伊藤忠エネクス✕大林組
次世代バイオ燃料「リニューアブルディーゼル」の長期実証実験を開始。

sugitec

概要

伊藤忠エネクス株式会社(以下、伊藤忠エネクス)と、株式会社大林組(以下、大林組)は、2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)の建設工事で稼働する建設機械の燃料に、リニューアブルディーゼル(以下、RD(※1))を活用する実証実験を実施中というリリースニュースをお届けします。

次世代バイオ燃料「リニューアブルディーゼル」

本実験では、大林組が手がける大阪・関西万博の工事において、西尾レントオール株式会社から借り受ける建設機械(フォークリフト)に、軽油に代わる燃料としてRDを使用します(計画使用数量:1,800L、計画CO2削減量:4.6t)。

このRDは、伊藤忠商事株式会社がフィンランドのネステ(Neste)社から調達し、伊藤忠エネクスが大林組に供給します。伊藤忠エネクスと大林組は、大阪・関西万博の工事期間中、RDの長期使用時の建設機械への影響を調査するとともに、燃料調達から供給、使用までのプロセスの検証と最適化に取り組みます。

Neste社のリニューアブルディーゼル(RD)

大阪・関西万博の工事で使用するフォークリフト

大林組は、本実験を通じてRDの活用拡大につなげるとともに、並行してRDとは製法・性状の異なる100%バイオディーゼル燃料(B100燃料)を建設機械に活用する実証実験も行います。

さらに、燃料の低炭素化のほか、電動建機の導入、再生可能エネルギーの導入、ZEBの推進・拡大、低炭素型の建設資材の開発・実用化など、さまざまな取り組みを推進し、脱炭素社会の実現に貢献します。

伊藤忠エネクスは、経営理念「社会とくらしのパートナー」のもと、エネルギー企業としてエネルギーの安定供給を行うとともに、今後も環境負荷低減商材やサービスの普及に努め、持続可能な社会へ貢献します。

実証期間2023年6月~2024年12月(19ヵ月)
実証場所2025年日本国際博覧会 施設整備事業 PW北東工区(大阪市此花区夢洲)
建設機械2.5t フォークリフト
使用数量(計画)1,800L
実証内容RDの長期使用時の建設機械への影響
燃料調達から供給、使用までのプロセスの検証など
※1 リニューアブルディーゼル(RD)
Neste MY Renewable Dieselは、世界最大級のリニューアブル燃料メーカーであるNeste社(本社:フィンランド)が、食料競合のない廃食油や廃動植物油などの原料から、水素化精製プロセスを経て製造する次世代バイオ燃料です。ライフサイクルアセスメントベースでのGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量で石油由来軽油比約90%削減を実現し、軽油を使用する車両や重機などでそのまま利用することが可能です。

資料引用:大林組

おわりに

寒暖差の急降下が激しい2023年の師走ですが、そろそろ、市内を巡回販売する「灯油」トラックを見かける今日この頃です。

今回、取り上げた「RD」。このリニューアブル・ディーゼル燃料は、石油由来の軽油に代わる次世代燃料です。RDの主な原料は、廃食用油や廃動物油などの廃棄物です。

実は、京都市内では京都議定書が誕生した平成9年から全国に先駆けて、バイオディーゼル燃料化事業として、市民とのパートナーシップによりご家庭や飲食店の軒先に「廃油」回収缶を設置してさまざまな廃油を回収し、バイオディーゼル燃料を精製し、令和4年度には、ごみ収集車や一部の市バスの燃料に年間約42万リットルを再利用しています。精製工程を京都市のバイオディーゼル燃料化事業のホームページを拝見しても、「RD」と言ってもいいでしょう。

日本国内での温室効果ガス(GHG)排出削減に関しては、2050年のカーボンニュートラル(以下「CN」)や2030年度の46%削減の実現に向けて、政府は「クリーンエネルギー戦略」を掲げ積極的に推進しています。RDは「ドロップイン燃料」として、既存の流通インフラ・内燃機関を活用しながら排出削減を可能にすることから、運輸業界や建設業界では有効な排出削減施策としてRDの活用が大きく期待されています。また、自動車製造業界は、電気・水素を新たな動力源とした次世代車両の開発を強化する一方で、RDを含めたCN燃料の活用も必要な対応策として位置づけ、2050年のCNを推進しています。

では、最後に「RD」の可能性を簡単にまとめておきましょう。

・環境に優しい
RDの燃焼時に排出されるCO2は、石油由来の軽油に比べて約90%削減できるといわれています。これは、石油由来の軽油は燃焼時に化石燃料が分解されることでCO2が発生するのに対し、RDは植物や動物由来の原料から製造されるため、燃焼時に発生するCO2は、大気中のCO2と相殺されるためです。

・安定供給が期待できる
RDの原料となる植物油や動物油は、再生可能資源であるため、石油資源に比べて安定した供給が期待できます。

・軽油と互換性がある
RDは、軽油とほぼ同じ性質を持つため、軽油車にそのまま使用できます。そのため、車両の改造や追加投資が不要です。

RDは、環境に優しく、安定供給が期待できる、軽油に代わる次世代燃料として注目されています。今後、RDの普及が進むことで、軽油の使用量の削減やCO2排出量の削減につながることが期待されます。


□株式会社大林組
リリースニュース:
https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20231208_1.html

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