電子タグを用いた排水管通球試験システム

sugitec

こんにちは。最近ドローンによる物流倉庫等の資材管理でも活用されるRFID*。いわゆる電子タグですが、従来のレーザでスキャンする方法であるバーコードの読み取りとは違い、複数のタグを電波で一気に読み取れるバーコードの上位版のようなものです。

そのRFIDを「排水管の通球試験」に活用するというシステムが、「長谷工コーポレーション」より開発されたそうです。

 RFIDとは
Radio Frequency Identification. 無線電波による非接触式の読み書き自動認識技術。通常のバーコード読み取り運用では1枚1枚スキャンする必要があったが、RFIDでは電波が届く範囲内であれば遠くからでも読み取りが可能。また、複数タグの読み取りや箱の中に隠れているタグでも読み取りが可能。

排水管通球システム、まずは首都圏で本格運用が開始

同社はこの度、RFIDを利用した排水管通球試験システムである「Drain Trace(ドレイントレース)」を開発(特許出願中、商標登録済)。

国内外の産業においてICT等のテクノロジー関連の技術は日々進化しており、同社でも労働者不足や労務費と材料費の上昇や、ユーザーニーズの多様化、環境問題の深刻化等の環境認識のもと、ICT活用を推進しているとのこと。


出典:長谷工

この度のシステム開発では、新築分譲マンションの竣工前に実施する設備検査において、これまで手作業で行われていた排水管の通球試験の業務効率化を図ることを目的に2018年の5月より実証を開始されています。

排水管通球試験とは
配管内に水とボールを一緒に流すことで水を流すだけでは発見ができない逆段差や異物の詰まりなどを確認する試験のこと。

その実証の結果、検査時間の削減や検査記録の書類作成時間の削減などが図れたほか、検査結果のエビデンスを取得することにも繋がるため、首都圏新築分譲マンションの設備検査にて本格運用を開始する運びとなったそうです。

RFIDを用いた「Drain Trace」の効果

・設備工事会社による検査時間の削減(約3割)
・設備工事会社による検査記録等の書類作成時間の削減(約3割)
・計測結果の自動入力によるエビデンスの取得(計測データの信頼性向上)
・タイムスタンプによる入力データの正確性・作業性の向上
・排水管内に滞留した試験ボールの簡易検知


出典:長谷工

使用機材・タグ

RFID+試験ボール

ICチップとアンテナを内蔵するRFIDに固有のIDを記録。シール型のRFIDを試験ボールに装着。

RFIDリーダーライター

RFIDに電波を当て、返ってきた情報を読み取る機器。5~10m先のデータを読み込むことが可能(無電力)。上部にはスマートフォンが搭載され、無線通信回線を用いてクラウド上のデータベースに情報を書き込む。


出典:長谷工

まとめ

現在は首都圏での本格運用とのことですが、今後は近畿圏や中部圏へも導入を推進し、設備検査の業務効率化を図り、建設作業所における生産性向上へ寄与していくとのこと。

出口から出てきたボールのRFIDを読み取ることで、計測の結果が自動的にクラウドのデータベースに自動入力されるという、試験作業員にとってはかなり有り難いシステムですね。

また。通常の方法では配管内にボールが滞留してしまった場合、どの地点にいるのかの把握が難しかったと思いますが、RFIDがあることで隠れた場所であっても電波が届けば読み取れるというメリットもあります。

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