現場の資材搬送を自動化するロジスティクスシステム

sugitec

こんにちは。建設現場の作業の中でも意外に割合の高い作業として、資材の運搬があります。

今回はそんな資材の運搬作業を機械で自動化するロジスティクスシステムを大林組が開発されたとのことで、そちらをご紹介したいと思います。

ロジスティクスシステムというあまり聞き慣れない言葉が出てきましたが、ロジスティクスとは効率的・発展的なモノの流れと保管、サービス、および関連情報を計画・実施・コントロールする過程という意味の言葉です。

AGVとエレベーターの連携で上層階への揚重を省力化

大林組では建設現場内の資材の搬送において、AGV(Automated Guided Vehicle)※無人搬送車の意。とエレベーターを連携して制御することで、階層を問わず自律的な搬送を可能とするロジスティクシステムを開発。


出典:大林組

建設現場では、日々大量の資材を繰り返し運ぶために、運搬に要する労務割合が非常に高くなります。

同社ではこれまでにもフロア内にて資材を自動搬送するAGVを開発し、運搬作業を機械に代替する生産性向上に取り組んできています。

しかし搬入した階から上層階へ揚重する場合、エレベーターを操作しなければならないため、その操作に関しては作業員が介在する必要があります。

この度開発されたロジスティクスシステムでは、WEB上で入力した資材搬送スケジュールに基づいて、搬入階から目的地までの搬送を完全に自動化できるシステムになっているそうです。

これにより、夜間など作業員がいない間に資材を搬送することも可能となり、作業員を資材運搬作業から解放し施工業務に専念することが可能となります。

システムの全体像


出典:大林組

2台のAGVが連携し、自律搬送する様子

システムの特長

1.状況を判断してAGV、エレベーターを連携し制御

一般的な建設現場内の資材搬送は、トラックで建物の1階に搬入された資材を、エレベーターで目的フロアに揚重しフロア内の作業場所まで運搬することです。

このシステムでは、あらかじめ各フロアを複数のエリアに区分。専門工事会社が事前に資材の搬送スケジュールを入力する際に資材の搬送元と搬送先のエリアを指定します。

建設現場内に設置した複数の天井カメラ映像から資材の位置を認識し、事前に用意した地図に従って搬送先まで自律的に経路を設定するとともに、複数のAGVに順番に搬送の指示を与え、それと連動するようにエレベーターを制御します。

急なスケジュール変更があったとしても、管理者が搬送先を修正するだけで、システムがAGVとエレベーターの制御を最適に組み替えて資材を搬送できます。

また、作業時間中に利用する場合は、天井カメラがエレベーター前に待機している作業員を検知し、人数の多いフロアへ優先的に自動でエレベーターを呼び出すので、資材の揚重効率を下げずに作業員を移動できます。

2.資材の幅を把握して経路を最適化

本システムの指示下で動作するフォークリフト型のAGVを新たにスイスのストックリンAG社と共同開発。

従来のAGVは想定される最大資材の大きさに合わせて安全領域を設定する必要があるため、本来通れる経路を選択できない場合があったそうです。

しかし今回開発されたAGVはレーザーセンサーで資材の幅を計測し、それに合わせた安全領域を自動で設定するため、AGVの走行性能を最大限に活かした最適な経路を選択し搬送できるとのこと。

3.安全な自律ロジスティクス

建設現場内で複数のカメラを天井に設置し、俯瞰画像から荷物の位置と置き方に問題がないかをチェック。同時に同じ画像を使ってAIが作業領域への人の侵入を瞬時に検知し、危険と判断した場合にはAGVの動作を停止します。


出典:大林組

このシステムでは、メインサーバーが複数のAGVとエレバーターの状況を把握し、各AGVが備える安全装置と併せて統合的に管理するので、個別のAGVが判断する形の従来システムよりも安全性を高めることが可能。

さらに管理者はタブレットなどの端末で、AGVの位置やエレベーターの稼働状況を監視できるので、異常があれば即座に対応が可能です。

まとめ

同社では、このシステムを建設現場で積極的に活用していくとともに、これまでに開発している低床式AGVも同システムの指示下で制御できるよう改良し、工事状況に合わせた最適なAGVを導入出来る体制を構築していくとのこと。

資材搬送の自動化で大きなネックになるのが、エレベーターの移動。作業員がいちいちエレベーター操作に手を取られてしまっては劇的な効率化とは言えません。

今回のこの進化したシステムでエレベーター操作も自動化できるようになったことで、放っておけるようになったというのはかなり大きいと思います。

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