NEC 独自AIで3D点群データを軽量で高精細な3Dデータに変換する技術を世界で初開発。

sugitec

日本電気株式会社(以下、NEC)が、世界で初めて(注1)、独自AIとガウシアン・スプラッティング(注2)を活用し、データ容量が大きく細部を把握しづらい3D点群データ(注3)を、軽量で高精細な3Dデータへ容易に変換する技術を開発というリリースニュースをおとどけします。

インフラ事業者におけるデジタルツインの導入を促進

本技術は、都市道路のような広範囲な地形や大規模構造物の3D点群データを変換し、タブレットや一般的なパソコン上でリアルタイムかつ現実に近く、形状や見た目を直感的に把握できる画像で表示することを可能とします。
また、自治体やエネルギー業界、高速道路事業者をはじめとするインフラ事業者など、現場作業が発生するさまざまなお客さまにおいて、デジタルツインの導入をより容易にします。

これにより、点検・計測業務のリモート化を可能とし、問題の早期発見や、遠隔からの判断や意思決定を通じた現場対応の効率化と、現場作業者や監督者を含むステークホルダー間での迅速な合意形成を支援し、人材不足の解消に寄与するとともに、防災やまちづくりのDX推進を後押しします。

NECは、2027年度中に本技術の実用化を目指します。

従来の3D点群データと本技術を用いた3Dデータの比較

デジタルツイン導入前後の比較

背景

近年、自治体やエネルギー業界、高速道路事業者をはじめとするインフラ事業者の現場では、人材不足が深刻化しています。
このような状況下で、老朽化が進む設備や構造物の維持管理や再整備、計画策定といった業務を、限られた人員で効率的に進めていく必要性が高まっています。
そのため、現場では、点検や計測によって取得されるデータを活用し、補修や更新計画などに関わる検討・判断を的確に行うことが一層求められています。こうした背景から、現実の現場状況を仮想空間上に再現するデジタルツインが基盤として重要視されています。

従来、都市のような大規模かつ広範囲な現場状況を実寸大で仮想空間上で再現する場合、3D点群データが広く活用されています。
しかし、データ容量が大きい点群データの閲覧には、高価な高性能マシンや専用サーバが必要となるため、運用面で大きな負担や業務活用面での障壁が生じ、これらがデジタルツインの導入ハードルを高める一因となっていました。
また、3D点群データの閲覧時には、画面上で対象物を拡大表示すると奥側が透けて見えるなど、現実の見た目と乖離することがあり、データに基づいた意思決定を困難にしていました。

これらの課題を解決し、デジタルツインの社会実装を促進するため、NECは、長年培ってきたAIやデジタルツインといった技術の知見やノウハウ、研究成果に加え、近年、映画やアニメにおける背景生成やバーチャルプロダクションへの応用が進んでいるガウシアン・スプラッティングを融合することで、今回の技術開発を実現しました。

本技術の特長

  1. 高精細な表示品質により、監督者が現場に赴かずに判断可能

従来の大容量3D点群データでは、画面上で拡大表示した際、建築物や機器の文字など細部が現実と乖離して表示されることがあり、ユーザーの意思決定が難しいケースがありました。

本技術では、現場における機材や設備の形状や配置、外観を高精細に表示できるため、監督者が足を運ぶことなく遠隔から多地点を管理したり、リモートで点検・判断することが可能です。

また、変換後の3Dデータは、軽量化に伴う形状の歪みが抑えられているため、構造物のボルトなど細かな凹凸も正確に表現でき、リモート計測なども可能です。

  1. 3Dデータを90%軽量化し、タブレットでも快適に閲覧・共有可能 (注4)

本技術は、元となる点群データを90%軽量化することが可能です。

例えば、4.4GBの3D点群データを0.3GBの3Dデータに変換できます。

これにより、表示速度が大幅に向上し、タブレットや一般的なパソコンなどの環境でのスムーズな閲覧や共有を可能にします。これにより、ステークホルダー間での報告や合意形成を迅速化できます。

