保守メンテナンスにARを導入し効率性・確実性をアップ

sugitec

こんにちは。今発生している台風は、どうやら明後日木曜日には関東地方に上陸する恐れがあるようですね。暑さもさることながら、今年は大雨に寄る被害も甚大です。明らかに異常ともいえる状況が続いているので十分に警戒しておきましょう。

さて、本日は久しぶりのAR(拡張現実)技術を使ったソリューションのご紹介。明電舎と明電エンジニアリングの開発になりますが、実は米のPTC社のAR開発プラットフォーム「Vuforia®」を利用して開発されているそうです。

日常点検、定期点検、異常発生時にARを活用

今回開発されたAR技術ですが、基本的に日常点検や定期点検時、その他異常が発生した際に使用するそうで、明電エンジニアリングが保守メンテナンスを請け負っている顧客に対して導入を予定。

ARを用いることで、点検場所に点検の内容、指示などをARで重ねて映し出すことができるようになります。その指示により熟練者以外でも熟練者と同等の点検精度を得ることができるそう。

3つの場面でのAR使用例

1.日常点検


出典:明電舎

日常点検は設備運転員が行うものだそうですが、基本的に運転員はメンテナンスや設備の専門家ではありません。そこでARで点検箇所に点検内容を重ねて表示することで、メンテナンス熟練者と同等な点検が可能になります。

2.定期点検

定期点検は専門家が行います。点検時にリアルタイムの稼働データを設備と重ねて表示することで、稼働状況を把握しながらの作業が可能になります。


出典:明電舎

回転機に取り付けたIoTセンサーで取得した軸の振動、周囲温度、回転数などを重ねて表示。目に見えない部分までリアルタイムに稼働状況を可視化できます。


出典:明電舎

設備諸元、図面・点検履歴の情報も設備に重ねて表示することができるので、対象の点検の確実性が高まります。


出典:明電舎

分解点検をおこなう際には、分解手順を3Dアニメーションで表示できるので、確実な作業が可能。技術伝承や点検の標準化に繋がります。

3.異常発生した場合

設備はIoTセンサーで常時監視されており、異常が通知されたらまずはクラウド上の情報で一次調査。それで原因特定ができなかった場合、運転員と共に異常の原因特定を進めます。


出典:明電舎

現場では運転員が対象設備にタブレットをかざし、遠隔でメンテナンス専門家から指示を受けて迅速に復旧に繋げるという流れです。

システム開発背景

どの業界でも問題である労働人口の現象による技術継承課題や、老朽化設備の増加でメンテナンスの必要性が高まっており、より効率的なメンテナンス作業の方法が求められています。

その課題解決にAR技術を導入し、作業効率化・確実性確保・ノウハウ継承を目指しているということです。

まとめ

技術の継承問題はやはりどの業界でもありますね。たとえ人手が足りていても難しい技術や経験を必要とするような仕事はベテランがやることになり、結果としてベテランが手一杯になってしまう。忙しいので教える時間もない、そのような状況はよくある話。

数年前までは今のようなテクノロジーがここまで効率化できるまでに発達してくるとは思いもよらなかったと思います。しかし現実として今回紹介したARをはじめ、ドローンやIoTなど問題解決に有効な技術による業務効率化の流れが席巻しています。

日本でのIT化による業務効率化は、海外と比べてかなり遅れをとっています。理由は色々とありますが日本独自の習慣のようなものもあると思われますし、業界の約3割が55歳以上という高齢となる作業員の方も多く普及し辛いという背景もあったでしょう。

最近ではタブレット端末を中心とした操作しやすく分かりやすい物を利用し、誰にでも使いやすい形で様々な技術が市場に多くリリースされてきており、非常に良い流れになっていると思います。

働き方改革で賃金確保や完全週休2日などへの動きが活発になっていますが、それですぐに人材が集まるかというと中々難しいでしょう。ですが業界の今のIT化の流れを受け入れ取り入れ、全体でIT技術を活用した働き方が当たり前になってくれば人材も流入してくると思います。

そういえば最近IT業界の人が「IT業界も建設業と同じ労働集約型だからダメだ」という感じの発言をし、建設業界の人が一緒にするなと憤慨しているという記事をどこかで見かけましたが、一緒にしたらダメだというのは同意です。

個人的に10年程IT業界にいたこともある筆者ですが、建設業界の既存のやり方を新しいテクノロジーを取り入れて変えようとするスピード感は凄まじいものがあります。

ハッキリ言ってIT業界でありながら建設業界以上にテクノロジーを取り入れて労働を変えようとしている所が果たしてどれくらいあるのか、と感じる程です。嘆いている暇があるなら今の建設業界を見てそこから学ぶべき、ですね。

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