東京 杉並区で起きた崩落事故が突きつける現実

東京・杉並区の家屋倒壊から1週間 “倒壊のおそれのある擁壁”の緊急点検
2か所で「傾きや膨らみ」が去年より進行区は早急な補修工事など指導する方針東京・杉並区で起きた住宅の倒壊をうけて区が行った擁壁の緊急点検の結果、ほかにも2か所で擁壁の傾きや膨らみが、去年に比べて進行していることがわかりました。
杉並区は先月30日、区内で高さ4~5メートルの擁壁が崩れて2階建ての住宅が倒壊したことを受けて、同様に崩れるおそれのある区内の擁壁24か所の緊急点検を行いました。
その結果、2か所の擁壁で傾きや膨らみが、去年に比べて進行していることがわかりました。2か所は、それぞれ高さおよそ1.2メートルとおよそ1メートルの石積みの擁壁で、区は、所有者に早急な補修工事や建て替えなどを行うよう指導するとともに、周囲にカラーコーンなどを設置して通行人に注意を促すということです。
先月30日に崩れた擁壁は41年前から亀裂が入っていることを区が把握し、所有者に指導を続けてきていて、補強工事が近く行われる見通しでした。
杉並区は、ホームページに擁壁を点検する際のポイントを掲載するなど、擁壁の所有者にむけて適切な維持管理を呼びかけています。
記事引用:2025年10月8日 0時35分 TBS NEWS DIG
ここで私たちが注目すべきは、崩落した擁壁が「41年前から亀裂が把握されていた」という点、そして、他の擁壁でも「劣化の進行」が確認されたという点です。
擁壁は一度造れば半永久的に持つものではありません。
それは、地盤や構造物を専門とする私たちにとって、常に監視と診断が必要な「生き物」のようなものです。今回の事故は、適切な調査と対策を怠った結果が、取り返しのつかないことにつながることを示しています。
「うちの擁壁は大丈夫だろうか?」
こうした不安を抱えたまま、危険な擁壁の上や下に住み続けることはできません。
自己判断ではなく、科学的な根拠に基づいた専門家の調査こそが、あなたの安心と、何よりも大切な命を守るための絶対的な第一歩となります。
本日のブログではこの緊急事故を受け、弊社スギテックが提供する「土木構造物調査」と「鉄筋調査」という非破壊検査技術が、いかにして擁壁の「沈黙の危険」を見抜き、悲劇を未然に防ぐ力となるのかを、具体的に解説します。
なぜ「去年の点検」では不十分なのか? 専門家による構造物調査の必要性
今回のニュースで最も恐ろしいのは「去年に比べて傾きや膨らみが進行している」という事実です。
これは、単にひび割れがあるという初期症状ではなく、崩壊に向かうプロセスが加速していることを意味します。
石積みの擁壁や古いコンクリート擁壁の劣化は、以下のような形で進行します。
初期段階:表面のひび割れ、水抜き穴からの土の流出
中期段階:内部への水の浸透、鉄筋の錆び、それに伴うコンクリートの膨張・剥離(ポップアウト)
末期段階:擁壁全体の傾斜、大きな膨らみ、部分的な崩落の兆候
素人の目視では、わずかな「進行」や、内部の深刻な劣化を正確に把握することは不可能です。
だからこそ、区の指導に応え、所有者としての責任を果たすためには、科学的なデータに基づく「土木構造物調査」が不可欠なのです。
【土木構造物調査】でリスクを「数値化」する
擁壁の「進行」を正確に捉え、危険度を定量化する
弊社スギテックの「土木構造物調査」は、擁壁の健全性を客観的に評価することに特化しています。
精密な変形計測
レーザー機器や高度な測量技術を用いて、擁壁の「傾き(変位)」や「膨らみ(はらみだし)」をミリ単位で正確に計測します。これにより、「去年より進行している」という曖昧な判断ではなく、「〇〇ミリ傾斜が進行した」という定量的なデータでリスクを把握できます。
劣化状況の全容把握
亀裂の幅、深さ、水抜き穴の機能、変状範囲などを詳細に記録し、擁壁が抱える問題の全体像を把握します。
健全度・残存耐用年数の評価
得られた計測データと構造物工学の知見に基づき、現在の擁壁の健全度を診断し、適切な補修や補強を行わなかった場合の残存耐用年数を予測します。これにより、所有者は「いつまでに、何をすべきか」という具体的な行動計画を立てることができます。
この調査結果は、区からの補修指導に対して、根拠のある対策案を提出するための強力な裏付けとなります。

目に見えない構造物の「健康診断」:【鉄筋調査】で崩壊の根本原因を探る
崩落した擁壁が41年間放置されてきた背景には、コンクリート内部の劣化、特に鉄筋の腐食が深く関わっている可能性が高いです。鉄筋が錆びると膨張し、コンクリートを内部から破壊し(これを爆裂と呼びます)、亀裂や膨らみの原因となります。この内部の状態を、擁壁を壊さずに診断するのが、「鉄筋調査(レーダー探査)」です。
非破壊レーダー探査で内部の隠れた危険を暴き出す
鉄筋探査(かぶり厚さの測定)
電磁波レーダー(地中探査レーダー)を用いて、コンクリートを破壊することなく、内部に埋設された鉄筋の位置、かぶり厚さ(表面から鉄筋までの距離)を正確に測定します。かぶり厚さが不足していると、鉄筋が外部の水分や酸素に触れやすく、錆びの進行が加速します。
劣化原因の特定
鉄筋の配置状況が設計図通りかを確認するとともに、爆裂が起きている箇所の鉄筋の状態を推定。擁壁の表面的な症状(傾き、膨らみ)の真の原因が「鉄筋腐食」にあるのかを特定します。
最適な補修計画の策定
鉄筋の位置とかぶり厚さがわかれば、補強工事(アンカー工法など)を行う際に、どこに穴を開け、どのように補強材を設置すれば最も効果的かを正確に設計できます。これにより、無駄のない、安全性の高い補修工事を実現します。
この非破壊調査は、特に古い擁壁や、設計図が残っていない擁壁の「健康診断」として極めて重要です。

「予防保全」という安全
今回の杉並区の事故は、所有者責任という観点からも、社会的な教訓を残しました。
区の指導を待つのではなく、自らの意思で安全を確認し、対策を講じることが、これからの所有者に求められる責務です。
弊社スギテックは、「土木構造物調査」と「鉄筋調査」という二つの柱を組み合わせ、擁壁の表面的な変状から内部構造の健全性まで、トータルで診断し、お客様に「真の安全」を提供します。
費用や補修方法に不安がある方も、まずは専門家による正確な診断を受けてください。崩落による甚大な被害や賠償責任を考えれば、予防のための調査費用は、未来の安心を買うための最も賢明な投資です。私たちは、古都、京都から地域の安心な住環境を支える専門家として、科学的な診断と改修で、持続可能な住環境の構築に貢献いたします。
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