  1. 膨大な現場画像データの準備が不要

本技術は、NEC独自のAIを用いることで、点群3Dデータから様々な位置のシミュレーション画像を自動生成することが可能です。
そのため、一般的なガウシアン・スプラッティング技術で必要となる膨大な現場画像データを新たに用意する必要がなく、既存の3D点群データのみで利用できます。

NECは、インフラ事業者など現場作業が発生するさまざまなお客さまにおいて、デジタルツインの導入をより容易にすることで、まち全体のDXを推進し、防災や地域活性化などの社会課題の解決に取り組みます。

(注1)	NEC調べ
(注2) 3Dの形や空間を「小さなぼんやりした点」の集まりとして表現し、それらを重ねることで、なめらかで自然な立体映像をつくる技術。イメージとしては、無数のやわらかい粒で物体を形づくるような仕組み。入力画像とは異なる新たなアングルで空間を描画できるため、映像・クリエイティブ業界などでも活用される。3D表現技術のなかでもデータ容量が軽く、処理も速いため、リアルタイムで映像を表示しやすいのが特長である。
(注3) 物体や空間の形状を、多数の点の集まりとして記録した3Dデータ。レーザー測定などにより、現実の建物や地形を高精度に再現できる。
(注4) 道路・インフラ設備の3D点群データにおける実験値

資料引用:日本電気(NEC)

おわりに

ライターの経験からすると、昔々にハイポリを手作業で「レダクション」してローポリにしていたころがなかなか懐かしいと記憶からピックアップしたリリースニュースなのですが・・・
以下の考察を一席をば。

建設DXを加速させる「高精度・軽量3Dデータ変換技術」の衝撃と展望

建設業界は今、技能者不足と老朽化インフラの急増という「2024年問題」以降の深刻な課題に直面しています。この解決策として期待されるデジタルツインの実装において、NECが開発した「3D点群データの軽量・高精細化技術」は、現場の運用を根底から変える可能性を秘めています。

現場運用の「重さ」を解消する技術革新

従来のBIM/CIMや点検業務における最大のボトルネックは、3D点群データの「巨大さ」でした。高精度な形状再現を求めればデータ量は数GBに達し、現場のタブレットや標準的なPCでは動作が重く、実用性に欠けていました。
今回の技術は、独自AIと「ガウシアン・スプラッティング」を融合し、形状の歪みを抑えつつデータ容量を90%削減します。
これにより、トンネルや橋梁、大規模建築といった広大な現場データも、モバイル端末でストレスなく閲覧・計測可能となります。ボルト一粒の凹凸や設備の文字まで視認できる高精細さは、施工管理や保守点検の「リモート化」を現実のものにします。

実証実験における有力なパートナーシップ

本技術の社会実装には、大規模な「現場」を持つ事業者との連携が不可欠です。

ゼネコン企業群:
NECはこれらの企業と建設DXで多くの実績を持ちます。施工中の進捗管理や、設計データと現況点群の照合において、本技術による「軽量なデジタルツイン」は、現場監督の巡回負担を劇的に減らす武器となります。

社会インフラ事業者:
膨大な構造物資産の維持管理を担うこれらの企業にとって、データの軽量化は「全資産のデジタル化」を実現するための必須条件です。特に人の立ち入りが困難な高所や危険箇所でのドローン点検データと組み合わせた、高度なリモートメンテナンス実証が期待されます。

2027年度の実用化に向けた価値

実証実験の核心は「現場に行かずに、現場以上の精度で判断できるか」に集約されます。追加の撮影を不要とするNECのAI技術は、コストを抑えつつステークホルダー間の迅速な合意形成を支援します。
2027年度の実用化に向け、建設の「作り手」とインフラの「守り手」との密接な連携こそが、日本の国土強靭化を支えるDXの要となるでしょう。


【リリースニュース配信元】

□日本電気株式会社
リリースニュース:
https://jpn.nec.com/press/202605/20260511_01.html

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