長谷工コーポレーション、タイル打診調査にHoloLens2を活用

sugitec

こんにちは。話題のARデバイスHoloLens2が日本にも登場してから早半年以上が経ちました。当初は品薄状態だったものの、今では個人でも随分と手に入りやすくなってきています。

色々な産業で活用できる可能性を秘めているHoloLens2。まだまだソリューション自体は少ない印象ですが、今月初めにマンションの長谷工で有名な「長谷工コーポレーション」「株式会社アウトソーシングテクノロジー」が、「日本マイクロソフト株式会社」と連携し、マンションの外壁タイルの打診調査にHoloLensを活用したソリューションを発表しました。

国内初、タイル打診調査にMixed Reality活用

両社では、最先端のデジタル技術を活用した建設・不動産業界における生産性改革の推進の一環ということで、長谷工とアウトソーシングテクノロジーの両社は、マンションの外壁タイル打診検査のためのMRソリューションである「AR匠RESIDENCE(エーアールタクミレジデンス)」を共同開発。


出典:長谷工

従来の打診検査では1名が打診棒にて打診検査を実施し、もう1名がその検査結果の記録と写真撮影を行うという2名1組の体制で行われていました。

それが今回の「AR匠RESIDENCE」では、作業員1名のいわゆるワンオペでの検査が可能になります。HoloLens2を装着し、打診検査をしながら直接HoloLens2上で検査項目を入力していくという形です。


出典:長谷工

長谷工では、6月にこのソリューションの実証実験を行った結果、従来と比較し全体業務の約30%を削減できることが実証されたとのこと。

開発背景

マンション等の外壁は劣化等による剥落のリスクがあり、定期メンテナンスは必須。平成20年の建築基準法の一部改正から、10年ごとの全面打診調査が義務付けられることになります。

マンションストックが拡大し続けている近年、逆に業界では年々深刻になっている労働者不足問題や、昨今の新型コロナウイルスの拡大防止の観点からも、建物診断を行う作業員の省人化が可能であることから、建物利用者への安心・安全に繋がるサービスが提供できると考え、MRを導入する運びとなったそうです。

AR匠RESIDENCEを活用した打診検査

この技術は日本マイクロソフトの技術協力を得て、長谷工とアウトソーシングテクノロジーの共同開発により実現した外壁タイル打診検査ソリューション。

現場作業員が、マイクロソフトのHMDである「HoloLens2」を装着し点検記録を行うものです。


出典:長谷工

主要機能

1.ダッシュボード(Webブラウザで動作するアプリ)

・調査対象の物件情報、図面データを登録
・建物の危険エリアを設定
・AR匠RESIDENCEで作成した3Dモデル上に点検記録を確認


出典:長谷工

2.端末アプリ(HoloLens2にインストールされるアプリ)

・建物の3Dモデルを作成
・建物の平面図・立体図を現場へ重ねて表示
・MR空間に外壁調査結果を記録


出典:長谷工

3.レポート出力機能

・物件と調査機関を設定
・点検記録集計表、写真帳票をEXCELに自動出力
・点検結果を平面図・立体図に自動記載


出典:長谷工

まとめ

同社では、このソリューションの改良を重ね、2021年頃を目処に妻壁や足場上等へ適用範囲拡大を進め、建物診断から修繕工事中さらに建設工事中の施工・点検等と活用を広げていくとのこと。

この技術は元々アウトソーシングテクノロジー社の「AR匠」という遠隔での視界共有やコミュニケーション、共同作業を実現する基本プラットフォームがベースとしてあり、そこにアドオン機能として開発されたものとなっています。

このHoloLensを活用した外壁調査ソリューションの登場には少し驚きました。実際の使用感を見てみたいものです。今後も同様のソリューションは必ず登場します。使いやすいUIや、いかに現場の求める必要な機能を最小限にまとめられているかが大事になってくるでしょうね。

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