株式会社竹中工務店(以下、竹中工務店)が、活況を呈するデータセンター市場に対応するため、建設業界では初めてデータセンターに特化した設計支援ツールを開発というリリースニュースをおとどけします。
データセンター設計支援ツール

過去の知見をデータベース化し、立地条件や必要設備等の基本情報を入力するだけで、事業化の検討に必要な設計プランが作成できます。
これまで数カ月を要していた作業が約2~3週間に短縮されるため、お客様への迅速な提案が可能となります。
開発の背景
データセンター市場は拡大を続けています。
竹中工務店は営業本部を中心とした建種別市場対応チームを設け、関係部門と連携して対応を行っています。
データセンター特有の設計では、建築ボリューム(延べ床面積、高さ、階数等)を決める際、IT容量を効果的に確保するため、建築的要件(敷地面積、高さ制限、データホール面積等)と設備的要件(電源密度、空調冷却能力、必要機器台数や冗長構成※等)の複合的な検討が必要です。
業界の優良事例や標準的な設計手法を体系化し、より迅速かつ効率的な設計プロセスを実現するため、専用ツールの開発が求められていました。
※システムの一部が故障しても停止しないように、複数の機器やシステムを並べて設置する構成
本ツールの特徴
プロジェクトの初期段階において、「設計基本計画」を検討・作成するためのツールです。
データセンター設計における標準的な手法と最新の技術動向を反映し、体系化されたアプローチにより、建物ボリュームや内部の設備配置図が効率的に作成できます。
主な機能は以下の通りです。
設備の仕様・容量作成 :データセンターの標準設備である受変電・発電機・無停電電源・熱源・空調機等の仕様や容量を自動作成
ボリューム検討・作成 :データホール(サーバールーム)と関連諸室に必要なスペースを自動で検討・作成
3D画像作成: 建物全体のボリュームや内部構造、設備配置等が視覚的に分かる3D画像を自動作成
期待される効果
設計品質の向上 : 標準化されたプロセスにより、安定した高品質な設計を実現
設計生産性の向上 : 初期段階での効率的な検討により、設計期間・工数を大幅に削減
合意形成の迅速化 : 3D画像等の視覚的なツールにより、お客様との認識共有が促進され、早期の合意形成が可能
今後の展開
竹中工務店は、本技術開発を通じて、急速に拡大するデータセンター市場における設計業務の効率化と品質向上を実現し、デジタル社会の発展を支える施設づくりに貢献してまいります。
資料引用:竹中工務店
おわりに
一言で言えば、このニュースは「データセンター(DC)版のEDA(設計自動化)ツールの誕生」を意味しています。
これまでベテランの設計者が数カ月かけて行っていた「基本計画(建物の大きさや設備の配置を決める初期段階)」を、わずか2〜3週間に短縮できる仕組み。
自動化される主な項目としても…
・設備計算: 受変電、発電機、UPS(無停電電源装置)、空調などの容量を自動算出。
・ボリューム検討: サーバー室(データホール)や付随する部屋の最適な広さを自動検討。
・可視化: 建物内部の構造や設備配置を、即座に3D画像で生成。
ここで半導体の設計に目を移すと、同じく設計の自動化ツールソフトでシェアの高いケイデンス・デザイン・システムズ社(Cadence Design Systems, Inc. / CDNS)が挙げれます。
半導体や電子システムの設計に不可欠なEDA(電子設計自動化)、コアEDA(Electronic Design Automation)で回路設計、シミュレーション、検証など、複雑なチップを設計するための統合環境を提供します。近年は「AI for Design」を掲げ、AIが最適な設計案を自動提示するツールが成長を牽引しています。
一見、ナノメートルの微細な世界と巨大建築という対極にある両者ですが、その本質は「設計の自動化(Design Automation)による複雑性の克服」という一つの大きな潮流で繋がっています。
ケイデンスは、AIが自律的にチップを設計する「エージェント型AI」を提唱し、人間には処理しきれないほど複雑化した半導体設計の壁を突き崩そうとしています。
一方で、竹中工務店が開発したツールは、建築・設備・熱といった多変数が絡み合うデータセンターの基本計画を、数カ月からわずか数週間へと短縮させました。
これは、いわば「建物のEDA(電子設計自動化)」と呼ぶべき進化です。
ここに見えるのは、AIが生み出す巨大な循環構造です。
ケイデンスのツールで設計された高性能なAIチップは、竹中工務店のような企業が効率的に設計・建設した次世代データセンターに収まり、そこでさらなる次世代AIが育まれる。
この「設計の垂直統合」こそが、2026年現在のテックとインフラの最前線と言えるでしょう。
半導体から基板、そして建物全体へと広がるシミュレーションと自動化の波。
私たちが目にしているのは、物理空間とデジタル空間の境界が溶け合い、一つの「知的なシステム」として世界が再構築される過渡期なのかもしれません。
この加速する世界を読み解くには、個別の技術だけでなく、それらがどう繋がり、補完し合っているのかという「マクロな視点」が、かつてないほど重要になっています。
【お問い合わせ】
□株式会社竹中工務店
リリースニュース:https://www.takenaka.co.jp/news/2026/03/02/