“梅雨でも危険”な熱中症に、アイススラリーで挑む
三和建設株式会社(以下、三和建設)は、2025年も猛暑が予想される中、炎天下で働く作業員の熱中症対策として、「かき氷ステーション」を茨城県古河市および兵庫県加古川市の建設現場に設置(5月15日より順次運用開始)というリリースニュースをおとどけします。

今年の梅雨は、5月16日に九州南部が全国で最も早く梅雨入りするなど、平年とは異なる動きを見せました(※1951年の統計開始以降、沖縄地方や奄美地方よりも早い梅雨入りは初めて)。
その後、6月8日には沖縄地方の梅雨明けも発表され、各地で高温多湿の天候が続いています。
気象庁によると、偏西風が平年よりも北寄りに位置し、高気圧が強まることで暖かく湿った空気が入りやすくなり、晴天・高温が続きやすい夏になると予想されています。
かき氷ステーションの成り立ち
三和建設の「かき氷ステーション」は、約10年前、現場所長の「作業員の負担を軽減したい」という思いから誕生しました。
当時、出勤前にコンビニで氷を購入する作業員の姿を見た所長が、「現場に製氷機を設置すれば、負担も減り喜ばれるのでは?」と導入を決定。
その後、「せっかく製氷機があるなら、かき氷も提供できるのでは?」と現場の声を受け、かき氷機も導入。作業員からも非常に好評を得て、以来、かき氷ステーションは三和建設の“夏の風物詩”となりました。
※なお、製氷機・かき氷機は設置可能な建設現場に限定して導入しています。
かき氷ステーション、今年もフル稼働
今年の「かき氷ステーション」では、最大ストック量約15Kgの製氷機がフル稼働。
暑さの本番を迎える前から、現場では連日かき氷が大人気です。
加古川市の建設現場では、“いちご味”が一番人気で、初日には練乳が1日でなくなるほどの勢い。
中には、朝礼前に「今日は何味にしようかな?」と話す作業員もおり、かき氷が日々のちょっとした楽しみやコミュニケーションのきっかけになっています。
また近年では、“氷の粒を含む流動状の飲料=アイススラリー”を用いた深部体温の冷却が、「プレクーリング(作業前冷却)」として注目されています。
三和建設のかき氷ステーションも、このアイススラリーと似た状態を自然な形で現場に取り入れている点で、建設現場に即した独自の冷却手段といえます。
熱中症予防ゼリーやウェアラブルデバイスも配布

三和建設では、かき氷ステーション以外にも、熱中症予防ゼリー「ゼネコンがつくったしおゼリー」の企画・販売や、深部体温を図るウェアラブルデバイスの全作業員への配布など、多角的な熱中症対策を実施しています。
2025年 三和建設の熱中症対策
① 自社開発「ゼネコンがつくったしおゼリー」を作業員に無償配布
② 瞬間冷却パック・コールドスプレーの設置
③ クーラー完備の休憩所(熱中症対策室)設置
④ クーラー完備のトイレ設置
⑤ ミスト送風機の設置
⑥ ファン付き作業服の貸与
⑦ 自動販売機で塩分補給ドリンクなど指定3種を50〜70円で販売(差額は三和建設と協力会で補助)
⑧ 全作業員への熱中症対策ウォッチ無償貸与
⑨ 現場管理者全員の熱中症予防管理者の資格取得
三和建設は、高温多湿の過酷な現場環境でも作業員が安心して働ける環境を整備することが、企業の社会的責任であると考えています。
今後も、現場の声を反映した実践的な取り組みを重ね、作業員の皆さんが安全かつ快適に、前向きな気持ちで働ける環境づくりを進めてまいります。
医師・産業衛生コンサルタント 川島恵美先生のコメント
2025年6月1日より、労働安全衛生規則の改正に伴い、職場における熱中症対策が義務化されました。
対象となるのは、暑さ指数(WBGT)28℃以上または気温31℃以上の環境で、1時間以上の連続作業または1日4時間以上の作業が行われる職場です。建設現場はまさにこの対象となりやすく、熱中症リスクが高い代表的な作業現場の一つです。
そうした中で、三和建設様のように、現場作業員の皆さまの安全と健康を第一に考え、作業前の体調管理や環境整備に積極的に取り組まれている姿勢は、建設業界における熱中症対策の模範とも言えるものです。なかでも、“プレクーリング”の考え方に基づき、アイススラリーのような工夫を現場に取り入れる試みは、現場特性に即した実践例として注目すべきものと感じます。
現場ごとに最適な工夫を重ね、対策を継続的に進化させていくことは、今後ますます重要になります。こうした取り組みが広く共有され、業界全体に広がっていくことを、産業医の立場からも強く期待しています。
資料引用:三和建設
おわりに
昨年も「しおゼリー」をブログ記事でとりあげた三和建設の取り組みは、単なる法令遵守に留まらず、従業員の健康と安全を最優先する企業の姿勢を示しています。これは企業の社会的責任(CSR)の一環としても評価されており、採用活動においても競争力となるでしょう。
それでは、同業の建設企業群も、これらの具体的な施策を参考にしつつ、自社の現場環境や従業員のニーズに合わせてカスタマイズしていくことが重要です。単発的な対策ではなく、継続的かつ総合的な熱中症対策プログラムを構築し、安全で働きやすい職場環境を整備することが、長期的な企業価値向上にも繋がると考えられます。
今後、この「二季」化した気候は、日本列島に根づき始めます。
そのためにも、以下の様な酷暑の現場への環境整備が急務ではないでしょうか。
冷却ステーションの設置(例:かき氷ステーション):
三和建設のかき氷ステーションのように、現場で手軽に体を冷やせる場所やアイテムを提供することは非常に有効です。水やスポーツドリンクだけでなく、冷却効果の高いかき氷やアイススラリーなどの提供も検討できます。これは、単なる水分補給を超え、従業員の士気向上にも繋がります。
熱中症対策食品・飲料の提供:
熱中症予防ゼリーの配布は、塩分・糖分・水分をバランスよく摂取できる手軽な方法です。現場の状況に合わせて、塩飴、経口補水液、冷却効果のある飲料などを常備・配布することが重要です。
ウェアラブルデバイスを活用した体調管理:
深部体温をモニタリングできるウェアラブルデバイスの導入は、個々の従業員の健康状態を客観的に把握し、早期に異常を察知するために非常に有効です。特に高温多湿な環境下での作業や、ベテランで無理をしてしまいがちな従業員など、リスクの高い状況で重点的に活用することで、熱中症の重症化を防ぐことができます。データに基づいた休憩指示や作業内容の調整も可能になります。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□三和建設株式会社
リリースニュース:https://www.sgc-web.co.jp/news/pressrelease_250612/
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