大成建設、AIを用いた安全装備確認システムを開発

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記事のポイント

・大成建設株式会社(以下、大成建設)は、株式会社IIU(以下、IIU)と共同で、AIを用いた安全装備の装着を高速に高精度に確認できる「T-iSafety Protection」を開発した。

・作業員の入場時における画像データを基に、音声や点灯による警告装置と連動させ、安全装備の装着状況を確認するとともに、不備の周知や記録画像・統計データを可視化する仕組みを導入することで、放射線被ばく管理を徹底できるという。

入場時の正確な安全装備確認により放射線被ばく管理を徹底

大成建設とIIUは除染や中間貯蔵施設関連工事で放射線被ばく管理が必要となる作業における、作業員の安全装備をAIにより確認するシステム「T-iSafety Protection」を共同開発した。

除染や中間貯蔵施設関連工事などの放射線の影響を受ける作業では、除染電離則※等に基づいた作業員の被ばく防止管理が必要となり、ヘルメット等の通常の安全装備に加えて、防じんマスクや手袋などの装着が必須とされる。

[aside type=”boader”] 除染電離則とは
平成23年に厚生労働省が定めた「東日本大震災により生じた放射性物質で汚染された土壌等を除染するための業務に係る電離放射線障害防止規則」。除染特別地域等内において、除染等業務従事者及び特定線量下業務従事者その他の労働者が電離放射線を受けることをできるだけ少なくするための事業者の責務を定めている。[/aside]

大成建設ではこれまでに入場前、朝礼時にそれらの安全装備を目視で確認してきたそうだが、休憩などで一時的に退出した後、再入場する際にそれら安全装備確認をする監視員を確保しなければならないという課題があった。

そこで両社では、AIを活用した作業員の安全装備の確認システムである「T-iSafety Protection」を開発。また、それを警告装置と連動させることで、安全装備の不備と目視確認での人的ミスを低減する管理システムを合わせて構築した。

また、大成建設が福島県で施工中の中間貯蔵施設関連工事において、2020年10月より試験的にこの技術の導入・運用をはじめ、その有効性の確認と作業員の放射線被ばく管理の徹底を図ったという。

この技術には4つの特長がある。1つ目はカメラと高速・高精度に物体認識可能なAIを活用することで、作業員がカメラ前で立ち止まることなく、入場動作に対しリアルタイムに作業員の安全装備装着の確認を可能としている。


出典:大成建設

2つ目は、AIの判定結果を基に、安全装備に不備がある明場合は警告灯と不備の内容を音声で警告することができるようになっている。「ヘルメットを装着してください」等、音声により具体的内容で不備を警告する。

3つ目は、安全装備の不備状況を可視化できるということで、判定された結果はサーバーにアップロードされ、データベースに蓄積される。Webアプリを用いることで、記録されたデータから過去の判定結果や画像に加え、装備品ごとの警告発報数、期間ごとの警告発報数の推移などの統計情報の可視化も可能だ。


出典:大成建設

4つ目は、このシステムによる安全装備の不備状況の画像データ等は全て記録されているため、それを不備事例として関係者間で周知することで、効果的な安全教育に役立てることができるという。

今後、大成建設では除染や中間貯蔵施設の関連工事に従事する作業員に対し、安全装備装着を正確に確認し、放射線被ばくを管理できる仕組みとして、各作業所へシステムの導入を進めていく。また、将来的には土木・建築工事などにもこのシステムの適用を図っていくという。


□大成建設株式会社
AIを用いた高速・高精度な安全装備確認システム「T-iSafety Protection」を開発
入場時の正確な安全装備確認により、放射線被ばく管理を徹底
リリース記事:https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210413_8120.html

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