大林組✕NTTコミュニケーションズ
建設現場を3ヵ月間安全に巡回飛行、所要時間を1/6に削減。

sugitec

概要

株式会社大林組(以下、大林組)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、屋内建設現場における施工管理の効率化をめざし、ドローンを活用した完全無人巡回による工事進捗管理※1の実証実験(以下 本実証)を3ヵ月にわたって実施というリリースニュースをお届けします。

ドローンの完全無人巡回で建設現場の工事進捗管理に成功

本実証により、屋内建設現場の巡回・記録に要する時間を従来の1時間から10分に短縮するとともに、日々変化する状況下において、安全に自動巡回ができることを確認しました。

背景

建設業界では、工事写真の撮影および測量の目的でドローンの利用が進んでいますが、屋外での使用が多く、GNSS※2が取得できない屋内での活用は進んでいません。
大林組とNTT Comは、2021年より現場巡回をはじめとする施工管理業務の効率化をめざし、屋内建設現場でも安全に自動巡回できるドローンの活用に向けて、運用検証を共同で実施してきました※3

従来、ドローンの利用においては、離着陸やバッテリー交換のために操縦者が現場にいる必要がありましたが、本実証では自動給電可能なドローンポートと専用のドローンポートシステムを導入することにより、ドローンのみの完全無人巡回を実現しました。

実証実験に使用したドローンポート「Skydio Dock」

ドローンが開口部から地下に降下する様子

本実証の内容

本実証は東京都港区の大規模建設現場にて実施しました。当現場は地上と地下の工事を並行して実施しており、地下空間では重機による掘削作業が行われていたことから、職員の立ち入りが困難で進捗管理に時間を要していました。本実証では、Skydio, Inc (以下 Skydio) 製の自律飛行型ドローン「Skydio2+」と専用のドローンポートシステム「Skydio Dock and Remote Ops.」の活用で操縦者を不要とすることにより、進捗管理の効率化を図りました。

「Skydio2+」は、機体の上下に搭載されたカメラで取得した映像から、周囲の3次元環境と自己位置を推定します。これにより、工事の進捗により周囲の状況が変化した場合でも障害物を回避し、安全に自動巡回できます。「Skydio Dock and Remote Ops.」は、事前の飛行ルートやスケジュールをクラウドサービス「Skydio Cloud」上で設定する機能を有します。また、自動離発着、自動給電機能を備えており、特に大規模現場において課題となる、現場と現場事務所間の行き来に要する手間と時間を削減できます。さらに、ドローン映像のリアルタイム配信機能により、遠隔地から現場状況を確認することが可能となり、施工管理者や普段現場に立ち入ることのない発注者も、安全に工事進捗を確認することができます。実証期間は2023年11月から3ヵ月にわたり、平日の21時から約10分間の飛行を合計56回実施しました。

ドローン・ドローンポートを活用した工事進捗管理イメージ

両社の役割

大林組
建設現場の実証フィールド提供
建設現場で活用するための機能・運用面での課題洗い出し

NTT Com
Skydio製品の運用サポート、Skydioとの技術提携・機能要望の調整
取得データの解析

同一ポイントで自動撮影された写真群

今後の取り組み

大林組とNTT Comは、2024年度内に建設現場での本運用開始をめざし、現場への導入支援体制を整備していきます。本実証ではドローンで撮影した動画による進捗管理を実施しましたが、今後は動画から切り出した連続的な静止画を点群生成ソフトで解析し、3次元点群データや3Dモデルを作成するなど、映像の二次利用による工事進捗管理の高度化と、施工管理業務の効率化を推進します。

自動飛行で取得した動画から解析された3Dモデル

※1 進捗管理とは、毎日の現場巡回による工事進捗状況の確認や、作業工程を記録するために工事写真を撮影・記録することです
※2 GNSS(Global Navigation Satellite System)とは、人工衛星から発信される信号を用いて自己位置などの測位を行う技術で、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)などの衛星測位システムの総称です。屋外でのドローン飛行時の位置測位に一般的に用いられます
※3 ドローンを活用した屋内建設現場の効率的な進捗管理の実証実験に成功(2021年12月17日付)
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20211217_2.html

資料引用:大林組

おわりに

ドローン・ドローンポートを活用した工事進捗管理イメージでは、遠隔で進捗を人が介入していますが、いずれはここに建設DXに特化した生成AIの判断が加わる将来像が描けるでしょう。
しかし、そのための物理的なインフラの構築は始まったばかり…。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□株式会社大林組
コーポレート・コミュニケーション室広報課
リリースニュース:https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20240322_2.html

□NTTコミュニケーションズ株式会社
プラットフォームサービス本部
5G&IoTサービス部 ドローンサービス部門
ML:infra-drones@ml.ntt.com

経営企画部 広報室
ML:pr-cp@ntt.com

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