戸田建設株式会社(以下、戸田建設)は、建設事業で蓄積してきた知見や実績をAIで活用する生成AIプラットフォーム「Toda-AI-Portal™」を内製で開発、全社での本格展開を開始というリリースニュースをおとどけします。
生成AI基盤「Toda-AI-Portal™」
建設の知見・実績をAIで活用し、“より良いものづくり”を支援
本取り組みは、2026年4月1日に発表した「戸田建設、AI活用を”全社標準”にする3つの施策を実施」に続く具体的な施策の一つとなります。
社内に点在する情報資産をAIと連携させ、社員が必要な情報を根拠とともに迅速に引き出せる環境を提供することで、設計検討や技術判断、お客様への提案の質を高めて「より良いものづくり」という顧客への価値提供につなげます。
開発の背景と位置付け
建設会社である当社にとって、最も本質的な顧客価値は、より良い建設物をお客様に届けることです。そのために、長年積み重ねてきた技術知見や工事実績を日々の業務で活かすことで、建設物の品質を支えてきました。
一方で、建設業に関する専門的な知見や当社独自の情報資産を、実務に即した形で活用していくには、汎用のAIサービスだけでは対応が難しい面がありました。
このような背景から、当社固有の業務や知見に即した生成AI基盤を構築し、社内の多様なニーズに柔軟に対応しながら機能を拡充していくため、本プラットフォームを内製開発することにいたしました。

「Toda-AI-Portal™」 実際のUIに基づいたイメージ図
「Toda-AI-Portal™」が提供する3つの価値
(1)建設事業の知見・実績・情報資産をAIで引き出し、建設物の品質向上を支援
社内に蓄積してきた知見・情報資産をAIと連携させ、現場の技術判断、設計検討、
お客様へのご提案に必要な情報を根拠付きで即座に引き出せる環境を整備しています。
ベテラン社員のノウハウを組織の財産として継承する取り組みにもつながっています。
<連携済みの社内情報>
施工に関わる技術資料
過去の災害事例
過去の公共案件における技術提案資料
(2)全社のAI活用を束ねる集約基盤として、統制と業務変革を両立
全社員のAI活用の入口を一本化することで、情報セキュリティと利用ガバナンスを担保しつつ、
社内で個別に進んでいたAI開発・AIアプリを集約。
最新の生成AI利用環境や画像生成、実務に即した各種業務支援機能を組み込み、
社員の日常業務を変革しながら全社の生産性向上につなげます。
<実装済みの機能>
会社フォーマットのPPTX作成機能
XLSX、DOCX、PDF作成機能
(3)AI活用ノウハウの全社循環による、リテラシーの底上げ
社員が実践したAI活用事例の共有や、研修コンテンツのアーカイブを整備し、一部の専門人材に留まらない、全社員のAI活用及びAIリテラシー向上を後押しします。

「Toda-AI-Portal™」コンセプト
マスコットキャラクター「たっぴー™」
「Toda-AI-Portal™」の顔として、マスコットキャラクター「たっぴー™」を制作しました。
社員が生成AIに親しみを持ち、日常業務の中で気軽に活用できるきっかけとなることを目指しています。

マスコットキャラクター「たっぴー™」
普及実績
2026年4月時点で、本プラットフォームは3,000名以上が利用する基盤へと成長しています。
現場稼働が中心となる社員が多い当社において、活用は着実に広がっています。
今後の展望
今後は、AIガバナンスの強化と基盤整備を進め、AIネイティブ企業への変革を加速していきます。
AIが支援・代替できる業務はAIに任せ、人はより創造的で付加価値の高い業務に注力できる環境を整備することで、人とAIの協業を戸田建設における新たな業務のあり方として定着させていきます。
「Toda-AI-Portal™」については、社内で連携するデータ領域を拡大するとともに、MCP※等の標準的な連携技術も活用しながら、社内外システムや、AIエージェントとの連携を強化することで、社員一人ひとりの業務をより実務に即した形で支援するAI基盤へと進化させていきます。
※MCP:Model Context Protocolの略。AIが社内外のシステムやデータと連携するための標準的な接続方式の一つ。
戸田建設は引き続き、「Toda-AI-Portal™」を“より良いものづくり”を支える中核基盤として発展させ、お客様への更なる価値提供に取り組んでまいります。
資料引用:戸田建設
おわりに
ここまで見てきたように、戸田建設の「Toda-AI-Portal™」の事例は、私たち調査業界にとっても極めて示唆に富むものです。
専門性が高く、現場ごとの個別判断が求められる劣化調査の世界だからこそ、既存の生成AIを駆使した「標準知」の構築は、技術継承と品質向上を同時に成し遂げる強力な武器になります。
既存の生成AI(LLM)は、すでに極めて高い推論能力を持っています。
私たちが取り組むべきは、AIを一から開発することではありません。
社内に眠る過去の調査報告書、写真、点検メモといった「泥臭い現場のデータ」をデジタル化して整理し、RAG(検索拡張生成)などの技術を用いて安全にAIと接続する環境を整えること。これこそが、独自の「標準知」を作り出すための最も重要な一歩です。
この仕組みが機能すれば、若手社員であっても「築40年・RC造・漏水あり」といった条件を入力するだけで、ベテランが過去に行った最適な工法や分析結果を、根拠付きで瞬時に引き出せるようになります。さらに、日々の調査で得られた新たな知見をAIにフィードバックし続けることで、組織の知識は常にアップデートされ、循環していくのです。
もちろん、機密情報の漏洩を防ぐセキュアな環境づくりや、AIの誤情報(ハルシネーション)を防ぐための「根拠の明示」といったガバナンスの整備は欠かせません。
しかし、AIが定型業務や過去事例の検索をサポートしてくれるようになれば、人間はより高度な現地判断や、お客様への付加価値の高い提案に集中できるようになります。
「人とAIの協業」は、決して遠い未来の話ではありません。
今あるデータを整え、既存のAIをどう使いこなすか。
その実践の積み重ねこそが、これからの調査会社における競争力の源泉となり、次世代のものづくりやインフラの維持管理を支える基盤となっていくはずです。
【リリースニュース配信元】
□戸田建設株式会社
リリースニュース
https://www.toda.co.jp/news/2026/20260518_006285.html