大林組
東名リニューアル工事に「施工シミュレータ」を初適用。

sugitec

概要

株式会社大林組(以下、大林組)は、トヨタ自動車株式会社未来創生センター(所在地:愛知県豊田市、センター長:古賀伸彦)が開発した「施工シミュレータ(※1)」を東名リニューアル工事に適用し、トヨタ自動車の協力のもと、3DCGによる工事現場の再現および作業シミュレーション技術により、工程や作業員数の最適化を実現というリリースニュースをお届けします。

工事現場の作業状況を見える化、工程や作業員数の最適化

東名リニューアル工事(東名多摩川橋)(※2)は、老朽化した橋梁のコンクリート床版を新たな床版に取り替える工事で、渋滞などの影響を最小限にすることが求められることから、大林組「DAYFREE®」工法を応用し施工しています。夜間の限られた時間で工事を完了させる必要があり、工程の綿密な事前検討が求められます。

そこで大林組は「施工シミュレータ」を床版設置後に主桁と固定するための無収縮モルタル打設や、隣り合う床版と接合するためのスリムNEOプレート®(※3)の設置などの作業工程で適用しました。その結果、工程の最適化を図り、作業時間および作業員数をそれぞれ2割削減できることを確認しました。

「施工シミュレータ」の適用の詳細とその結果は以下のとおりです。

バーチャル現場を構築し、作業状況を見える化

施工場所である高速道路や施工機械、新しい床版など、目に見える部分を3DCGで表示することで、
バーチャル現場を構築します。そして、実際の作業員の動きをバーチャル現場内で再現し、施工機械や他の作業員との連携作業を見える化しました。

カイゼン工程の作成

バーチャル現場でのシミュレーションの結果、当初計画の工程では待機している作業員が多く、作業員数に対し時間のムダが多く発生していることが分かりました。そこで、施工順や次工程へのタイミングの見直しを行いながら、各作業を作業員に適切に割り当てることで時間のムダをなくしました。

結果として、当初計画では60分必要だった工程を50分まで短縮できること、かつ作業員数も12人から10人に削減できることをシミュレーションで確認しました。

カイゼン前の作業ログ
カイゼン工程の作業ログ

現場への展開・運用

構築したバーチャル現場のシミュレーションは、アニメーションで現場へ展開し、作業開始前の作業員向け説明資料に使用しました。現場環境と作業が見える化されたことで、詳細な工程検討や作業員の配置が可能となり、作業工程の深い理解にもつながりました。

今回、部分的な工程最適化を実施しましたが、今後は昼間工事と夜間工事の最適な作業人員の配置や能力を考慮した作業の振り分けによる平準化など、「施工シミュレータ」を活用することで、さらなるカイゼンが期待できます。

大林組は、「施工シミュレータ」を高速道路のリニューアル工事のほか、繰り返し作業の多い土木建築工事や、鉄道などの限られた時間での切り替え工事などにも活用し、生産性改善とリスク回避による安全な施工と高品質を実現し、既存インフラの長寿命化・機能強化に貢献していきます。

※1 施工シミュレータ
トヨタ自動車が中心となって開発した、現場作業員の生産性向上を目的とした3D可視化による作業シミュレーション技術
※2 東名リニューアル工事(東名多摩川橋)
工事区間:東名多摩川橋 上下線(E1 東名 東京IC~東名川崎IC間)
工事概要:老朽化した橋梁のコンクリート床版を新しい床版に取り替える工事
工期:2021年11月下旬~2024年11月下旬(約3年間)
NEXCO中日本公式ウェブサイト
※3 スリムNEOプレート®
大林組が開発した超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート®」を用いて工場製作したプレキャスト板

資料引用:大林組

おわりに

今回の様にトヨタの施工シミュレーターを使って、人員配置や作業割り振りの最適化を図り、建設業界では、業務のクラウド化によるムダ削減が進んでいます。
このように手待ちのムダまで削減されたことで、工程DXの時代が始まるのでしょうか。
しかし、あまりにも効率化を進めれば、一人にかかる工程量は増加するでしょうし、工員への適切な休憩確保、安全面でのケア、メンタルケアに配慮したシミュレーターのアルゴリズムも必要と考えるライターでした。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□株式会社大林組
コーポレート・コミュニケーション室広報課
リリースニュース:
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20230324_1.html

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