AIを活用したコンクリート締固め管理システム

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記事のポイント

・清水建設株式会社(以下、清水建設)が、コンクリート打設時のバイブレータによる締固め状況をAIで分析、可視化する「コンクリート締固め管理システム」を開発したと発表した。

・システムを活用することで、経験の少ない作業員でも締固めの完了タイミングを適切に判断でき、コンクリート品質を安定的に確保できるようになるという。

AIを活用し、コンクリートの締固めを可視化

清水建設がこのほど、コンクリート打設時のバイブレータによる締固め状況をAIで分析することで可視化する「コンクリート締固め管理システム」を開発した。システムは法政大学、東京都市大学、東急建設との共同で特許出願したコンクリート締固め状況の可視化技術をベースに清水建設が開発したものとなる。

このコンクリート締固め管理システムの活用で、経験が少ない作業員でも締固め完了タイミングをて適切に判断できるようになるという。


出典:清水建設

コンクリートの品質を確保する上で、バイブレータによって振動を与える締固め作業は最も重要な要素だ。コンクリートは運搬時や型枠への流し込みの際に気泡が混入する。それを振動を与えることで気泡が排除され、均一化されることでコンクリート本来の強度や水密性、耐久性を引き出すことができる。

この締固めが不足すると「ジャンカ」が発生してしまい品質不良に繋がってしまう。今後、熟練工の大量離職が予測されている中、その熟練技能が失われてしまうという懸念があることから、清水建設ではAIの画像解析技術を活用し、コンクリートの締固め状況を適切に評価する「コンクリート締固め管理システム」の開発に至ったという。

このシステムは、作業員のヘルメットにウェアラブルカメラを装着。そこから送られてくるコンクリート打設作業のリアルタイム映像をAIが解析することで、締固めの進行状況を評価する。その結果はモニター上の3次元モデルに投影されるため、施工者は締固めの過不足を視覚的に確認できる。


出典:清水建設

AIが締固め状況を評価する要素は「バイブレータの挿入位置」「挿入深さ」「挿入時間」の3要素。作業エリアに50cmピッチで配置されたARマーカーの平面座標からバイブレータの挿入位置を割り出すとともに、挿入深さをバイブレータの動力ホースに貼り付た色マーカーから、挿入時間を当該作業の撮影時間からそれぞれ認識するという。

所定の挿入深さと挿入時間を満たすことで、「バイブレータの直径約10倍の範囲が適切に締固められた」と判断。3次元画像上の当該範囲を青色の球体で着色していく。尚、条件を満たさない場合は無着色だ。


出典:清水建設

ウェアラブルカメラからの映像データの送信には5Gを活用。作業の映像撮影・送信からAIによる映像の解析、解析結果のフィードバックまでの所要時間は8分程度と早く、仮に不具合が発覚してもコンクリートの硬化前に、再度締固めの作業をやり直すことが可能となっている。

今後、清水建設ではこのコンクリート締固め管理システムを現場に広く展開していく考えだ。


□清水建設株式会社
コンクリート締固め管理システムを開発~AIを活用し締固め状況を可視化~
リリース記事:https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2021/2021018.html

技術に関するお問い合わせ:https://f.msgs.jp/webapp/form/20233_fydb_17/index.do?code=inquiry

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