NTT東日本株式会社 埼玉支店(支店長 小池哲哉、以下、NTT東日本)は、埼玉県県土整備部と連携し、道路や地下埋設物など社会インフラにおける維持管理の省人化やデジタル化を進めるため、2026年3月25日、連携協定を締結というリリースニュースをおとどけします。
3D点群データ・光ファイバセンシングを活用
本協定に基づき、NTT東日本が所有するMMS※(モービルマッピングシステム)を用いて取得した道路空間(道路や周辺構造物)に関する3D点群データや、県内に張り巡らされている既存の光ファイバを活用した地中の空洞を検知するセンシング技術の活用により、社会インフラの状態を「見える化」する新たなインフラ管理の取り組みを協働で開始します。
本取り組みは、官民それぞれの強みを生かし、ライフライン事業者をはじめとしたインフラ維持管理の関係者全体でデータを共有・活用することで、これまで以上に正確な状況把握ができる環境を構築します。
これにより、作業計画の精度向上、予実管理や手続きの簡素化、安全性の向上といった実務面でのDXを推進します。
※MMS(Mobile Mapping System):レーザスキャナ・カメラを搭載した計測車両が道路を走行しながら、道路周辺の三次元位置情報を高精度かつ効率的に取得する車両搭載型の計測システム
背景と目的
高度経済成長期に整備された道路・社会インフラが更新時期を迎え、埼玉県が管理する県管理道路(路面延長 約2,800km)においても定期的な点検・補修を要する状況となっています。
また、豪雨の激甚化や地震リスクの高まりに加え、技術系職員や保守事業者の減少といった制約の中で、広域にわたるインフラを迅速かつ効率的に管理できる手法の導入が喫緊の課題となっています。災害時においても、危険箇所を早期に把握し、適切な通行規制や避難判断につなげることが、県民の安全・安心の確保に不可欠です。
こうした背景から、維持管理における優先順位を的確に判断し、計画的な予防保全を進めるための社会インフラの状態の「見える化」が求められています。
しかし、県が単独で、広域にわたるインフラ状況を高精度に把握し続けるには、費用や時間、運用面で大きな負担がかかります。
そのため、一過性ではなく、継続的に更新されるデータ基盤の確保が重要です。
本取り組みでは、行政が担う公的な判断やインフラ管理の視点と、NTT東日本が保有するデータ・技術を組み合わせることで、官民連携の新たなインフラ維持管理の取り組みを進めます。これにより、従来は現地での目視確認に依存していた道路や地下埋設物の状況を、「見える化」する環境を整備し、県民が安心して住み続けられる街づくりと、社会インフラの維持管理を担う関係機関や事業者を支える仕組みの構築をめざします。
協定の概要
(1) 名称 :埼玉県県土整備部とNTT東日本株式会社とのDX推進による建設・維持管理プロセスの変革に関する連携協定
(2) 締結期間 :2026年3月25日 ~ 2029年3月31日
(3) 締結者 :埼玉県 県土整備部長 吉澤 隆
NTT東日本株式会社 埼玉支店長 小池 哲哉
(4) 協定内容:
① インフラの維持管理における3D点群データの共有・利活用に関すること
② インフラ情報等のデータベース化に関すること
③ センシング技術を活用した事故・災害の未然防止及び維持管理業務の高度化に関すること
④ その他、DX推進に関すること
主な活用を検討している技術
▼MMSと3D点群データ
車両で走行しながら道路空間の情報(道路や周辺構造物)を高密度な3D点群データとして取得
道路幅員や構造物寸法、断面形状などを机上で把握
道路・河川・砂防・災害対応など、県土整備業務への幅広い活用を想定
<NTT東日本の通信設備保全業務でのMMSと3D点群データ活用イメージ>

(参考:地域課題の解決・価値創造を実現するソリューション | サステナビリティ | 企業情報 | NTT東日本)
光ファイバセンシング
既存の通信用光ファイバを活用し、地中の振動や変化を広域・連続的に検知
路面下や地下埋設物の異常の兆しを、現地に行かずに把握
