中村タイル主催
泰山タイル展開催 一枚のタイルがつなぐ、縁

sugitec

概要

本日は美術工芸品として近代建築ファンならずとも有名な存在の泰山タイル。
「幻のタイル」とも言われるその魅力をたっぷり体感できる初の展覧会が京都市登録有形文化財の1928ビル「同時代ギャラリー」にて開催というトピックスです。

泰山タイルとは

泰山タイルは、1917年(大正6年)池田泰山(いけだたいざん)によって京都市南区東九条に設立された泰山製陶所(たいざんせいとうしょ)で造られた建築用装飾タイル。

日本の近代洋風建築などで広く愛用され、独特の魅力が多くの建築家をはじめ、アート愛好家や建築物愛好家から美術工芸品として愛され注目を集めています。

この展覧会は大阪で70年以上続く老舗のタイル専門商社・施工会社の中村タイル株式会社(以下、中村タイル)の倉庫で50年間保管されてきた大量の泰山タイルの発見からの出会いが縁となり、実現されたもの。

展示は泰山製陶所の創設者、池田泰山の末裔でモザイクタイル作家の池田泰佑(いけだたいすけ)氏、泰山タイルの愛好家である柏原卓之(かしはらたくゆき)氏、中村タイルのコレクションから泰山タイル約1000点、立体物30点を公開しています。

泰山タイル愛好家で多くのコレクションを持つ柏原卓之氏から紹介文から泰山タイルに対しての愛を感じる詳細な説明です。以下、ご紹介します。

泰山タイルは、泰山製陶所(たいざんせいとうしょ)によって作られた建築用装飾タイルです。

泰山製陶所は、大正6年(1917)から昭和48年(1973)の間、京都駅のすぐ南側(東九条大石橋高瀬川)にて、池田泰山(本名・泰一)により、陶磁器製品専門の工場として開所されました。

泰山タイルの大きな特徴は、清水焼がベースであることです。

当時の日本の陶磁器研究の最高機関であった、京都市陶磁器試験所にて学んだ泰山は、近代化日本における陶磁器の多様性に注目し、木材よりも長期間使用でき、手入れが簡単で衛生的であるタイルに注目しました。

泰山タイルは、その制作工程全てが手作業であることが第一条件に挙げられます。

当時、近代化著しい日本では、多くの工業製品が機械化によって作られる中、泰山はその全ての制作工程を、人による手作業で作ることに最もこだわりました。

なぜならば、泰山は自らが制作するものは、清水焼の陶磁器であるという信念を持っていたからなのです。

その結果作られた製品は、他社の製品にみられることのない精巧さと、釉薬の窯変によって得られる唯一無二の美しさがありました。

その姿から『美術タイル』とも称され、当時建築された多くの洋館などの装飾品として重宝されるようになります。

使用された建物は、日本を代表する建築家が設計した洋館はもちろん、町家をはじめとした一般住宅、喫茶店や銭湯、遊郭建築に至るまで、街を彩る様々な種類の建物に使われました。

のちに皇室への献上品(香炉)をきっかけに、皇室関連の建物への制作にも携わりました。

泰山タイルは、京都で作られていた為、京都市内をはじめ関西一円にて多く使用されたことが判っています。

特に鴨川沿いの建築に多く使用例があることにも注目したい事実です。(鴨川の水運を使って運搬) その納入と施工には、泰山製陶所専従の専門職人が施工したもの、地域の特約店を通じて納入されたのち地域の左官屋が施工したもの、泰山製陶所から直接個人で買い付け、日曜大工(DIY)で施工したもの、おおよそ3通りの方法があったことが判っています。

泰山製陶所で作られた製品の中でも特に注目するのが、タイルを割った陶片により作られる美術品「集成モザイック」です。泰山タイルの真骨頂として知られ特許も取得されました。

集成モザイック作品は、当初、新しいジャンルの芸術的調度品として制作されましたが、後に風水や縁起物的な影響も受け、子孫繁栄や火災除けとしても制作されています。
水に関連するデザインや施設への施工が多いのも特徴の一つです。

さらなる評判を呼んだ泰山製陶所製品は、北は樺太、南は鹿児島発の沖縄連絡船、海外においては中国大連、香港、上海、ソウル、台湾、フィリピン、シャム(タイ)に及ぶまで、多くの国々で使用されたことが判っています。

