株式会社 安藤・間(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷一彦 以下、「安藤ハザマ」)は、静岡理工科大学(所在地:静岡県袋井市、理工学部土木工学科教授:西田孝弘)、愛媛大学(所在地:愛媛県松山市、同大学大学院理工学研究科理工学専攻教授:河合慶有)および港湾空港技術研究所(所在地:神奈川県横須賀市、構造研究領域主任研究官:小池賢太郎)と共同で、微生物を高度利用したバイオスマートコンクリート®「BiSCo®(Bio-Smart Concrete®)」(注1)の開発を進行中というリリースニュースをおとどけします。
微生物の呼吸で防錆・自己治癒コンクリートの製造法を確立

写真1:バイオスマートコンクリート「BiSCo」で海上桟橋の防潮壁に試験適用
取り組みの背景
安全で強靭なインフラシステムの構築のため、鉄筋コンクリート構造物の長寿命化技術が求められていますが、その実現のためには、コンクリート中の鉄筋の腐食を防止することが重要です。
そこで、強アルカリ耐性菌「AH株」の代謝活動(注2)によりコンクリート中の溶存酸素(注3)を消費し、かつ、酸素と水の供給路となるひび割れを自己治癒することで、酸素や水を不足させ鉄筋腐食を防止するバイオスマートコンクリート「BiSCo」の開発を進めています。
試験適用の概要
生コンクリート工場で製造したベースコンクリートを生コン車で現場へ運搬し、微生物濃縮液と栄養素を生コン車のドラムに投入して高速撹拌することで、BiSCoを10㎥製造しました。
製造したBiSCoは所定のフレッシュ性能(スランプ:12.5cm、空気量:4.5%)を有し、ポンプ圧送、締固め作業および仕上げ作業などを打設計画通りに施工することができました(写真2、3)。

写真2:スランプ試験の様子

写真3:BiSCoの打込み状況
漏水実験
打設前の品質試験時に供試体を作製し、漏水実験(注4)を行いました。
実験の結果、導入したひび割れが自己治癒され、約1か月間で漏水が止まったことを確認しました(写真4)。

写真4:ひび割れの自己治癒状況
今後の展開
BiSCoを用いることで、メンテナンスフリーでの長寿命化が期待できます。
そのため、担い手不足できめ細やかなメンテナンスが難しい、点検補修をするためには本来の機能の停止が必要(水路や水槽)、構造上点検が困難(空間が狭い、高所に位置する)、塩害や中性化による鉄筋腐食が危惧されるなどの課題を抱える構造物への適用を推進します。
資料引用:安藤ハザマ
注1:
安藤ハザマ2025年1月8日リリース参照
微生物を高度利用したバイオスマートコンクリートを産学官連携で共同開発
(https://www.ad-hzm.co.jp/info/2025/20240108.php)
独自に獲得した強アルカリ耐性のある微生物「AH株」の呼吸により、鉄筋防錆機能とひび割れ自己治癒機能を付与した高機能コンクリート。
注2:
代謝活動
好気性微生物の呼吸、すなわち酸素を消費して二酸化炭素を排出する活動のこと。
注3:
溶存酸素
水中に溶け込んだ酸素のこと。
注4:
漏水実験
供試体に人為的にひび割れを導入したうえで供試体上面に常に水を溜めおき、供試体下面のひび割れ部における漏水の有無でひび割れの自己治癒状態を判定する実験。
おわりに
今回のリリースニュースは進化する「自己治癒コンクリート」の最前線ということでお送りしました。
これまでのコンクリートの「ひび割れ」は、構造物の劣化を招く最大の敵でした。
しかし、今や微生物を活用した「自己治癒技術」によって、その常識が覆されようとしています。
「攻め」の防錆と「守り」の治癒
安藤ハザマの「BiSCo®」は、いわば「攻め」の技術です。
独自微生物「AH株」が呼吸で酸素を消費することで、ひび割れを埋めるだけでなく、内部の鉄筋が錆びる原因そのものを根源から絶ちます。
この「酸欠状態を作る」というアプローチは、海上桟橋のような極めて塩害の厳しい環境において、比類なき耐久性を発揮するでしょう。
そして、以前から当ブログでもとりあげている會澤高圧コンクリートが展開する「Basilisk」は、世界的な実績を持つ「守り」のスタンダードです。ひび割れを迅速に塞ぎ、水や劣化因子の浸入をシャットアウトする。
混和剤として確立された使い勝手の良さは、都市部の橋梁やビルなど、幅広いインフラの長寿命化を支える「普及の鍵」を握っています。
持続可能な社会を支える「静かな革命」
これらの技術に共通しているのは、「メンテナンスフリー」という究極の目標です。
一度造ったインフラを100年、200年と使い続けることができれば、補修コストの大幅な削減だけでなく、建て替えに伴う二酸化炭素排出の抑制にも直結します。
私たちが歩く道路や、物流を支える港が、人知れず自らを治し続けている。
そんな「スマートインフラ」がある未来を築くのは今であり、これらの「生きる材料」の進化から目が離せません。
【リリースニュース配信元】
□株式会社 安藤・間
リリースニュース:https://www.ad-hzm.co.jp/info/2026/20260324.php