足場をはじめとする建設業界のプラットフォーマーとして、業界課題に革新的なソリューションを創造しつづける株式会社タカミヤ(以下タカミヤ)は、建ロボテック株式会社(以下、建ロボテック)と共同開発したパイプレール運搬ロボット「TLEVER(トレバー)」のレンタル提供を2025年7月より開始というリリースニュースをおとどけします。
パイプレール運搬ロボット「TLEVER」

運搬工数を1/3に削減し、建設現場の労働負荷軽減と事故リスク低減を実現
本製品は、建設現場における足場などの資材運搬を自動化することにより、作業員10人分の運搬能力を発揮し、工数を1/3に削減。建設業界が直面する深刻な人手不足の解消と、生産性や安全性の飛躍的な向上に貢献します。
開発の背景:深刻化する人材不足と重労働に、テクノロジーの力で挑む
建設業界の就業者数は、1997年の685万人をピークに減少の一途をたどり、2024年には477万人(ピーク時比69.6%)まで落ち込んでいます(*1)。この深刻な人手不足は、建設業界全体にとって、喫緊の課題です。
特に、足場作業においては、その約70%が部材の「運搬」に費やされているという実態があります(*2)。人力による運搬は、以下のような多くの課題を抱えています。
過酷な労働環境: 天井が低い場所や長距離を、手運びすることによる作業員の身体的負担。
非効率な作業: 部材の形状が多様で重いため、一度に運べる量が限られ、往復回数が増加。
潜在的な事故リスク: 運搬中の接触事故や、足元が見えにくいことによる転倒、資材落下の危険性。
これらの課題を解決し、建設現場の省人・省力化と安全性向上を実現するため、タカミヤはロボティクス技術を駆使したパイプレール運搬ロボット「TLEVER」を開発いたしました。
*1: 総務省「労働力調査(暦年平均)」https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/index.html
*2: ㈱タカミヤ調べ、2025年7月時点、日本国内の足場作業での調査
TLEVERの特徴:“軽い・強い・安全”を兼ね備えた運搬ロボット
TLEVERは、現場導入のしやすさと高い実用性を両立。即戦力となることを目指し、シンプルかつパワフルな機能性を追求しました。
軽量設計で簡単設置: 1台28kgと軽量なため、重機を使わず人力で容易に設置可能。導入のハードルを大幅に下げ、誰でもすぐに運用を開始できます。
圧倒的な運搬能力: 最大500kgの資材を一度に積載可能。実働8時間持続する大容量バッテリーを搭載し、長時間の連続稼働に対応します。
長距離・悪路も安定走行: 独自開発のパイプレール上を走行するため、ぬかるみや凹凸のある不整地でも安定した長距離運搬を実現します。
3段階の安全対策: 障害物を検知する3段階の安全センサーを搭載し、作業員と周辺環境の安全を最優先に確保します。

TLEVERの構成
導入による効果:作業員10人分の運搬能力、工数を1/3に削減
タカミヤによる実証実験では、TLEVER1セットで、作業員約10人分に相当する資材量を運搬(*3)。これにより、作業員を過酷な運搬作業から解放し、本来の専門業務への集中を促すことで、チーム全体の生産性を向上させます。また、実際の橋脚補修工事におけるブラケット運搬作業では、従来の方法と比較して、工数を1/3に削減することに成功しました。
*3: 資材を運搬する作業員は、1名あたり20~30㎏を、50m/分で運ぶ能力があると言われています。TLEVERは、最大500㎏の資材を、21.6m/分で運ぶことができるため、10人分の作業量に匹敵する運搬能力を発揮すると考えられます(※タカミヤ調べ)
特に効果が大きい現場条件
TLEVERは、特に以下のような現場で、その真価を最大限に発揮します。
クレーンが届かない場所
トラックなど車両が進入できない狭い搬入路
天井が低いトンネルや橋梁の下部空間
高所など危険を伴う場所
ぬかるみや鉄筋が入り組んだ不整地
今後の展望
今後は、TLEVERのレンタル提供を通じて得られる稼働時間や移動距離といった実運用データを蓄積・分析し、お客様の現場ごとに最適化された工程管理や、さらなる効率化のソリューションを提案してまいります。
タカミヤは今後も、ロボティクス開発を推進し、建設業界における労働力不足の解消、安全な職場環境の実現、そして生産性の向上に貢献してまいります。
TLEVERの基本仕様
搬送可能荷重:500kg
搬送スピード:1.3km/h
登坂能力:5%(2.8度)
本体重量:28kg(1台)
外形寸法(cm):L76(脱着式接触センサー含まない)×W61×H38(パトライト含む)
電源:リン酸鉄リチウムバッテリー 100V 充電時間6~7h
安全機能:・前後上部接触停止機能・前後下部接触停止機能・転倒時停止機能
・小雨の運用可能な防滴仕様

