
最終ステージは赤旗中断となりましたが、初のラリー北海道を無事に完走することができました。
一方の藤原/ 宮本組は午前のループで猛プッシュし、前日約40秒あった2位との差を約5秒まで縮め、午後は2 位をかけたバトルとなりました。
最終ステージでは良いペースで走行していましたが、フィニッシュまで残り200m というところで横転。リタイアという結果になってしまいました。
チームとして初めて挑んだラリー北海道は、2 台体制でのリモートサービスなど初めて経験することも多く、大きな成長を得られた大会でした。
藤原/ 宮本組がリタイアとなってしまったことは非常に悔しく、ここまで応援してくださった皆様に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
チームとして、監督として、ドライバーとして自分自身が反省しなくてはならない部分も多くあり、チームメンバーそれぞれが新たな経験を得た半面、反省点が大いにある大会となりました。
車両ダメージが大きいため、残るシーズンはJN2 クラスGR ヤリス1 台での参戦となります。今回の経験を糧に、残るターマックラウンドではドライビングもレベルアップして、より良い結果を残せるよう努力してまいります。引き続き応援いただけますと幸いです。





■リザルト■
エントリー台数 61 台(オープン含 85 台)
#81 ロッソモデロ 大東建託 GR ヤリスDAT
MCC 7 位/9 台(JN2 17 位/25 台)
総合 37 位/61 台
#92 ロッソレーシング 大東建託 WinmaX DUNLOP スイフト
JN4 リタイア
総合 -
#81 Dr 兼松由奈

ラリー北海道、無事に完走することができました!
まず、全日本ラリーで最も難しいとされるラリー北海道に挑戦できたのは、スポンサー様やファンの皆様をはじめ、日頃から支えてくださる皆様のおかげです。いつもありがとうございます!
応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
今回は、2022 年にジムニーで出場して以来のグラベルラリーで、車両も速度も感覚もまったく違う環境での参戦のため、不安を抱えながらの挑戦となりました。
自分のチームとしてエントリーするとなると、ラリー北海道そのものの難しさに加え、出場するまでのハードルの高さも実感し、まずは無事にスタートラインに立てたことで少し安心しました。
LEG1 は全8ステージ。
中でも「ヤムワッカ」は今大会で最も難しいと感じたステージで、実際に20 台近くがリタイアする過酷なステージでした。私自身もSS6 でパンクし、ステージ内でタイヤ交換をすることとなり大きくタイムを失いましたが、致命的なトラブルなく走り切ることができたのは良かったです。
ラリー北海道の1 戦で得られる経験は、ターマックラリーに1 年参戦する以上に濃いと思えるほどで、多様なトラブルや路面状況など、ラリードライバーとして大きく成長できた大会だと感じています。
藤原/ 宮本組は残念ながらリタイアとなり、チームとして2 台完走を果たせなかったことはとても悔しいです。チームとしても、そしてクルー個人としても課題があるので、今後しっかりと向き合い、さらに成長していきたいと思います。残る2 戦はターマックラウンドでの1台体制となります。
グラベルから再びターマックの感覚に切り替え、前回以上の走りができるよう頑張ります!
引き続き応援よろしくお願いいたします!
#81 Co.Dr 山下秀

昔から、憧れていたラリー北海道に挑戦することがきました。
ラリー北海道挑戦に向けて準備をしていただいた皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございます。まずは、無事に完走することができてほっとしています。
コ・ドライバーとして、本格的なグラベルラリーは初挑戦となり、学びの多い一戦となりました。23km と過去に経験したことのないSS 距離+深い轍+滑りやすいぬかるんだ路面と高難易度の要素満載でしたが、なんとか走りきることができました。
DAY1 では、SS の途中でパンクしてしまい、残り7km 以上あったため、SS 内での交換を選択し、大幅なタイムロスをしてしまいましたが、そのほかは、順調に走ることがきました。
タイムの面では、まだまだ経験不足の面が大きいですが、着実に伸ばしていけたらと思います。
次戦、10 月の久万高原から、ターマック(舗装路面)でのラリーに戻ります。
今シーズンも、残り2 戦となり、シリーズ争いも終盤のため、しっかり準備して挑みたいと思います。引き続き、応援よろしくお願いいたします。
#92 Dr 藤原友貴

