コンクリートの表層の品質を向上させるシール工法

sugitec

こんにちは。18年の業務もいよいよ残すところ3日程となりましたが、皆さま慌ただしい方も多いのではないでしょうか?やり残しのないようにしっかりとやっていきましょう。また、来年の目標に対しても意識していきたいところですね。

ウォルトディズニーの言葉で「成功する秘訣は自分でやってみること」という言葉があります。誰しも失敗したくないので成功者の体験や意見を聞いて行動したいと思うのは普通ですが、ディズニーは「とりあえず自分でやってみろ」と。

結果失敗するかもしれないし、もしかしたら成功するかもしれないが、その自分自身でする経験が大事だということですね。この言葉はシンプルで好きです。

個人的に失敗などは捉え方の問題で、そもそも失敗の定義自体が曖昧。自分自身がどう受け止めるかだけの話だと思います。失敗を糧に成功すると「あの失敗があったから…」となりますし、人生は万事塞翁が馬です。

何事があっても動じず、目標に向けて継続していくことこそ達成への近道になると思いますので、失敗上等の精神でいきたい所ですね。

さて、本日はコンクリートに貼るだけで表層品質を向上させるというシール工法を、現場に適用したという話題。技術は2014年に鹿島が積水成型工業株式会社と東京大学石田哲也教授と共同開発したものになります。


出典:鹿島

表層品質を向上させる「美(うつくし)シール®工法」

この技術はコンクリート表層部の見栄えに着目したもので、型枠にシートを貼るだけでコンクリートの品質向上が可能となる画期的な工法です。


出典:鹿島

コンクリート構造物の耐久性向上には表層部の品質が極めて重要。表層部が密実であれば劣化因子が表面から浸透しにくくなり、構造物の劣化、内部の鉄筋腐食を防ぐことが可能です。

コンクリートの密実さなど品質を決定する上で重要な項目のひとつに養生があり、養生工程の良し悪しが表層部の品質に大きく影響を与えます。

養生が適切でなければ、コンクリートの硬化の際に必要な水分がブリーディングや、型枠を外した後の表面からの乾燥により表層品質に必要な水分まで奪われ、表層の品質低下を招きます。

これを回避するために給水養生などが適用されたりしていますが、手間とコストがかかることから新しい養生工法が求められていたという背景から「美シール工法」が誕生したそうです。

工法の概要

高撥水性の特殊シートを型枠の表面に予め貼り付けてコンクリートを打設するだけの容易な工法。シートを貼ることで表面側への水分の移動が抑制されるため、型枠との間に水膜ができず、水分がコンクリート内部にとどまります。


出典:鹿島

結果、コンクリートが自ら持つ水分で保水養生することになり、表面も緻密に仕上がります。「美シート」は型枠への貼り付けを考慮し、施工性に工夫を施したシートで、表面の色艶に優れ、表層品質の向上に有効です。

ちなみにこの工法は平成27年度土木学会賞技術開発賞、2018年日本コンクリート工学会賞技術賞を受賞しています。

東京港内、中防内5号線橋梁ほか整備工事の橋台・橋脚14本の壁面に適用

今回、橋台・橋脚14本の壁面約3,000㎡にこの工法が適用されました。適用された表面は、従来の工法に比べ表面気泡が約1/5程度に低減され、より緻密であることが確認されたそうです。


出典:鹿島

また、美シール工法で最長80日間養生した表面と、従来工法を用いた表面を対象に透気試験を実施し比較した結果、美シール工法を用いた表面では透気係数ランクが「良」となり、コンクリート表層部がより緻密で高い耐久性を有することも確認できたそうです。


出典:鹿島

まとめ

この美シール工法の実構造物の適用実勢は累計で約7,200㎡に達したそうで、実績全てにおいて表層品質の向上効果を定量的に把握、確認しているとのこと。

従来の給水養生と比べてもかなりの作業効率化やコスト削減がはかれる他、写真で見るように表層も気泡が低減され品質が向上しています。鹿島では今後も各種構造物にこちらの工法を積極展開していくとのこと。

品質と効率の両立を実現しているこの工法、さらなる展開が期待できそうですね。

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