工事業、土木工事業等、第3四半期決算からみる動向

sugitec

こんにちは。ヒューマンタッチ株式会社が運営するヒューマンタッチ総研が「総合工事業」「土木工事業」「電気設備工事業」「管工事業」「プラント・エンジニアリング業」「住宅建設業」の6業種に分け、2020年の3月期第3四半期決算から見る市場動向を独自分析した資料が公開されていました。

ヒューマンタッチ総研は公的データを集計し、毎月独自の分析をまとめていますので中々興味深いです。

建設業主要各社の第三四半期決算から見る市場動向

全体の概況

6業種の合計で増収増益。特に収益性が大幅に向上

2020年3月第3四半期決算(連結)の各業種の主要10社の実績を合計すると、6業種の合計売上高は前年同期比で3.8%増。営業利益は同21%増、経常利益は同18.6%増、純利益は同25.7%の増で、特に収益性の向上が顕著に(下図)。

業種別では電気設備工事業のみ純利益ベースで減益となっているが、経常利益ベースでは増益となっており、事業活動における収益性は高水準にあると考えられます。


出典:PRTIMES

業種別の主要10社の決算結果

総合工事業(ゼネコン)

◆9社が増収、うち7社が増収増益、売上高・利益ともに好調の結果

堅調な民間設備投資や公共投資を背景に、10社中9社が増収、うち7社が増収増益となっています(下図)。

大手ゼネコン4社では、「大林組」「清水建設」「大成建設」の3社が増収増益。「鹿島建設」は純利益が前年同期比15.5%減となっているが、売上高は同2.3%の増になっており、各社ともに豊富な手持ち工事を順調に消化し、好調な決算に。

なお、通期業績予想については4社ともに据え置いています。準大手ゼネコンの「五洋建設」「戸田建設」は売上高、営業利益、経常利益、純利益全てが前年同期比で二桁の伸び率となり、ともに純利益の通期予想を上方修正。

このように業界全体としては好調な決算の中、長谷工コーポレーションのみがマンション工事の施工量の減少、完成工事総利益率の低下等で、減収減益に。

また、安藤ハザマは増収増益であるが、一部大型工事の進捗および採算性が予想を下回ることから、通期業績予想を売上高、純利益ともに下方修正しているという結果。


出典:PRTIMES

土木工事業

◆6社が増収増益で、特に収益性の向上が顕著に

10社中9社が増収、うち6社が増収増益となり、好調な決算が続いている(下図)。道路舗装大手5社を見ると、業界トップの「NIPPO」が減益となっているが、「前田道路」「日本道路」「東亜道路工業」「世紀東急工業」の4社は増収増益に。

特に純利益は、前田道路が前年同期比131%増、日本道路が同68.4%増、東亜道路工業が同926.6%増、世紀東急工業が同59.5%増と4社ともに大幅に伸びており、収益性の向上が顕著な結果に。

また、通期業績予想を見ると、「川田テクノロジーズ」「ライト工業」「世紀東急工業」の3社が経常利益を上方修正しており、業界全体において収益性の向上が進んでいることが分かる結果になっています。


出典:PRTIMES

電気設備工事業

◆9社が増収となるも、増収増益は6社に減少

10社中9社が増収で、うち7社が前年同期比二桁の伸び率となっていますが、増収増益企業は第2四半期時点の9社から6社に減少(下図)。

ただし、減益となった4社のうち、「コムシスホールディングス」「協和エクシオ」「中電工」の3社は経常利益ベースでは前年同期を上回っており、また10社合計においても経常利益ベースでは増益になっていることから、事業活動における収益性は高水準にあると考えられます。

経常利益ベースでも減益となったのはユアテック1社であり、情報システム関連費用の増加が要因として挙げられています。


出典:PRTIMES

管工事業

◆8社が増収増益であり、大幅に収益性が向上

10社中9社が増収、うち8社が増収増益と非常に好調な決算に(下図)。特に純利益については、「高砂熱学工業」が前年同期比29%増、「大気社」が同91.3%増、三機工業が同69.3%増、ダイダンが同31.6%増、新日本空調が同27.8%増と、各社ともに大幅な増益に。

1社のみ減益となった「朝日工業社」についても経常利益ベースでは増益となっており、業界全体で収益性が大幅に向上。「日比谷総合設備」は黒字転換し、通期業績予想に純利益も上方修正しています。


出典:PRTIMES

プラント・エンジニアリング業

◆5社が増収、うち3社が増収増益で業績は改善傾向

10社中5社が増収であり、このうち「栗田工業」「太平電業」「レイズネクスト」の3社が増収増益に(下図)。太平電業は売上高が前年同期比17.7%増、純利益が同41.8%増、レイズネクストは売上高が同19.6%増、純利益が同149.4%増と大幅な増収増益で、両社ともに通期業績予想の純利益を上方修正しています。

前年同期は純利益が▲128,151百万円だった千代田化工建設が、16,867百万円の黒字に転じるなど、業界全体で収益性が向上しています。


出典:PRTIMES

住宅建設業

◆増収増益は1社のみ。厳しい決算となる

増収増益は業界トップの「大和ハウス工業」のみで、4社が赤字決算となる厳しい結果に(下図)。業界全体では増収増益となっていますが、これは大和ハウス工業の売上高・利益の金額が大きいためで、同社を除いて売上高と純利益を集計すると減収減益に。

また、大和ハウス工業の住宅建設における売上高を見ると、戸建て住宅が3,536億円で前年同期比0.4%減、賃貸住宅が7,497億円で同4.8%減となり、住宅建設業の経営環境は厳しいと考えられます。


出典:PRTIMES

まとめ

こうしてみると、住宅建設業以外の建設関連主要企業の決算は、ほぼ増収増益という結果で非常に好調であることがうかがえます。一方の住宅建設業に関しては10社中4社が赤字決算になっているという厳しい結果に…。

長谷工さんに関しては保有マンション用の土地転売案件の小型化による減収や、コンクリート等の資材価格の上昇、人手不足による人件費の上昇等の要因があるようです。

住宅の新築着工件数などは、2030年には現在の約半数となる55万戸まで減少すると予測されており、今後も厳しい状況は続いていくと思われます。

しかしそれは既存のビジネスモデルのままの場合であり、今後は既存住宅販売を中心とするストック市場の推進を政府も推めていることから、新たなビジネスへの転換は必須になってきます。ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)などがいよいよ増加してくるでしょうね。

記事参考:PRTIMES「ヒューマンタッチ総研が独自分析 建設業主要各社の2020年3月期第3四半期決算まとめと今後の市場動向」

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