災害時のインフラ復旧に期待される5Gでの遠隔操作

sugitec

こんにちは。今週も平年よりも気温が暖かくなっているようで、週末にかけてさらに上昇してくるというような予想があるようです。とは言え夜など急な冷え込みもありますので、年末年始に体調を崩すことにならないよう寒さへの備えは常にしておきましょう。

本日は以前から何度かご紹介している、次世代通信システムである5Gを使った重機などの遠隔操作システムの話題。

2台の建設機械の遠隔操作による連携作業の実証実験に成功

この実証実験はKDDIと大林組、NECによるもので、今月の3日から14日まで大阪の茨木市で建設中の安威川ダムの施工エリア一部を使っておこなったもので、次世代通信システム5Gを活用し、2台の建設機械を遠隔操作で連携させる作業を実施し成功しています。

災害時には社会インフラの迅速な復旧が急務です。その一方で土砂崩れなどの2次災害のリスクがあるために、作業現場の安全を確保するという観点から、建設機械を遠隔で操作できるシステムの活用に期待がかかっています。

従来の通信方法での問題

遠隔操作は離れた場所にある遠隔操作室より、建設機械に取り付けられたカメラ映像をモニター越しに見ながら操作をおこなうのですが、Wi-Fiなどの従来の通信方法を活用した遠隔操作の場合、建設機械の操作とモニターの映像にズレが生じてしまいます。

これは通信方式による遅延が問題で、このズレが起こることにより搭乗した操作に比べてオペレーターの疲労度が高くなり、作業効率が低下してしまうという課題がありました。

特に2台の建設機械を連携させて作業する場合、建機同士の距離感をつかんで搭乗操作と同等の操作性を実現するために、遠隔操作と映像のズレを最小化することが不可欠になります。

実証実験概要

今回の実験では、5Gの高速大容量で低遅延通信という特長を活用し、バックホーとクローラーダンプ、異なる2台の建設機械を遠隔操作で連携させ、土砂を運搬することに成功。

各建機には前方に2Kカメラ3台、全天球カメラを1台搭載。合計で8台のカメラ映像と音声情報を5Gでリアルタイム伝送することで、搭乗操作と同等の操作性を提供できることが確認されたそうです。


出典:大林組

他にも、もしも災害時に光回線を使用できない場合を想定し、5G基地局と遠隔操作室の間を無線エントランスで接続。5Gのバックホール通信としての活用に加えて、4台の俯瞰カメラの映像を伝送。

加えて車載型の5G基地局を導入し、移動式のトレーラーハウス内に遠隔操作室を構築することで、災害現場においても短時間で遠隔操作の環境が構築可能となり、復旧活動を迅速かつ安全に進められることが実証されたそうです。

さらに国内初、対話型音声制御システムをICT施工の現場へ導入し、音声のみで5Gを搭載した建機の遠隔操作にも成功したとのこと。これによって一人のオペレーターで2台の建機を同時に操作することも可能となり、熟練者の不足を補い、さらなる作業効率の向上にも寄与できることが実証されました。

まとめ

5G通信は高速で遅延が少ないことから、自動車の自動運転や医療現場での活用など、わずかな遅延も許されないような環境での活用が期待されており、現在2020年の商用化に向けて各社本格的に実験されています。

今回のように非常に有効な手段に活用できる一方で、一般的なユーザーの利用視点からすると「高速で大容量で低遅延で…」とは言われても、中々その価値が分かりにくい部分があるのかと思います。

仮に携帯電話が5G通信になっても、通信料金が今よりも高くなるのであれば、安い方が良いし前のままで良かった、ということになりそうな気がしますね。携帯端末等の小さい画面で4K映像だ8Kだと言われても価値が分かりにくいです。

逆に5Gで通信供給力が上がって料金が下がるような流れになれば、自然と世の中に浸透するものだと感じます。

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