AITech × 伏見工業 耐火被覆工事の積算・施工管理を効率化する「構造部材AI認識システム」を共同開発。

sugitec

耐火被覆工事を専門とする伏見工業株式会社(以下「伏見工業」)は、東京大学 松尾研発スタートアップ®︎である株式会社AITech(以下「AITech」)と共同で、耐火被覆工事向け「構造部材AI認識システム」を開発というリリースニュースをおとどけします。

耐火被覆工事向け「構造部材AI認識システム」

構造図面から梁・柱・スリーブをAIが自動検出し、耐火被覆の施工面積を自動積算。
現場の施工進捗を図面上で記録し、拾い出しから出来高集計までを一気通貫でデジタル化。

本システムは、構造図面のPDFを取り込むだけでAIが梁・柱・スリーブを自動検出し、被覆仕様に基づいて周長・被覆面積を自動積算します。
さらに、現場の作業者が施工済みの部材を図面上で「塗る」ことで施工実績が自動集計され、月次の出来高報告まで一貫して行えます。
従来、図面の拾い出しと施工実績の集計に多くの工数を要していた業務を大幅に効率化し、建設現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に貢献します。

開発の背景

耐火被覆工事は、鉄骨造建築物の主要構造部に必要な耐火性能を確保し、建物や利用者の安全を守る重要な工事です。
一方で、工事の見積・材料手配の前提となる「梁・柱ごとの被覆面積の拾い出し」は、担当者が構造図面を一本ずつ読み取り、断面寸法から周長と面積を積算する作業に依存しており、大規模な物流倉庫や工場では図面1枚あたり数百本の梁を扱うことも珍しくありません。

また、現場での施工進捗は紙の図面へのマーキングや口頭報告で管理されることが多く、事務所側で月次の出来高を集計する際に、作業者ごと・厚みごとの実績を改めて突合する手間が発生していました。
こうした「図面の拾い出し」と「施工実績の集計」はいずれも熟練者の経験に依存しやすく、人手不足と担い手の高齢化が進む建設業界において、業務の属人化と長時間労働、若手への技術継承の難しさにつながっていました。
伏見工業は、創業以来40年にわたり巻付け耐火被覆工事で培ってきた積算・施工の現場ノウハウをシステムの要件・計算ロジック・現場運用の設計に反映し、AITechの図面認識AI技術と組み合わせることで、これらの課題の解決に取り組みました。

新システム「構造部材AI認識システム」の概要

本システムの梁検出画面

本システムは、構造図面のPDFをアップロードするだけで、AIが梁・柱・スリーブを自動検出し、耐火被覆の施工管理に必要な数量算出から施工実績の集計までをブラウザ上で完結させる建設業界向けAIツールです。
主な機能は以下の4つです。

1.構造部材のAI自動検出
図面PDFを取り込むことで、ページごとにAIが梁・柱・スリーブを数百本規模で一括検出します。
1ページあたり1分程度で検出が完了し、検出結果は図面上に枠として表示されます。
誤検出の一括削除、検出漏れの手動追加、梁の分割・コピーなど、現場の図面事情に合わせた編集機能を備えています。

2.被覆仕様に基づく面積の自動積算
梁ごとに被覆材の厚み・収まり・不織布の種類を登録すると、断面寸法から周長と被覆面積が自動で計算されます。
同じ名前の梁には仕様を一括反映できるため、数百本規模の図面でも短時間で数量拾いが完了します。

3.現場での施工進捗の記録
現場の作業者は、施工が完了した梁・柱を図面上でタップして「塗る」だけで施工実績を記録できます。
途中までの部分施工、柱の仕口ごとの登録、打設率の登録、範囲指定によるまとめ塗りに対応。
塗った分は即座に平米数として自動集計され、作業者ごとの色で塗り分けられた図面をそのまま進捗図として共有できます。

4.出来高の集計・実績出力
ページごと・案件全体の総平米数、塗り済み面積、塗り率を常時表示し、厚み別・作業者別・日別の内訳をワンクリックで確認できます。月単位の施工実績はCSVで、色塗り済みの図面はPDFで出力でき、月ごとに12色で塗り分けた全社向けの進捗図面も作成可能です。

導入による効果

本システムの導入により、図面の拾い出しから施工実績の報告までの一連の業務負担を軽減します。

① 数量拾いの大幅な時間短縮
梁一本ずつの手計算による拾い出しをAI検出と自動計算に置き換えることで、
図面1枚あたりの作業時間の短縮が見込めます。
担当者は検出結果の確認と仕様設定に集中でき、見積・材料手配のリードタイム短縮を支援します。

② 施工進捗のリアルタイム可視化
現場で記録した施工実績が即座に事務所側の集計へ反映されるため、月末にまとめて実績を突合する作業が不要になります。
作業者別・日別の出来高がいつでも確認でき、工程管理や人員配置の判断を迅速に行えます。

③ 拾い漏れ・計算ミスの防止
AIによる網羅的な検出と、仕様に基づく自動積算により、人手による拾い漏れや面積の計算ミスを防止します。
厚み別内訳は材料手配量の目安として活用でき、過不足のない資材調達を支援します。

④ 属人化の解消とナレッジの蓄積
経験の浅い担当者でも図面から正確な数量を算出できるようになり、業務の属人化を解消します。
案件ごとの検出結果・仕様・施工実績がシステム上に蓄積されるため、類似案件への横展開や過去実績の参照が容易になります。

資料引用:AITech

おわりに

今回のプレスリリースで発表された「構造部材AI認識システム」は、熟練者のノウハウと最先端のAI技術が見事に融合した、非常に実践的な建設DXの好例と言えます。

図面からの拾い出し作業をAIで自動化する点もさることながら、特に注目したいのは、現場の施工進捗を「図面上で塗る」という直感的な操作で記録・管理する仕組みです。

一見すると、「現場でわざわざタブレットを操作して塗りつぶすのは、作業者の手間になるのではないか」と感じる方もいるかもしれません。粉塵が舞う環境や高所作業も多い耐火被覆の現場において、こまめな画面操作はハードルが高い場面もあるでしょう。

しかし、このシステムは、職人や管理者が従来から行ってきた「紙の図面に蛍光ペンで塗る」という身体感覚をそのままデジタルへ移植したUI設計になっています。さらに、現場の運用に配慮された「範囲指定によるまとめ塗り」など、一日の終わりに一括登録できる柔軟性を備えています。

つまり、現場側の負担を最小限に抑えつつ、「紙への色塗り」を「画面上のタップ」に置き換えるだけで、事務所側で発生していた深夜の集計作業や手入力の突合コストを大幅に削減できる点が、本システムの真の価値と言えます。

建設DXの成功のカギは、最新技術の導入だけでなく、「現場の作業者が無理なく続けられる運用設計になっているか」にあります。
創業40年の現場ノウハウを持つ伏見工業と、東大発スタートアップのAITechがタッグを組んだからこそ、現場のリアリティと管理の効率化が絶妙なバランスで両立されたのではないでしょうか。

現場と事務所の双方が「業務が楽になった」と実感できるこうしたプロダクトが、人手不足に悩む建設業界の未来を大きく支えていくはずです。今後の実際の現場における定着と、さらなる進化に大いに期待が膨らみます。


【リリースニュース配信元】

□株式会社AITech
リリースニュース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000138885.html
URL:https://www.aitechworld.info/
事業内容:建設業向けAIソリューションの受託開発、AIコンサルティング

□伏見工業株式会社
URL:https://fushimi-kougyou.jp
事業内容:耐火被覆工事、内装工事全般

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