海外においては、そのほとんどが、政府機関や王室などの特別な建築であったことも注目したい事実です。

ただし、これら泰山製陶所の納入記録は=必ずしも泰山タイルではないということに注意が必要です。

現在、泰山製陶所で最も有名な製品はタイルでありますが、実は、瓦や煉瓦をはじめ、室内装飾品、花瓶、器、茶器、陶額、さらには壁泉、裸婦像、小便器小僧、橋の欄干擬宝珠に至るまで、多くの陶磁器製品の制作を行っていました。

ちなみに、集成モザイックをはじめとした泰山製陶所製品には、基本的にデザインを担当した作家がいました。宇野三吾、矩幸成、奥田勝など、日本を代表する芸術家が名前を連ねます。

泰山製陶所は残念ながら昭和48年に閉所しますが、その56年の歴史の中で東九条で作られた全てが、まぎれもない泰山製陶所の製品です。

このオフィシャルウェブサイトを通じ、正確な一次情報に触れて頂き、世界中の泰山タイルをさらに愛して頂くきっかけとなれば幸いです。

最後に、泰山製陶所は東九条の工場閉鎖後、東山五条近くの本町ビルにて閉鎖における残務処理などを行いました。

同時期に愛知県瀬戸市にて開所された『泰山製陶所』は、当時の従業員による暖簾分け的な事業でした。

泰山製陶所の名前を付けておりますが、その製品技術は到底及ばず全くの別物であり、『瀬戸で作られた泰山は泰山タイルにあらず』という言葉を池田泰祐氏から伺っていることも付け加えておきます。

池田泰佑氏
1943年池田泰山の孫として京都に生まれ、多くの彫刻作品で入選を果たし、1969年に泰山製陶所へ入所。1990年京展(陶製モザイク)入選からモザイクタイルの壁画制作による個展などを開催、活動をされています。

柏原卓之氏
泰山タイル愛好家。泰山タイルの救出を目的とした収集活動を行う。50作品以上を所有する日本一のコレクター。

嵯峨広造氏 中村タイル株式会社 取締役 開発事業部長。

自ら手がけた壁泉を手にする3氏。

近代化の進む工業製品製造の世界にありながら美術工芸品としての価値を貫いた存在の泰山タイル。
当時はまさに機械化と美の追及とのせめぎ合いを感じさせる時代。そんなロマンを感じさせる数多くの貴重な展示品は圧巻です。

ぜひ観て、そして手に取ることのできる展示でその魅力を感じてみてください。

【泰山タイル展 一枚のタイルがつなぐ、縁。】

会 期:  2023年6月27日(火)-7月2日(日)
会 場:  同時代ギャラリー (京都市登録有形文化財の1928ビル2F)
     京都市中京区三条通御幸町東入弁慶石超56 1928ビル2F
回廊時間: 12:00-19:00
観覧料:  当日券 1,000円  ※ 18歳未満無料
主 催:  令和泰山運営事務局 中村タイル株式会社
共 催:  同時代ギャラリー
協 力:  泰山製陶所 泰山タイルの会 ゆんたびグルメツアーズ
問合わせ: 06-6531-7263(中村タイル株式会社 平日 9:00-17:00)

資料引用:キョウトピ

おわりに

外壁調査と施工を担う弊社スギテックとしては、地元の伝統ある資材「泰山タイル」を知り、触れることができる貴重な展示会です。
今週末は京都市内はやや強めの雨模様ですが、雨だからこそ味わえる古のタイルに包まれた建物の路地を歩くひと時が、新京極界隈にはあります。


参考・関連情報・お問い合わせなど

□中村タイル株式会社
https://nakamuratile.co.jp/2023/06/1222/
イベント引用:https://kyotopi.jp/articles/nd0Kg

建設技術技術特集
技術開発でお困りですか?

スギテックでは、DXを推進していく中で、皆様が日々抱えている課題を解決するお手伝いをさせていただきます。

「技術開発を考えているが実現できる技術なのか?」「こんなことをやりたいと思っているが、費用は大体いくらかかるのか?」等、気軽に相談や見積もりができる所をお探しの方は、是非お気軽にお問い合わせください。

SUGITEC|建設業界の最新技術紹介
タイトルとURLをコピーしました