道路陥没や劣化リスクなどを対象に、常時監視による予防保全型管理への活用を想定
<通信用光ファイバを用いたセンシング技術による地中空洞検知のイメージ>

(参考:通信用光ファイバを用いたセンシング技術による地中空洞検知プロジェクトの始動 | お知らせ・報道発表 | 企業情報 | NTT東日本)
本取り組みの特徴・期待される効果
(1) 点検業務の効率化・省人化:現地でしか分からなかった情報を机上で確認できるようになり、点検・調査の効率化と精度向上が可能となります
(2) インフラ管理DXの推進:地下埋設物確認などの道路行政の維持管理の効率化につながります
(3) 迅速な初動対応:データで把握できる環境を整えることで、現状把握が迅速化します
(4) 民間事業者への波及効果:社会インフラを建設・修繕を行う事業者にとっても、事前の状況把握による予実管理の精度向上・手続き簡素化・現場安全性向上が期待されます
□各者の役割
埼玉県(県土整備部)
道路行政での維持管理業務における3D点群データの活用検討
道路及び地下埋設物情報の整理、情報共有などの検討
事故対応や維持管理計画へのデータ活用検討
庁内や関係者との調整
NTT東日本
高密度3D点群データの活用検討
インフラ情報の活用支援
光ファイバセンシング技術を活用した維持管理業務の高度化(路面下空洞調査など)に向けた検討
データ更新・維持管理に関する技術的提言
今後の展開
協定締結後、埼玉県とNTT東日本が共同で、取り組み内容の具体化を進めるとともに、実務におけるICTや取得したデータの活用策について検討を開始します。
初年度は、道路インフラ管理の高度化など、維持管理プロセスのDX化の検討を進めます。
今後は、地域の安心・安全を支える企業として、社会インフラの整備・維持を担う他の関係機関や事業者との連携も視野に入れ、地域全体の社会インフラ管理の高度化と持続可能な維持管理に貢献していきます。
資料引用:NTT東日本
おわりに
2025年1月の埼玉県八潮市での大規模陥没事故から約1年2ヶ月。
失われた命の重さと、社会に与えた衝撃を忘れることはできません。
物理的な復旧が進む一方で、私たちの街を守る「仕組み」そのものが、今、劇的な進化を遂げようとしています。
物理的な一歩、そして「街の神経」の誕生
まずは着実な前進を喜びたいと思います。2026年4月15日、事故現場を含む県道の暫定開放が決まりました。
日常の風景が戻ることは、地域にとって大きな癒やしとなるはずです。
ですが、真に注目すべきは、復旧と並行して発表された埼玉県とNTT東日本の連携協定です。
「光」が地下の異変を捉える
これまで、地中の空洞化は「起きてから気づく」のが当たり前でした。
しかし、既存の光ファイバをセンサー化する技術は、いわば街全体に「神経」を巡らせるようなものです。
3Dデータによる視覚化と合わせ、目に見えない地下の悲鳴を事前にキャッチする。
この「攻めの予防保全」への転換こそが、痛ましい事故を繰り返さないための、現代における最善の回答ではないでしょうか。
技術に宿る「守る意志」
「デジタルツイン」や「センシング」といった技術には、「二度と同じ悲劇を繰り返さない」という血の通った強い意志が宿っているように感じます。
技術が人の安心を支える黒衣(くろご)として正しく機能する。
それこそが、私たちが目指すべきスマートシティの本来の姿なのかもしれません。
復旧した道路を走る車が、そしてその下を流れる水が、当たり前のように安全であること。
その「当たり前」を支える新しい挑戦を、これからも静かに、しかし熱く見守っていきたいと思います。
【リリースニュース配信元】
□NTT東日本株式会社 埼玉支店 第1ビジネスイノベーション部
まちづくりコーディネート担当 市川、三浦
リリースニュース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001299.000098811.html
saitama-machidukuri-gm@east.ntt.co.jp