大成建設 アスベストを安全・効率的に除去できる「T-ジェット工法」の機能向上。

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大成建設株式会社(以下、大成建設)は、アスベスト含有吹付材をウォータージェットで安全かつ効率的に除去できる「T-ジェット工法」の機能向上を図るとともに、施工現場ごとの最適な作業方法までを含めたパッケージ運用体制を新たに整備というリリースニュースをおとどけします。

「T-ジェット工法」の機能向上

汎用性の高い小水量型に改良し、従来比2倍の施工効率を実現

新しい「T-ジェット工法」では、微細ミスト噴射量の上限値を6L/分に設定するとともに、2方向分岐が可能な装置へ改良しました。
これにより、超高圧水の使用水量を低減しつつ、1台で2カ所の同時作業が可能となり、施工効率は従来の2倍に向上しました。

アスベストを含む建物の改修・増改築・解体工事に際しては、環境省および厚生労働省が定めるマニュアルに従って、飛散防止および作業員の曝露防止措置を講じたうえで、適切に除去作業を行う必要があります。
また、鉄骨の耐火被覆に多く使用されてきたアスベスト含有吹付材は特に飛散リスクが高く、隔離養生や閉鎖空間の措置を講じ、防護服と防塵マスクを着用した作業員による手作業での除去が行われています。しかし、外壁パネルと柱の間の狭隘部や隅角部など、人の手が届きにくい部位も多く、除去作業には多大な手間と労力を要していました。

大成建設が2020年に開発した「T-ジェット工法」は、狭い隙間でも超高圧水を噴射できる独自形状のロータリー式ハンドガンと、少水量型の超高圧水発生装置(ポンプユニット)を組み合わせることで、狭隘で複雑な箇所においても安全かつ効率的にアスベスト含有吹付材を除去することが可能です。
そのため、最も飛散性が高い建材区分であるレベル1のアスベスト除去を実現しています。

新しい「T-ジェット工法」の特長は以下のとおりです。

1 余剰水が少なく排水処理の手間とコストを軽減可能
小水量型(1.5~6.0L/m)のウォータージェットで微細ミストを生成することで、アスベスト繊維を含む排水量を大幅に削減できます。
このことは、噴射水量および噴射圧力を任意に可変できることが最大の特徴です。これにより、排水処理の手間・時間およびコストの低減が可能です。また、小水量運用により吹付材を適切に湿潤化でき、こぼれ水の発生を防ぐとともに、ミスト効果によって粉じんの発生も抑制します。

2 3分割ポンプユニットの小型設計で機動性に優れる
ポンプユニットは制御装置・高圧ポンプ・分配器の3つで構成され、それぞれが小型設計となっています。このため、既設・仮設エレベーターへの積載が可能で、現場条件に応じて機動的かつ効率的に除去作業を展開できます。

3 2カ所同時作業で施工効率が2倍に向上
高圧ポンプに連結した分配器により、1台のポンプユニットから高圧ホースを2方向に分岐することが可能です。
また、それぞれ異なるノズル類を取り付けて、2カ所(最大3L/m×2、)最大160m離れた場所でも同時に除去作業を行うことが可能です。

4 現場状況に合わせてノズル類を選定でき汎用性が向上
ノズルヘッドやハンドガンのラインナップを増やしたことで使用対象物に応じた最適な機器選定が可能です。先端形状の異なる各種ノズルヘッドは、いずれも1~6穴式を備えており、現場条件や用途に応じた使い分けができます。
ウォータージェットの圧力調整とノズル選定の組み合わせにより、本工法の汎用性がさらに向上しました。

5 現場ごとの運用ノウハウを含めてパッケージ化
アスベスト含有吹付材の除去作業に当たっては、現場条件に応じた最適な工法運用のノウハウに加え、事前調査や作業員への特別教育の実施、除去の手順に至るまで様々な専門知識や知見の保有が求められます。大成建設はこれまでに培った「T-ジェット工法」の運用ノウハウを含めて、
ハードとソフトをパッケージで提供できる体制を整え、様々なニーズへの対応を可能にしています。

今後、大成建設は、機能向上を図った「T-ジェット工法」の現場適用を積極的に進め、施工条件に応じた最適な運用を推進するとともに、安全性の向上と作業負担の軽減に取り組んでまいります。

Tジェット工法の装置構成

現場でのアスベスト含有吹付材の除去作業状況

ノズルパターン例

資料引用:大成建設

おわりに

今回は大成建設が発表した「T-ジェット工法」のアップデートを切り口に、建設業界におけるアスベスト除去の「現在」と、その先にある「未来」について考えてみます。

従来のレベル1アスベスト除去といえば、作業員が重装備の防護服に身を包み、過酷な閉鎖空間で手作業を行うのが当たり前の世界でした。
今回の「T-ジェット工法」の進化は、そうした現場の排水処理コストを劇的に抑えつつ、施工効率を2倍に高めるという、極めて現実的で価値のある一歩です。
しかし、私たちが本当に期待したい「次のステージ」、すなわち“完全な無人化・ロボット化”への動きは一体どうなっているのでしょうか。

結論から言えば、その未来へのカウントダウンはすでに始まっています。
実際に、エレベータシャフトや煙突の内部といった「形状が一定で、かつ危険性が極めて高い空間」においては、遠隔操作や自動制御による無人除去ロボットがすでに実用化され、確かな実績を上げています。

では、なぜすべての現場が一気に無人化されないのか。
そこには、建築物ごとに異なる「構造の複雑さ」という高い壁があります。
古いビルになればなるほど、入り組んだ配管の隙間や不規則な部屋の隅々(狭隘部・隅角部)が多く、
これらをロボットアームだけで見落としなく完璧に剥離し切るには、まだ技術的・コスト的なハードルが残されているのです。
だからこそ、今この瞬間は「人間の手作業を極限まで安全・効率的にアシストする技術」が最優先のソリューションとして求められています。

しかし、今後のステージは間違いなく「人とロボットの協調、そして完全自動化」へと向かっていくはずです。
近年、アスベストに関する事前調査や法規制は毎年のように厳格化されており、現場での安全確保に対する社会的な要求は高まる一方です。
このニーズを背景に、今後は3Dスキャニング技術やAI(人工知能)の融合がさらに加速すると推測されます。事前に建物の構造を3Dデータ化し、AIが最適な剥離ルートを計算して自律走行する小型ロボットが登場すれば、これまで人間しか対応できなかった複雑なエリアの無人化も現実味を帯びてきます。

近未来の現場では、まず「定型的な広い空間はロボットが担い、入り組んだ隙間はT-ジェット工法のような高効率な手法で人間がカバーする」というハイブリッドな分業が進み、やがて完全な無人化へとシフトしていくでしょう。

解体・改修工事の需要がピークを迎えるこれからの時代、作業員の安全を守り、環境への負荷を減らす技術革新は一刻の猶予もありません。
テクノロジーの進化が建設業界の「安全」をどう塗り替えていくのか、ハードとソフトの両面から進むこれからのアップデートに、引き続き注目していきたいと思います。


【リリースニュース配信元】
□大成建設株式会社
リリースニュース
https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260528_11014.html

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