清水建設✕シャープ✕カナモト
3眼カメラ配筋検査システム「写らく」レンタル開始。

sugitec

概要

清水建設株式会社(以下、清水建設)、株式会社カナモト(以下、カナモト)、およびシャープ株式会社(以下、シャープ)は、国土交通省が2023年度中の開始を予定する配筋検査システムの実用化に向け、3眼カメラ配筋検査システム「写らく(しゃらく)※1」を共同で製品化。本年4月下旬から、カナモトを通じてレンタルを開始というリリースニュースをお届けします。

3眼カメラ配筋検査システム「写らく」

3眼カメラ配筋検査システム「写らく」

本システムの動画や詳細情報を、以下のウェブサイトでご覧いただけます。
https://www.shimztechnonews.com/hotTopics/news/2021/2021-03.html

配筋検査は、コンクリート構造物の建設プロセスの節目ごとに内部に鉄筋が正しく配置されていることを確認する重要な品質管理業務の一つですが、多くの人員と時間を必要とするため、同業務の効率化は建設業界の重要な課題となっています。また、建設業界では、これまで猶予されてきた時間外労働の罰則付き上限規制の適用が2024年4月1日に迫っており、建設現場の働き方改革を促進し、作業の効率化を加速させる必要があります。

「写らく」は、1人の作業者が本体に搭載された3つのカメラで同時撮影した画像を、独自の画像解析アルゴリズムによって解析し、約5秒※2で検査結果を表示するだけでなく、同時に現場で検査帳票も作成できるシステムです。2019年3月から国内60カ所を超える建設現場での試験とフィードバックを通じた改良を重ね、高い耐環境性能とユーザビリティを実現し、配筋検査の所要時間を約75%短縮。現場の日照や天候条件、ネットワーク環境の有無などの制約を受けることなく、複数の作業員の手作業による従来の検査方法と比べても遜色のない高い精度で計測できることから、2022年の「第4回 日本オープンイノベーション大賞」で『国土交通大臣賞』を受賞するなど、「写らく」は各選考団体から高い評価をいただいています。

3社は、「写らく」の国内建設現場へのレンタル開始を皮切りに、作業効率の向上による省人化・省力化を通じて、建設現場の働き方改革を支援してまいります。

製品名愛称形名レンタル開始時期
3眼カメラ配筋検査システム写らくDN3Z6JE1062023年4月下旬

※1 「写らく」は清水建設より商標登録申請中です。
※2 検査対象範囲により、必要な時間は変動します。

主な特長

独自の画像解析アルゴリズムにより、短時間で高精度に配筋を検査

「写らく」は、本体に搭載された3つのカメラで、3つの異なる位置から同時に対象範囲の鉄筋の配列状態を撮影し、縦・横・奥行きの3次元情報を取得。その3次元画像データから、シャープの8K映像技術をもとに清水建設と共同で開発した画像解析アルゴリズムにより、鉄筋の径や本数、配筋間隔を高精度に計測し、検査結果を表示します。
現場での検証とフィードバック、システムの最適化により、計測時間を試作機の約7秒から約5秒に短縮し、鉄筋検出率も99.99%を実現。従来の検査方法から、所要時間を約75%短縮します。また、複数の作業員が必要だった現場での検査作業を1人で完結できることから、検査業務の大幅な省人化を実現できます。さらに、二段筋などの複雑な配筋検査にも対応可能です。

配筋情報検出時の画面

国内60カ所を超える現場実証を踏まえ、高い耐環境性能とユーザビリティを実現

国内60カ所を超える建設現場での試験を通じ、必要な商品仕様を検討・策定した結果、幅広い現場で利用可能な耐環境性能を実現。現場の日照や天候条件、ネットワーク環境有無などからの制約を受けることなく、高精度な計測が可能です。また、検査対象となる鉄筋の径や本数、配筋間隔などの情報の事前登録や、作業現場でのネットワーク環境の準備も不要なため、必要なときにすぐに利用できます。

寒冷地での試験の様子

2023年4月下旬から国内の建設現場向けにレンタルを開始

国土交通省が2023年度内の開始を予定している配筋検査システムの実用化に先駆け、本年4月下旬からカナモトを通じて日本全国でレンタルを開始。レンタル期間は自由に設定でき、検査を行う日数に合わせてご利用可能です。

