株式会社大翔、ICT法面工適用可能なドローン測量手法を確立

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記事のポイント

・株式会社大翔(以下、大翔)は、芝本産業株式会社(以下、芝本産業)のフライトアプリ「Site Scan for ArcGIS」を利用し、ドローン自動飛行測量でICT法面工における国交省の要求計測精度(10mm以下)を満たした。

・この計測により取得された3次元点群データをグラウンドアンカーの標高管理にも実用したという。その検証結果が公開された。

ICT法面工要求計測精度をクリア。ICT法面工に適用可能なUAV測量方法の一つとして手法化

大翔は芝本産業のフライトアプリケーションであるSite Scan for ArcGISを利用して、ICT法面工における国交省の用キュ計測精度である10mm以下をドローンによる自動飛行測量で満たしたと発表した。また、この計測で取得された3D点群データをグラウンドアンカーの標高管理にも実用したとのことで、その結果が報告された。


出典:PRTIMES

令和元年度にICT法面工が、令和2年度には吹付法枠工がICT活用工種に追加された。これまで補完データ扱いであった3次元点群データだったが、「3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)」も整備されたことで、法面工でも3次元データを使った施工管理が公式になりつつある。

しかし、ICT法面工における3次元測量の要求精度は土工と比較し厳しいものとなっており、それを満たせる一般的測量手法が無いというのが現状だという。

そこで芝本産業と大翔は、ドローンのカメラを法面に正対させ自動飛行できるアプリケーション「Site Scan for ArcGIS」を用い、ICT法面工要求計測精度を満たすUAV測量ができるかの検証を施工中の法面現場で検証したそうで、その計測手法をICT法面工に役立てるために検証結果が報告された。


出典:PRTIMES

検証日は2021年6月25日、場所は滋賀県犬上郡多賀町。使用ドローンはPhantom4 pro v02で、アプリ「Site Scan for ArcGIS」を活用した自動計測精度がICT法面工に適応するかの検証となる。

検証点(黄3-8、3-9、3-10)、標定点(緑)とする対空標識を下記レイアウトで配置


出典:PRTIMES

オフセット(対地高度)やラップ率などのパラメータによる計測精度差の検証のため、3パターンの計測を実施。


出典:PRTIMES

計測結果検証
すべての計測パターンでICT法面工で最も厳しい、法枠工出来形計測時の要求精度(10mm以下)を満たす結果が得られている。同計測手法によりICT法面工に適応する3次元測量が可能なことが実証されている。


出典:PRTIMES

さらに現場で実測した2点間距離の値を3次元点群データ上で計測した値と比較。点群データを使い十分に施工管理が行える精度であることがわかる。


出典:PRTIMES

現場実用
計測データの精度が実証できたことから、3次元点群データ上でグラウンドアンカーのマーキングの標高をすべてチェック。以下がその抜粋となり、トータルステーションを使いマーキングした標高は、設計値通りであると3次元データ上の計測で確認できたという。


出典:PRTIMES

検証結果のまとめ
ドローンのカメラを斜面に正対させ自動飛行できるSite Scan for ArcGISの活用で、ICT法面工要求精度をクリアするUAV測量が行えることが実証されている。この実証からICT法面工に適用できるUAVに測量のポイントは以下。

1.Site Scan for ArcGISの活用で、ICT法面工に適応する精度で斜面正対自動飛行計測が行える。
2.対空標識はデータ解析(補正)時に中心点を見分けやすいマークのものを選ぶと精度が向上する。標識は板状である必要はなくラミネートした紙などが持ち運びやすく便利である。反射防止のマット加工を行うと白とびしにくい。
3.検証点は標定点を結んだ外周の内側に設置することで計測精度が出る。
4.対空標識の中心点の座標取得はノンプリズム計測で十分な精度が出せる。
5.計測効率と精度の観点から最も効果的だったのはオーバーラップ率85%、サイドラップ率65%、オフセット30mの計測パターン。
6.データ補正作業において対空標識1枚当たり5枚の画像を使用した場合よりも、6~8枚で補正した場合のほうが精度が向上。
7.設置する対空標識の数を減らしても、補正時に対空標識と紐づける画像を増やすなどの工夫で精度を向上させる事が可能。

この検証でSite Scan for ArcGISを持ちたUAV測量手法の有効性が実証でき、ICT法面工に適応する手法の一つとして確立できている。引き続き吹付法枠工および簡易吹付法枠工の現場でも実証を行い、3次元点群データ上で法枠工などの出来形を計測した結果を報告する予定とのことだ。


□記事参考:PRTIMES(https://prtimes.jp/
斜面正対ドローン自動飛行で法面を測量した精度検証報告
リリース記事:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000082515.html

□株式会社大翔:https://sd-daisho.com/
□芝本産業株式会社:https://www.shibamoto.com/
Site Scan for ArcGIS:https://www.shibamoto.com/drone/sitescan

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