鹿島建設 AI分野最高峰の国際会議NeurIPSにおけるコンペティション部門で建物ごとの調整を不要とする空調制御AIの研究課題が採択。

sugitec

鹿島建設株式会社(以下、鹿島)は、米国およびカナダの大学・研究機関や企業に所属する研究者らと共同で、AI・機械学習分野における最高峰の国際会議のひとつであるNeurIPS(ニューリプス)※1 2026のコンペティション部門※2に、建物空調のAI制御に関する研究課題「The Smart Buildings Challenge: Learning Foundation Models for Real-World Optimization at Scale」(スマートビルチャレンジ:実世界の多様な建物を最適化する基盤モデルの学習、以下「本課題」)※3を提案し、
採択※4されたというリリースニュースをお届けします。

建物ごとの調整が不要な空調制御AIモデルの実現を

本課題は、規模や設備仕様を問わず、建物ごとの調整が不要な空調制御AIモデルの実現を目指します。
採択を受け、鹿島らは、本課題に対する解決手法の性能を参加者が競うAIコンペティション(以下、本コンペティション)を共同で主催し、世界中の研究者・技術者から優れたAIモデルを募ります。

建物空調のAI制御における、従来方法(左)と本コンペティションで目指す解決策(右)のイメージ

本コンペティションは、昨年鹿島が参加者として取り組み、3位入賞した類似のコンペティション※5の続編にあたります。
今回、鹿島は主催チームの一員として、コロンビア大学(米国)、ハーバード大学(米国)、プリンストン大学(米国)、シラキュース大学(米国)、ワシントン大学(米国)、Mila (Quebec Artificial Intelligence Institute、カナダ)、Google(米国)および Distyl AI(米国)に所属する研究者らと共同で本コンペティションを企画・運営します。

鹿島は、建築・設備分野が抱える課題を世界のAI研究コミュニティに共有し、多様な専門性を持つ研究者・技術者の知見を結集することで、新たな研究アプローチや解決手法の創出を目指します。
こうしたオープンイノベーションを通じて、AIを活用した空調制御技術の開発を加速し、技術の高度化を図ります。
また、本コンペティションで高い評価を得たAIモデルについては、シンガポールに開業した鹿島のグローバル研究開発拠点である建物The GEARをはじめとする実建物への試験適用を予定しており、その有効性を検証してまいります。

近年、環境負荷の低減、建物の快適性・利便性の向上、運用管理の効率化を実現するスマートビルへの関心が高まっています。
建物利用者の快適性を維持しながら、エネルギー消費量やCO2排出量を削減する空調制御は建築・設備分野の重要課題の一つです。一方、AIを活用した空調制御技術の研究開発が広く進んでいますが、その多くは建物ごとにAIモデルの構築・調整を必要とするため、多様な建物へ展開するうえで課題となっています。

この課題を解決するため、本コンペティションでは、建物ごとの個別モデルに代わり、建物規模や空調設備仕様を問わず、多様な建物に適用可能な単一の空調制御AIモデル「建物制御基盤モデル」※6の実現を目指します。

本コンペティション参加者は、複数の建物を再現したシミュレーション環境を用いて、建物制御基盤モデルを開発します。
開発されたモデルは、規模や間取り、気象条件、空調設備仕様などが異なる複数の未知の架空建物に適用され、建物利用者の快適性、エネルギー消費量およびCO2排出量の削減性能について、同一条件のもとで比較・評価されます。
本コンペティション後は、高い評価を得たモデルを複数の実建物に試験適用し、実用化に向けた有効性の検証を進める計画です。

※1 Conference on Neural Information Processing Systems
※2 Competition Track:世界中の研究者から公募された課題をNeurIPSが審査し、AI・機械学習分野の重要な研究課題として採択したものについて、参加者が共通の評価基準のもとで解決手法を競う
※3 The Smart Buildings Challenge:https://smart-buildings-2026.github.io/competition/index.html
※4 2026年7月28日NeurIPS発表資料:https://blog.neurips.cc/2026/07/28/neurips-2026-competitions-announced/
※5 The International Conference on Machine Learning, Workshop on Computational Optimization of Buildings, Smart Buildings Challenge:https://sites.uw.edu/co-build/common-task-framework-challenge/
※6 基盤モデルとは、多種かつ大量のデータを用いて訓練され、さまざまな問題に適応できる大規模モデル

資料引用:鹿島建設

おわりに

今回発表された鹿島らのNeurIPS 2026における取り組みは、単なる「オフィスの快適性向上」や「一般的な省エネ」という枠組みにとどまりません。
その背景には、世界中で爆発的に建設が進むデータセンター(DC)の運用課題と、急速な進展を見せる生成AIインフラの熱狂が色濃く反映されていると推察されます。

鹿島は国内の大型DC施工において圧倒的なシェアと実績を誇るトップランナーです。
しかし現在、GPUの超高密度化に伴いサーバーの発熱量は跳ね上がり、空冷から水冷・液冷への移行など、冷却方式の複雑化が極限に達しています。
さらに、ハイパースケーラーが求める「世界中で同時にDCを建設・稼働させるスピード感」に対し、建物ごとに時間をかけてAIモデルを個別チューニングする従来の開発手法では、もはや運用が追いつかなくなっているのが実情です。

だからこそ、今回提案された「規模や設備仕様を問わず、建物ごとの調整を不要とする単一の空調制御基盤モデル」というアプローチが極めて大きな意味を持ちます。
コンペティションの主催チームにGoogleなどの米テック巨頭が名を連ねている点からも、この課題がまさに次世代インフラ運用の最前線から提示されたものであることを物語っています。

建築という「ハードウェア」の施工にとどまらず、最先端AIによる運用最適化という「ソフトウェア」のデファクトスタンダードまでも自ら握りにいく――。
シンガポールのグローバルR&D拠点「The GEAR」での実証を経て、この汎用制御AIが世界規模のDCやスマートビルに組み込まれていく未来はすぐそこまで来ています。鹿島建設が主導するこのオープンイノベーションは、AI時代の巨大インフラを足元から支える、極めて戦略的かつ野心的な挑戦と言えるでしょう。


【リリースニュース配信元】
□鹿島建設株式会社

リリースニュース:
https://www.kajima.co.jp/news/press/202610/30a1-j.html

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