會澤高圧コンクリート株式会社(本社:北海道苫小牧市、代表取締役社長:會澤 祥弘 以下、會澤高圧コンクリート)と米マサチューセッツ工科大学(MIT)が共同で開発を進めている「蓄電コンクリート」が、9月25日、會澤高圧コンクリート社の研究開発の中核拠点「福島RDMセンター」(福島県浪江町)で開催されたテックイベント「結」において、世界初となる「蓄電コンクリート標準モジュール」の公開と点灯式を開催。あわせて、蓄電コンクリート技術を使ったプロダクツの企画開発と全国的な普及体制の構築を目指して全国45社のコンクリートメーカー・関連企業が結集し、「蓄電コンクリート工業会」が正式に設立というリリースニュースをおとどけします。
蓄電コンクリートの世界初の点灯式と工業会設立

1年半の研究成果発表とMIT記念講演を実施
昨年4月に會澤高圧コンクリートとMITによる研究開発コンソーシアムを設立して以来、北海道および福島県浪江町の自社拠点において、カーボンブラックの選定や練り混ぜ方法の確立をはじめとする各種実験を継続してきました。
およそ1年半にわたる研究の成果として、本日その進捗を発表するとともに、社会実装の基盤となる標準蓄電モジュールの構造的特徴について説明しました。
標準蓄電モジュールは、コンクリートに炭素微粒子であるカーボンブラックを添加して電子伝導性を付与し、電極として機能させたコンクリートを用いたスーパーキャパシタです。
45センチ角の2枚の電極の間に電解液を含浸させたセパレーターを挟み込むことで約1Vのセルを形成し、このセルを25層積層することで約25Vを発生するユニットとなります。さらにセパレーターを湿潤状態に保つため、コンクリートハウジングで封止し密閉状態を維持します。
これらのユニットを4基接続することで100V級の出力を持つモジュールを構築することが可能であり、
世界で初めて1立方メートルスケールで構築された蓄電コンクリート標準モジュールとなります。

なお、本モジュールに蓄電した電力は、トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」から供給しました。
MIRAIに使用されている水素は、浪江町に位置する世界最大の水素製造拠点であるFH2R(福島水素エネルギー研究フィールド)において、太陽光発電を活用して製造しています。
研究発表の後にはMITによる記念講演が行われ、ec3コンソーシアムの中核メンバーであるMITのアドミール・マシック准教授とヘッサム・アザリ・ジャファリ博士が登壇。
両氏からは本研究の成果に対する謝辞とともに、本技術が再生可能エネルギーの有効活用や温室効果ガス排出削減に寄与し、住宅やインフラへの応用を通じて2050年までに大規模な脱炭素化を実現し得る可能性について言及がありました。
蓄電コンクリート工業会を設立、社会実装に向けた体制を発足
「蓄電コンクリート工業会」は、2024年4月に會澤高圧コンクリート社とMITが共同で研究開発コンソーシアムを立ち上げ、蓄電コンクリートの日本における社会実装と普及を呼びかけたことを契機に、全国の主要コンクリートメーカーや製造設備サプライヤーが賛同して同年9月に設立準備会が発足しました。2025年3月に開催された第一回準備会において執行部を任命し、半年間にわたり関係各社と設立に向けた協議と準備を積み重ね、本日正式に発足しました。
設立総会では、標準蓄電モジュールを基盤とする今後の開発計画と事業計画が示され、東京都によるGX関連産業創出支援事業への採択を受けて進める研究開発の方針について参加各社に共有され、合意が得られました。
工業会では今後、蓄電コンクリートの供給体制を全国規模で確立することで、再生可能エネルギーの効率的な蓄積と供給、分散型エネルギー網の構築、自己発熱機能によるエネルギー消費の低減などの実現を目指し、社会実装に向けた産業連携を加速させてまいります。
資料引用:會澤高圧コンクリート
おわりに
この蓄電コンクリート技術は、これまでの住宅像を根本から変える可能性を秘めています。
蓄電コンクリート技術で作られた未来の住宅は、「蓄電池を内蔵した、強靭で自立分散型のスマートハウス」です。
太陽光などで発電した電気は、床下などに組み込まれた長寿命な蓄電コンクリートユニットに効率よく蓄えられ、建物寿命と同じ期間、自家消費を支え続けます。
これは、住宅そのものが劣化しにくい巨大なバッテリーとなることを意味し、災害時にも電力インフラの強靭化に貢献します。
さらに、この技術はコンクリート3Dプリンターとの親和性が極めて高いことも重要なポイントです。
3Dプリンターを使うことで、機能部品である蓄電ユニットの外装や、屋外のベンチ・モニュメントといった構造物を、デザインと機能を両立させた自由な形状で造形することが可能とするでしょう。
これにより、蓄電機能が住宅や街並みの美観を損なうことなく、自然な形でシームレスに組み込まれていくでしょう。
會澤高圧コンクリートが設立した工業会と、住宅メーカーとの連携が加速することで、この技術は早期に標準化され、私たちの住まいが「エネルギーを自給自足し、地域を支えるインフラの一部」へと進化も考えられるでしょう。
コンクリートがただの建材ではなく、未来のエネルギーを担う主役となる——建築とテクノロジーの融合が生み出す、この新しい住まいの形に大いに期待しましょう。
■本プレスリリースの問い合わせ先
□會澤高圧コンクリート株式会社
リリースニュース:https://www.aizawa-group.co.jp/news2025092501/
蓄電コンクリート工業会 事務局
(會澤高圧コンクリート株式会社内)
住所:北海道札幌市東区苗穂町12丁目1-1
電話:011-723-6600