大林組
木造ハイブリッド構造の大林組「仙台梅田寮」を動画やVRで紹介。

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概要

株式会社大林組(以下、大林組)は木造ハイブリッド構造の社員寮「仙台梅田寮」を、2023年3月、宮城県仙台市に建設しました。
「杜の都」と呼ばれる仙台において、仙台梅田寮では国産スギ材約830m³、国産カラマツ材約70m³を使用しており、建物のライフサイクルを通じて約540tのCO2を固定することで、低炭素社会(カーボンニュートラル)の実現に貢献しています。本日のリリースニュースは完成した「仙台梅田寮」を動画やVRで紹介の模様をお送りします。

木造ハイブリッド構造の大林組「仙台梅田寮」

建設にあたっては、「CLTユニット工法」を開発。木の板を重ね合わせたCLT※1(Cross Laminated Timber:直交集成板)をユニット化したものを、約120個据え付けて一棟を構築しています。

※1 CLT(Cross Laminated Timber)
CLTは板の層を各層で互いに直交するように積層接着した厚型パネルのことで直交集成板ともいう
仙台梅田寮の概要や、CLTユニット工法で組み立てる様子
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「CLTユニット工法」とは

高品質化と1.5ヵ月の工期短縮を実現。

本工法は、CLTパネルを工場で事前に組み立てて搬入することで、現場での作業はユニット同士の接合のみとなるため、鉄骨造と比較して1.5ヵ月、現地でパネルを組み立てる工法に比べて1ヵ月工期が短縮できます。

加えて、工場での組み立てにより高い品質を保てるだけでなく、現場作業員の省人化や工事中の騒音・振動の低減に寄与します。

また、通常、壁・天井・床で四方を囲う形とするユニットを、あえて壁と天井のみを組み立てた門型の形状とすることで、ユニットを4tトラックで運搬できるサイズ(幅:2,200mm、高さ:2,800mm、長さ:6,000mm)に抑え、大型車両が通行できない車両規制道路を利用した搬入を可能としました。

これにより、日本では道路運搬規制によって実現が難しいとされる、PPVC(※2)の実現に近づくだけでなく、ユニット工法が適している集合住宅やホテルなど、同じ形状の部屋が連続する建物用途への木材適用を後押しします。

本工法では、壁と天井パネルの接合には、木材をかみ合わせて接合する「あられ組」に、木栓をすることで緩みを防止し、より強固に結合させる「改良あられ組」を開発し導入しています。これにより、木材をつなぐ金物が不要となり、コストを削減できます。

※2 PPVC(Prefabricated Prefinished Volumetric Construction)
自立型ユニット(壁、床および天井の仕上げを含む)をオフサイトで製造し現場で設置する工法工程が大幅にスピードアップするとともに、ほこりや騒音による汚染を最小限に抑えることができるなど、生産性を高める革新的な技術として注目されている

CLTユニット工法概念図

改良あられ組概念図

原木を加工してCLTが製造される様子

大林組は、木造・木質化建築におけるサプライチェーン全体を最適化する循環型ビジネスモデル「Circular Timber Construction®(※3)」を掲げています。
今後も持続可能な社会の実現をめざして、CO2排出量が少なく、長期間にわたりCO2を建築物に固定できる木造・木質化建築に積極的に取り組み、木材利用のさらなる普及・促進を図っていきます。

※3 Circular Timber Construction®
木造・木質化建築の推進にとどまらず、大林グループが保有する森林関連の事業実績やノウハウ・知見を活かし、国産木材に関する川上(植林・育林)から川中(加工・調達)、川下(建設、発電、リユース・リサイクル)まで、素材生産~製材~利用~植林という循環サイクル全体を持続可能で最適なものにする取り組み

資料引用:大林組

おわりに

折しも、6月20日付けの読売新聞オンラインからの記事から

2025年大阪・関西万博に日本政府が出展するパビリオン「日本館」の建設工事について、予定価格内で応札がなく、入札が不成立となっていたことがわかった。
再入札は手続きに時間がかかり、4月の開幕までに完成できない恐れがあるとして、政府は任意に建設事業者を選ぶ随意契約に切り替える。
随意契約は競争が働きにくく、建設費が膨らむ公算が大きい。
日本館は鉄骨3階建て、延べ1万1360平方メートル。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」をホスト国政府としてアピールする拠点となり、各国の要人らをもてなす外交上の役割も担う。政府は予定価格を公表していないが、発注額は50億円以上としている。
工事を発注する国土交通省近畿地方整備局によると、公募を始めた1月から期限の5月11日までに、応札した建設事業者はあったものの、予定価格を上回っていたという。
当初の計画では6月中旬に着工し、25年2月末の完成を予定していた。

大阪・関西万博については、既に大林組、清水建設、竹中工務店をそれぞれ代表とする共同企業体(JV)が主要会場のそれぞれ1工区ずつを落札し、関西の地盤を保った。

大林組のCLTユニット工法をみると、循環型社会の実現の理念をもとに、省人化とコストダウン、そして工期短縮も伺えるが…
はたして「日本館」の建設を担うのは、どこになるのだろうか。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□株式会社大林組
リリースニュース:
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20230426_3.html

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