「写らく」利用イメージ

主な仕様

愛称写らく
形名DN3Z6JE106
主な機能鉄筋間隔計測、鉄筋規格判定
鉄筋検出検出率 99.99%※3
対象鉄筋D10~D51
平均鉄筋間隔±10mm※3
サイズ/質量342.5(W)× 225.5(H)× 164.0(D)mm※4 / 約3.6kg※5
ディスプレイ12インチ(1,920 × 1,200ドット)
動作温度5℃~40℃
防水IPX4
その他の機能重ね継手計測、2点間距離計測、ロールマーク記録機能、部材カウント機能
付属品梱包キャリーケース、本体ケース一式、肩掛けベルト、LED照明、LED照明用充電ケーブル、キャリブレーションボード一式 など
※3 検査対象や撮影条件により変動します。
※4 ヒンジ突起部、LED照明取り付け突起、LED照明部は含みません。
※5 LED照明部は含みません。

各社の役割

主な役割(担当分野)
清水建設独自アルゴリズム開発、現場実証、製品要求仕様策定
カナモトマーケティング、現場ニーズの把握と製品へのフィードバック、レンタル展開
シャープ独自アルゴリズム開発、製品開発・生産

資料引用:清水建設

おわりに

配筋検査とは別名鉄筋検査ともいわれ、基礎の鉄筋が正しく配置されているか、本数に間違いはないか、ずれはないか、といった点をチェックする検査です。配筋検査は基礎工事の一段階とされ、コンクリートを打設する前段階で行われます。配筋検査は図面に記載されている数量や仕様と、実際に施工された工事が一致しているかどうかをチェックするのがメインです。
図面には事細かに配筋のデータが記載されおり、配筋検査でチェックする主な項目は次のとおりです。

・鉄筋の配置
配筋の配置とは、鉄筋の網目の幅のこと。鉄筋は縦と横に交差して配置されます。この配置がきれいにできていないと所定の性能を発揮することはできません。このため、図面の指示通りに鉄筋の網目の幅が組まれているか、チェックします。

・鉄筋のかぶり厚さ
コンクリートの表面から鉄筋表面までの最短距離のことをかぶり厚さといいます。
つまり、鉄筋にどれくらいコンクリートが覆われているのか、かぶっているのかを示すものです。

・鉄筋の波打ち
鉄筋の波打ちとは、鉄筋の水平が保たれず、文字どおり波打っている状態のこと。鉄筋が波打っていると、かぶり厚さに影響を与えかねません。また、鉄筋自体が曲がっていると、鉄筋が所定の強度を発揮できません。

・鉄筋定着の長さ
継ぎ足しをした際に重なっている部分の長さを定着の長さです。筋の定着の長さは鉄筋の種類や使用するコンクリートの強度などで決まっており、鉄筋コンクリート造の建物では階層で異なります。

・鉄筋の太さ(径)
鉄筋にも多くの種類があり、太さも異なります。
建設現場では多くの鉄筋が利用されるため、仕様と異なる鉄筋が使われてしまうこともあります。
建築基準法には基礎の鉄筋は径9mmや径13mmのものを使うよう定められています。

・防湿シート
湿気を防ぐシート。底面に敷き詰められ、捨てコンクリートで固定されます。防湿シートは、隙間ができてしまうと機能が半減、または大きな破れや、シワがあると施工がよいとはいえません。

・アンカーボルトの位置・本数・固定状況
基礎と建物の土台をつなぐ金物がアンカーボルト。アンカーボルトは配筋検査の段階では基礎の鉄筋に結合されています。このアンカーボルトで確認すべきことは位置や本数です。アンカーボルトは配筋検査の段階では手直しが可能ですが、コンクリート打設後は、手直しは容易ではありません。

このように配筋検査だけでも、チェックする項目が多く、工期時間の限られた中で行なう人の目による検査は、どうしても見逃しが発生するおそれもあります。

この「写らく」が従来の検査方法から所要時間を約75%短縮し、複数の作業員が必要だった現場での検査作業を1人で完結できるまで仕上げたシャープの実力に期待したいと思います。


参考・関連情報・お問い合わせなど


□清水建設株式会社
コーポレート・コミュニケーション部
リリースニュース:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2023/2022078.html
TEL:03-3561-1186
E-mail:shimzkoho@shimz.co.jp

□株式会社カナモト
広報室
TEL:011-209-1631
E-mail:zkohou@kanamoto.co.jp

□シャープ株式会社
CEOオフィス 広報担当
TEL:050-5213-6795
E-mail:kouhou-k@sharp.co.jp

レンタルに関するお問い合わせ先(お客様)
カナモト 広域特需営業部 高橋
TEL:090-6260-1096
E-mail:ma_takahashi@kanamoto.co.jp

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