ラリー北海道、たくさんの応援ありがとうございました。
2 戦連続のリタイアという形で終わってしまい、支えてくれているスポンサー様、チームメンバーの皆さん、応援してくれているファンの皆様、本当に申し訳ありません。
LEG1 では、前戦カムイとは打って変わって、ハイスピードなステージと名物ヤムワッカの超ロングSS。1 日で総SS 距離が80km を超える過酷なラリーがスタート。
午前ループは遅れを取るものの、午後ループからはスイフト内クラスベストをマークし、確実にスピードアップ。グラベルマイルを稼ぎながら確実にレベルアップを実感する1 日となりました。
LEG2 では、2 位と40 秒差ある中、午前ループで5 秒差まで縮める猛追を見せました。
シリーズチャンピオンに向けてポイントがほしい中、最終SS で猛アタック。
フィーリングは良く、好タイムが出ると確信していたのですが、ゴール手前200m で轍を外してしまい、クラッシュしてしまいました。
3 年間兼松さんと皆さんで作りこんだスイフトを、自分の実力不足が原因でこのような形で壊してしまいました。大変申し訳ございません。これからもチームへの暖かい応援、引き続きよろしくお願いします。
#92 Co.Dr 宮本大輝

まずはクラッシュによりご迷惑とご心配をおかけしまして大変申し訳ございませんでした。
身体の方はその後も悪化することなく無事です。
レッキ日
早朝から広大な北海道のリエゾンの長さに洗礼を受けつつ夕方までレッキを進めました。
これまで経験のないSS 一本23 キロオーバーのレッキは書くだけでも集中力の維持が大変でした。
火曜に降った雨で路面はドロドロ、田んぼのような状態など様々な表情を見せており路面状態をしっかり表現するノート作りに注力しました。
LEG1
前日のラリーショーにてセレモニアルスタートを終えての初日、天気は快晴で路面も乾き始めており少し前走の砂埃で前が見えなくならないか心配でしたがSS1 は問題なく走ることができました。
続くSS でウォータースプラッシュ後減速が足りずオーバーラン、かなり外側に膨らんでしまいあわや落ちそうになりましたがなんとか復帰でき走行を終えられました。
今大会最長のSS ではかなり緊張している中スタート。
至る所にリタイヤ車両がありこのコースの難しさを象徴していました。
陸別のリモートサービスでは20 分とタイトな時間の中サービスメカの皆さんにきっちり作業していただき本当に感謝しています。ありがとうございます。
おかげさまで午後ループからも順調に走行でき無事に1 日を終えることができました。
LEG2
雨がぱらつく中、スタート時には晴れてリエゾンはドライアップしていました。池田ギャラリーステージは完全にヌタヌタのスリッピーな路面で全車苦戦していましたがギリギリまで走り方を練ったおかげで前順位の車との差を一気に20 秒近く短縮することができました。
続くSS でも大きくタイムを縮めることができて午後からは必ず逆転しようと考えていました。
そして最終SS スタート。
前半はかなりハイスピードなセクションもありつつわだちがかなり深くなっており車両の挙動が午前よりも大きくなっているところが多くなっていました。そしてフィニッシュ手前200m 地点の左コーナーにてイン側の石に乗り上げてそのまま車両がロールオーバーしクラッシュ。ゴール目前で完走することは叶いませんでした。
カムイに引き続き全て走り切ることはできず、さらに車も壊れてしまい兼松監督始めここまでサポートしていただいた皆様には本当に申し訳ございませんでした。絶対に次は少しでも上でフィニッシュしようという欲が出過ぎて無理をしてしまったんだと思います。
過去にないくらいのハイペースでずっとリーディングをしていましたし自分もロールオーバーの直前まではかなり余裕のない状態が続いて冷静さを失っていたと思いますのでコドライバーとして完走に導けなかったことをとても反省しております。
また新しくスタートを切れるようにひとつずつ努力や練習をしていけたらなと思いますので今後ともチーム全体の応援をよろしくお願いいたします。






次節、JAF全日本ラリー選手権 第7戦
2025年JAF全日本ラリー選手権 第7戦 久万高原ラリー
日 程:2025年10月3 日( 金) ~ 10月5日(日) の3日間
場 所:愛媛県上浮穴郡久万高原町 ハイランドパークみかわ周辺
□標高1000mを超える高地は天候の変化が鍵
例年ゴールデンウィークの時期に開催されてきた久万高原ラリーが、今年は10月へと移動。
愛媛県久万高原町のハイランドパークみかわを拠点とし、壮大な景色を誇る四国カルスト北端の大川嶺を駆け抜けるステージや、木々に覆われ苔もむしているチャレンジングな林道を使った20km超えのロングステージなどを走行。選手からの人気も高い一戦です。
また、標高1000mを超える高地で行われるため、天候の変化もめまぐるしく、ステージ走行中に霧が出ていたかと思うと一気に晴れたり、再び雨に降られたりと、タイヤ選択も含め戦略が勝負の行方を左右する一戦だと言えるでしょう。ギャラリーステージも2日間で、のべ4回の実施を予定しています。
