建設DXサービス「SPIDERPLUS」を開発提供するスパイダープラス株式会社(以下「スパイダープラス」)は、株式会社長谷工コーポレーション(以下「長谷工」)とこの度、2023年から本格運用を開始した「外壁タイル接着率判定システム」(以下 当該システム)をバージョンアップというリリースニュースをおとどけします。
外壁タイル接着率判定システム、バージョンアップ
◆適用範囲拡大、更なる品質管理向上と業務省力化を実現
新バージョンでは、長谷工と東京大学松尾研発スタートアップ 株式会社Athena Technologies(本社:東京都文京区、代表取締役社長:阿部 武)が新たに共同開発した「AIを活用した画像解析機能」を採用したことによって、当該システムによる接着率判定の適用範囲が拡大し、更なる品質管理向上と業務省力化が実現いたします。今後、スパイダープラスより本システムを外販し、業界全体の品質向上と生産性向上に寄与して参ります。
「外壁タイル接着率判定システム」新バージョンのポイント
当該システムの従来バージョンでは、タイルと接着剤が同系色の場合、接着率の判定が正確に行われないケースがありました。
新バージョンでは、新開発のAI画像認識技術セグメンテーションモデル※1を採用することによって、iPhoneカメラでタイル裏面を撮影し測定範囲を指定するだけで、色彩に関係なく接着率の算出および均等な接着を判別し、合否判定を行うことが可能です。
また、従来バージョンと同様※1に、建設現場で正確かつ客観的な検査および記録が即時に行え、事務所で検査記録が自動で作成できます(特許出願中)。これにより、外壁タイル施工における検査業務全体の約65%(約12時間)の削減を実現します。
※1 画像のどこに何があるのかを識別し、あらかじめ定義した区分に分割することができるAI画像認識方法

「外壁タイル接着率判定システム」の開発背景
長谷工では、2018年より建設DXサービスSPIDERPLUSを導入し、建設現場における図面・工事写真の管理や、安全パトロール、各種検査などで活用を進めており、2023年より外壁タイル施工における検査精度の向上、業務効率化を目的に当該システムの本格運用を開始しています。
有機系接着剤による外壁タイル後張り工法の検査※2(以下 当該検査)では、品質管理のため、接着剤のタイル裏面への適正な接着率を確保し、均等に接着していることが重要です。
2018年5月に国土交通省より通知された「建築物の定期調査報告における外壁の外装仕上げ材等の調査方法について(技術的助言)」では、検査記録として“有機系接着剤の充填状況を検査した結果”を残す必要があります。
従来、当該検査における接着状況の確認及び合否判定は目視で行っていた為、検査者による検査精度のばらつきが生じる可能性があり、また、検査記録作成には多くの時間を要しておりました。
※2 建築工事標準仕様書・同解説 JASS19セラミックタイル張り工事 pp.181-183, 2022.10

[ご参考]1棟14階建て66戸の共同住宅物件にて当該システムを導入した場合の業務省力化効果

資料引用:スパイダープラス
おわりに
このAI画像認識技術における「セグメンテーションモデル」は、画像内の各ピクセルがどの物体に属するかを分類する技術です。
ピクセル単位で正確な輪郭を抽出できるため、「AIの目」として高度な認識を可能にします。
セグメンテーションモデルは、大きく3つのカテゴリに分けられます。
●セマンティックセグメンテーション
各ピクセルがどのクラス(カテゴリ)に属するかを分類します。 たとえば、画像内のすべての「車」をひとつのクラスとして認識し、ピクセル単位で区別します。個々のインスタンス(A社の車、B社の車など)を区別せず、同じクラスの物体をひとつのまとまりとして扱います。
●インスタンスセグメンテーション
同じクラスに属する個々の物体(インスタンス)を区別します。 たとえば、画像内に3台の車がある場合、それぞれの車を個別のインスタンスとして認識し、異なるIDを割り当てます。この技術は、物体ごとの数を数えたり、特定の物体を追跡したりする際に非常に有用です。
●パノプティックセグメンテーション
上記2つの技術を組み合わせたものです。 すべてのピクセルをクラス分け(セマンティック)しつつ、個々の物体(インスタンス)も識別します。
これにより、画像全体を包括的に理解することができます。
ここで活用分野をすこし見てみましょう。
セグメンテーションモデルのピクセル単位での正確な認識能力は、以下のような分野で活用を期待されています。
医療分野
病変部の正確な特定: MRIやCTスキャン画像から、腫瘍や病変部、臓器の輪郭を自動で抽出し、医師の診断を支援します。
これにより、診断の迅速化や精度向上が期待されます。
自動運転
環境認識の高度化: 道路、歩行者、車両、標識などをピクセル単位で正確に識別し、車両の安全な走行判断を支援します。
歩行者や自転車の検出: 複雑な背景の中でも、個々の歩行者や自転車を正確に検出し、衝突回避の精度を高めます。
農業
病害虫の検出: ドローンで撮影した農地の画像から、病気に侵された植物や害虫を正確に特定し、早期の対策を可能にします。
収穫ロボット: 果物や野菜の正確な位置と形状を認識し、ロボットが自動で収穫する際に活用されます。
小売・製造業
欠陥検査の自動化: 製造ラインで製品の傷や欠陥をピクセル単位で検出し、品質管理を自動化します。
棚卸し・在庫管理: 小売店の棚の画像から、商品ごとの在庫を自動でカウントし、品切れを予測します。
簡単にAI画像認識技術「セグメンテーションモデル」を見てきましたが、「外壁タイル接着率判定システム」バージョンアップ版は推測するに、「パノプティックセグメンテーション」型でバージョンアップされたのだろうと考えられます。しかし、接着施工後に外壁タイルをiPhone撮影して、「接着」割合をどう判定しているかがに疑問符が残ります。そもそもiPhoneには赤外線カム機能は備わっていない。タイル接着不良があれば、タイル面に温度差が生じるので、それを赤外線カムで撮影して可視化されまます。その赤外線写真を資料に機械学習で可か不可を判定することがセオリーとライターはふと感じるのは自然ではないでしょうか。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□スパイダープラス株式会社
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