ゼネコン13社の共同開発コンクリート「CELBIC」が普及展開へ

sugitec

こんにちは。以前にゼネコン9社(青木あすなろ建設、安藤ハザマ、奥村組、鴻池組、五洋建設、鉄建建設、戸田建設、西松建設、松村組)が、ソイルセメント改良体工法(PSPⅡ工法)を共同開発し、日本建設総合試験所の建築技術性能証明を取得したという話題をご紹介しました。

昨今ではこういったゼネコン数社が共同開発を行うという事例が増えてきています。本日もゼネコン数社によるコンクリート開発の話題となります。

ゼネコン13社で建設材料技術性能証明を取得。普及展開へ

「長谷工コーポレーション」を幹事とし、「青木あすなろ建設」「浅沼組」「安藤ハザマ」「奥村組」「熊谷組」「鴻池組」「五洋建設」「銭高組」「鉄建建設」「東急建設」「東洋建設」「矢作建設工業」以上の13社で構成された「CELBIC研究会」が、「CELBIC-環境配慮型BFコンクリート※」を開発。

※CELBIC(セルビック)は、普通ポルトランドセメントに対して、10~70%の範囲で高炉スラグ微粉末を使用したコンクリートです。(ポルトランドセメントとはモルタルやコンクリート原料として使用されるセメントの種類のことで、最も一般的なものです)

この「CELBIC」が、一般財団法人 日本建築総合試験所より、令和2年10月5日付けで「建設材料技術性能証明(GBRC 材料証明 第20-02号)」を取得したとのこと。


出典:奥村組

CELBIC(セルビック)とは

Consideration for Environmental Load using Blast furnace slag In Concrete」の略。

循環型社会の形成と地球環境問題の改善に寄与することを目的とし、建築コンクリート構造物に求められる所要の品質を確保しつつ、コンクリート材料に由来する二酸化炭素の排出量の約9~63%を削減するという「環境配慮型コンクリート」。

CELBICは、「JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)※」に適合するコンクリートとして製造・出荷が可能であり、CELBIC研究会の13社の責任においての施工となります。

※レディーミクストコンクリートとは、製造法によるコンクリートの種類のことで、工場で練り混ぜをしてから打設現場に運送するコンクリート。いわゆる生コンです。

環境配慮型について

高炉スラグ微粉末は、製鉄所の高炉における製銑の際に副生されるスラグを微粉砕したもので水硬性を有しています。高炉スラグ微粉末の製造時に排出される二酸化炭素は、ポルトランドセメントの1/20以下であることから、環境負荷低減のため有効利用が望まれているとのこと。

高炉スラグ微粉末はレディーミクストコンクリートにおいては、混和材料のひとつとして、セメントに置き換えて使用されるコンクリート材料で、一般的には予めセメント工場などでポルトランドセメントに所定の分量を混合した高炉セメントB種として流通しています。

CELBICの特長

CELBICは生コン工場で、普通ポルトランドセメントと高炉スラグ微粉末をコンクリート材料にし、建築物の部位・部材や所定の性能に応じてセメントの10~70%を高炉スラグ微粉末に置換したコンクリート。

使用する高炉スラグ微粉末の量に応じ、A種クラス、B種クラス、C種クラスの3種類に分類されています。

それぞれ、
A種クラス:普通ポルトランドセメントを用いたコンクリート
B種クラス:高炉セメントB種と類似した性能を有する
C種クラス:適用箇所が限定されるが、60%以上の二酸化炭素排出量を低減できる

加えて、これらの3種類のCELBICでは同一の高炉スラグ微粉末を用いることから、生コン工場での材料管理の負担軽減も図れ、各種類の特長を生かした建築物への汎用的な適用が期待されます。

開発実験

開発実験では、国内で主に流通している数種類の高炉スラグ微粉末を用いて、様々な条件におけるコンクリートの強度発現性・耐久性を確認し、高炉スラグ微粉末の使用率に応じた基本性能について検証。


出典:奥村組

その結果を基に、工場の選定やコンクリートの調合設計の方法を定め、実際の生コン工場においてCELBICの製造および実際の部材を想定した施工検証を行い、CELBICの調合設計・施工マニュアルを整備。

まとめ

「環境にやさしい」とされている、高炉スラグ微粉末を使用したコンクリート。高炉スラグ微粉末は鉄をつくる際にできる副産物で、これを使用したコンクリートの品質もポルトランドセメントと同等であるということがその理由です。

例え環境にやさしくても性能面で劣っていると普及していくのは難しくなりますが、品質面で劣っている部分のないCELBICは、地球環境や地域環境の保護の面からも間違いなく利用は進んでいくことだと思います。

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