奥村組✕日立ソリューションズ
墜落制止用器具フック不使用者をAIで自動検知するサービス販売開始。

sugitec

概要

株式会社奥村組(以下、奥村組)と、株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)は、「建設業向け 墜落制止用器具フック不使用者検知サービス」を共同開発。日立ソリューションズが5月17日から販売開始というリリースニュースをお届けします。

建設業向け墜落制止用器具フック不使用者検知サービス

本サービスは、画像認識AI(人工知能)技術の活用により、鉄骨上作業における墜落制止用器具(安全帯)のフック(以下、フック)不使用者を自動検知※1し、一定時間不使用状態が続いた場合に通知※2を行います。

奥村組の建設現場での検証において、鉄骨上作業におけるフック不使用者を90%以上の精度で認識できること3を確認済み※4です。施工管理者は、遠隔からも作業員の不安全行動を検知し、適切に管理することが可能となります。
不安全行動の映像はクラウド上に保管されるため、作業員への安全教育や事故の傾向分析など、墜落転落事故の発生防止に活用することができます。

2023年6月から、奥村組の建設現場に導入していく予定です。秋には、本サービスにハードウェア、通知機器を組み合わせ、一般販売することを計画しています。両社は、鉄骨上作業だけでなく、対象を足場上作業へ拡大した検証も開始しており、今後も建設現場におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、建設現場の安全性の向上を図っていきます。

※1
特願2022-043541、特願2022-043542、特願2022-043434(出願人 奥村組、日立ソリューションズ)事前学習済のAIモデルを活用し、建設現場のカメラ映像から親綱支柱や親綱、フックを検出し、フックが親綱にかかっていない不使用状態を自動判定

※2
監視カメラおよびパトランプなどの警報装置などの機器の準備、接続作業や、APIを活用したメール通知などの環境構築の事前準備が必要となります。

※3
埼玉県にある鉄骨建方中の建設現場において、カメラと対象の作業員の距離が15m以内、かつ人や物が重なっていないという条件下において検証。画像認識AIが危険な状態と判定した中で、実際に作業員がフックを親綱にかけていない精度。撮影環境により、精度が異なる場合があります。

※4
2022年4月21日リリース 墜落制止用器具フック不使用者を自動検知するAIモデルを構築・検証
  https://www.hitachi-solutions.co.jp/company/press/news/2022/0421.html

背景

2021年に発生した国内建設業の労働災害は、墜落や転落によるものが最も多く、死亡者数は110人、死傷者数は4,869人※5に上っています。厚生労働省は、労働安全衛生法の改正を行い、2019年2月1日から、高所作業で使用する安全帯の規格はフルハーネス型を原則とし、名称を「墜落制止用器具」に改めるなど、安全基準を厳格化しています。

奥村組では、墜落転落災害の撲滅に向けて、墜落制止用器具に関する独自のルールを設定するなど、安全対策を強化してきました。
また、日立ソリューションズでは、AIやIoT、スマートデバイスを駆使して、建設現場における働き方改革と生産性、安全性の向上を支援する利便性の高いシステムやサービスを開発・提供することで、建設テックに取り組んでいます。
このたび、安全意識のさらなる高まりを受け、より効果的な安全対策を実現するために、日立ソリューションズは、奥村組と共同開発した本サービスを建設業界向けに提供することとしました。

※5 厚生労働省 令和3年 労働災害発生状況
 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/s21-16.pdf

サービス利用イメージ(検証時の画像)

サービス導入による効果

  • 画像認識AI技術の活用により、鉄骨上作業におけるフック不使用者を検知し、通知(または警報)を発することで、不安全行動を抑止し、事故軽減に貢献
  • 現場にいなくても、カメラ映像から作業員の不安全行動を検知するため、管理者の負荷を軽減
  • 不安全行動のデータを蓄積しておくことで、教育や傾向分析などにも活用が可

■ 日立ソリューションズ「労働安全衛生トータルソリューション」について
 URL:https://www.hitachi-solutions.co.jp/anzen/

■ 日立ソリューションズ「建設業向けソリューション」について
 URL:https://www.hitachi-solutions.co.jp/contech/sp/

資料引用:奥村組

おわりに

弊社スギテックはロープアクセスによる外壁調査も行っております。
仮設足場を設置せずに屋上から特殊な産業ロープで固定された作業員が吊り下がり作業を行える技術です。この技術を用いて、打診調査や漏水調査、塗装、防水、シーリング、タイル張替え、洗浄なども行います。

ロープアクセスでは、安全運用荷重を算出し、高強度の道具をしているため、重さに耐えられず道具が壊れてしまうことはありませんが、ロープが安全ということはIRATAが公開している統計が証明しています。このIRATAというのは、産業ロープアクセス業者協会の略称、ロープアクセス技術の安全な運用と無事故を目的として設立され、第三者による技術認定を行うなど厳格な管理のもと、ロープアクセス技術者の資質向上や新技術の開発などを行っている世界最大の団体です。
IRATAの近いところでの統計によると、2019年のロープアクセスの事故数は世界で249件であり、その中で死亡事故が起きてしまったのは1件のみという統計データが公表されています(https://irata.org/page/stats/)。

これらの事故が起こった249件の詳細を多いものから順に並べると以下の通り。

危険ではあったが怪我はしていない(179件)
7日未満の負傷(59件)
7日以上の負傷(8件)
大怪我(2件)
死亡(1件)

事故の内容から、ヒヤリハット程度で済んでいる割合が多いことがわかります。
また、これらの事故の約77%は足が着く環境で起きているため、完全にロープにぶら下がってしまえば、足が何かしらに着いている作業より明らかに安全と言えます。

また、事故の直接の原因はロープアクセスというシステムにあるわけではなく、ヒューマンエラーによって事故が引き起こされているため、ロープアクセス自体は極めて安全性の高いものだと言えます。

そして、事故が起こる根本の原因は、危険箇所を事前に予知できていなかったり、リスクを過小評価してしまったり、現場の管理不足などが挙げられています。

そうした現場の状況の中、墜落制止用器具フックの不使用者を検知できるAIカメラが守護してくれる現場を奥村組✕日立ソリューションズが実現したことは、高所の安全管理をより強固にしたソリューションと言えるでしょう。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□株式会社奥村組
リリースニュース:http://www.okumuragumi.co.jp/newsrelease/2023/ai-1.html
ICT統括センター イノベーション部 DX推進課 [担当:廣瀬 年彦(ひろせ としひこ)]
TEL:03-6631-4859 E-mail:toshihiko.hirose@okumuragumi.jp
URL:https://www.okumuragumi.co.jp/

□株式会社日立ソリューションズ
<商品・サービスに関するお問い合わせ先>
URL:https://www.hitachi-solutions.co.jp/inquiry/

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