※仕様は予告なく変更される場合があります。
製品動画:https://youtu.be/Kr362EDo8xEhttps
※レンタル提供するTLEVERのデザインは、動画とは異なる可能性がございます。
足場運搬ロボット「TLEVER」は「タカミヤプラットフォーム」の一環
タカミヤは建設業の深刻な人手不足・コスト高などの問題に対応するため、建設ソリューション群「タカミヤプラットフォーム」を提供しています。
足場等の仮設機材の調達・運用マーケットプレイス提供やデジタル設計支援等のデジタル化にはじまり、鳶職人に特化した無料の求人サイトまで、多岐にわたるソリューションを統合しています。
今回の「TLEVER」もその一環として、建設業界の生産性・安全性向上などに貢献します。

主なサービス内容
「OPERA」:
建設DXの入口。仮設機材の24時間WEB注文などをはじめとしたプラットフォームポータルです。
業務をデジタル化し、効率性を大幅に向上させます。
「OPE-MANE(オペマネ)」:
建設現場の機材管理委託サービスです。顧客が購入した足場機材の管理・整備を代行。足場の運用状況も確認可能です。ATMの感覚で、全国の機材Baseから足場機材を引き出して利用できます。
「Iq-Bid」:
足場のリアルタイムマーケット。
次世代足場「Iqシステム」という保有資産の運用状況や市場価格を確認しながら、ユーザー同士で自由に売買できます。
「タカミヤのBIM/CIM」:
3Dレーザースキャナーで仮設工事の設計を効率化させることができます。また、3D図面を共有・更新活用することで、建築物の情報を一元管理します。
「Tobira」:
鳶職人に特化した求人サイトです。人手不足の解消を支援し、業界全体の採用効率向上が可能です。
「タカミヤの安全教育」:
墜落や落下時の衝撃数値の可視化など、バーチャルと実体感を融合した最先端の足場教育プログラムを提供します。
これにより、タカミヤは建設業界のコスト削減、人材不足の解消、安全性向上、業務効率化を推進し、業界全体の生産性向上に貢献します。
資料引用:タカミヤ
おわりに
この「特定業務特化型ロボット × レンタル提供 × データ活用」というビジネスモデルは、様々な業界に応用できる可能性を秘めていますし、すでに稼働している分野もあります。
□農業分野 × 収穫物運搬ロボット
たとえば、高齢化が進む農家で、収穫した野菜や果物を軽トラックまで運ぶ作業。
不整地や畝(うね)の間を走行できる小型の追従型運搬ロボットを、繁忙期である収穫期だけレンタル提供する。
農家の負担を大幅に軽減し、収穫量の向上にもつながるのではと見込めますが、現状の疲弊している地方農家に需要があるかと考えてみると法人化した農家集団にとどまるでしょう。
□倉庫・物流分野 × ピッキング補助ロボット
たとえば、広大な倉庫内で、ECサイトの注文に応じて商品を集めるピッキング作業。
作業者の後を自動で追従し、集めた商品を入れるコンテナを運ぶロボットをレンタル提供するとしたらどうでしょうか。地方の中小ECにも活用の光が見えてきます。
作業者は歩き回る距離が減り、ピッキング作業に集中できます。特に、セール時期などの繁忙期に合わせて追加レンタルすることで、柔軟な人員配置が可能になります。
□イベント設営分野 × 資材運搬ロボット
たとえば、大規模なコンサートや展示会の会場で、ステージ部材や音響・照明機材を運搬する作業。
「TLEVER」のように、一時的かつ不整地での利用が想定される場面で、設営・撤収期間だけ運搬ロボットをレンタルする。短期集中的な労働負荷を平準化できます。
このように、一つの成功事例から本質的な構造(ビジネスモデル)を抽出し、他の分野に当てはめてみることで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性が見えてきます。みなさんはどんな使い方があると考えられるでしょうか。
参考・関連情報・お問い合わせなど
□株式会社タカミヤ
https://corp.takamiya.co/
リリースニュース : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000098013.html
□建ロボテック株式会社
https://kenrobo-tech.com/